第206話 革命イベント1日目後編

マッキー達は、グリフォンに乗り道を急ぐ。目的地まで、全力で飛ばす。視線の端に、囲まれた人影。


「あれだな…。」


そう呟くと、奇襲の為にグリフォンを降りて距離を詰めていく。そして、奇襲開始!


「な、なんだ!」


「敵だ!やれ!」


応戦する獣王国軍に、マッキーは笑みを浮かべる。


「さてと、お前がルイスに救援要請したロゼか?」


ルイスの名前に、ロゼは驚いてから笑う。


「そうだよ。君は、彼のお友達かな?」


「戦闘クランフリューゲル、リーダーのマッキーだぜ。あいつに、お願いされて加勢に来た。」


そして、森の中からグリフォンの奇襲。形勢逆転であるが、ルイスのお願いは無事の帰還である。


ある程度、物資を奪うと撤退しようとする。


「なるほど、加勢に味方が来たか…。」


「やる?」


マッキーは、笑みを消して警戒する。


「急げ、撤退!」


ロゼ達を乗せて、グリフォンは飛び立つ。マッキーは、牽制する雰囲気で2人の龍人を見る。


「いや、これは俺達の負けだ。1つ、聞きたい。ルイスとは、お前達の主という認識で良いか?」


「何の事だ?俺は、急ぎだから帰る。」


マッキーは、警戒しながらもグリフォンに乗る。


「賢いな。勝たなくても良い、生きて帰って来いとでも言われたか?ふむ…、面白い。」


ジェイドは、冷たい瞳に歓喜を宿す。


「興味ない、やらないなら帰る。」


そう言うと、ヴァンは森の中に姿を消す。マッキーは、冷や汗ながらに撤退する。


ルイス、思ったよりあの龍人達はやばいぞ。




ルイスは、葛葉の姿になると中立派の敷地に行く。すると、落ち着いた雰囲気の青年が居る。


「それで、革命軍の新米が何の様だ。」


「初めまして、私は葛葉…差がない商人です。」


葛葉は、冷たい声音を無視して戯けた雰囲気だ。


「俺達は、どちらの味方にもならない。」


「おやおや、何か勘違いしてませんか?」


口元を扇子で隠し、微笑みを浮かべる葛葉。


「勘違い?」


「私達は、別に目的があります。その前に、そちらの食糧等の在庫は大丈夫でしょうか?少しながら、物資を持って来ました。ここには、子供や年寄り達も保護されていると聞いてます。」


青年は、驚く。葛葉は、真剣な雰囲気だ。


「…取り敢えず、目的とやらを聞こう。」


「おや、よろしいので?では、私達の目的は絶対に中立派という立場を守ってください。中立派には、手を出すのは禁止されてます。ですが、彼らは貴族です。自分が、一番可愛い身分なのですよ。」


すると、青年は驚き険しい雰囲気である。


「つまり、奴らは襲って来ると?」


「はい。」


葛葉は、静かな雰囲気で扇子を閉じて真っ直ぐ青年を見る。青年は、その表情を見て微笑む。


「まあ、良い。どうせ、そのつもりだからな。しかし、襲って来るとなれば対応が出来るかどうか。」


「私に、考えがあります。」


葛葉は、そう言うとセロン達を護衛につける。


「ありがたいが、分裂させても良いのか?」


「その、リスクを背負ってでも貴方達を守る事の方が大事だという事です。何せ、ここに保護されているのは獣王国の罪無き民達です。我々の戦いに、巻き込まれた言わば被害者。なれば、我々にも責任があります。手短に、事を終わらせたいですが…。」


葛葉は、ペタンと耳をさせて悲しそうだ。


「相手も、只者ではない…か?」


青年は、考える雰囲気で言う。無言で頷く葛葉。


「そうか、気を遣わせてすまない。俺の名は、ティダル。中立派の頭だ、お前の名は葛葉だったか?」


「私は、革命軍の頭であるロゼさんの友達です。どうせ、偽名ですから覚えなくて良いですよ。」


すると、少しだけ驚くが頷く。


「本名だけでも、教えて貰いたい。その姿と名が偽りなのは仕方ないだろうがな。」


「……ごめんなさい。」


そう言うと、ティダルは構わないと笑う。


「お前の役割は、ロゼの助太刀なのだろ?なら、自分の名を出すと評判的にも不味いのだろう。」


葛葉は、頷いてからその場を去るのだった。




ロゼ達は、治療を受けてポーションも貰い休んでいた。ルイスは、変装を解除してロゼ達の所へ行く。


「皆さん、お久しぶりですね。」


「ルイス君、助かったよ。それで、何で本部に君達が登録されていないんだい?驚いたよ。」


すると、ルイスは苦笑してグレンは無言で怒る。


「えっと、その…挨拶に行ったら断られまして。」


すると、ロゼ達はブチ切れる。


「本当に、申し訳ない!僕達が、待ち合わせに間に合わなかったばかりに…。君達に、不愉快な目にあわせてしまった。ごめん、急いで本部に戻るよ。」


そう言うと、ロゼは急いでテントを出て行った。


「実は、龍人2人が近くに居てな。」


ポアレは、少しだけ青褪めている。


「ジェイドは、戦闘を楽しむタイプの冷徹な軍師。ヴァンは、気分屋で戦闘が好きって訳じゃなさそうだった。けど、2人とも僕達を泳がせてたね。」


ゼタは、不愉快そうに苦笑する。


「うん、だから真っ直ぐに帰る訳にはいかなかったんだ。そこに、マッキーさんが来た訳だよ。」


レンは、考える雰囲気である。


「あーもう、怖かったわぁ!」


メアリーは、震えながら言う。


「取り敢えず、無事に合流が出来て良かったです。暫くは、ゆっくりして行ってくださいね。」


すると、ゼタ達はルイスを見る。


「ん?えっと、どうかしました?」


キョトンして、首を傾げるルイス。その間にも、メンバーの質問や相談に答えている。


「こほん。今回は、僕達を保護してくださりありがとうございます。えっと、ルイス君がここのリーダーだよね?ちなみに、これは何の集まりかな?」


ゼタは、ルイスを見ながら言う。すると、マッキーが入って来る。ルイスは、ホッとして喜ぶ。


「僕達は、日本サーバー最強の同盟である名も無き同盟です。そして、改めまして名も無き同盟の盟主であり日本サーバー1の生産クランbreezeのリーダーのルイスです。うん、肩書きが長いですね。」


ルイスが、そう自己紹介すると固まるゼタ達。


「あんた、そんな凄い人だったのかい?」


ビシャラは、驚きながらも言う。


「まあ、大した事はしてませんが。全て、素晴らしい仲間達のおかげで成せた事ですから。」


ルイスは、そう優しく微笑む。仲間達は、照れたり嬉しそうな表情をしている。マッキーは、笑う。


「名も無き同盟の副盟主で、戦闘クランフリューゲルのリーダーマッキーだぜ。よろしくな!そうだ、ルイスも聞いただろうが2人の龍人はお前の情報を探っている様だ。しかも、勘が鋭過ぎる。」


マッキーの言葉に、ルイスは烏丸を呼ぶ。


「烏丸さん、偽の情報を少しずつバレない程度にばら撒いてください。露骨なデマだと、警戒されるので少しの真実に嘘を混ぜてからですよ?」


「了解でござる。」


ルイスは、真剣な雰囲気で言う。烏丸は、頷いてドロンと消える。ルイスは、書類を冷静に見る。


「やはり、厄介ですね。うーん、次の手を打たなければ。とは言え、余り動き過ぎるのも…。いえ、革命軍の内部なら動いても良いはず。敵が紛れ込んでいる可能性を考えて、葛葉で行きましょうか。」


ルイスは、頷くと決行日を考える。


「ルイス、ご飯を食べながら話そうぜ。」


グレンの言葉に、ハッとして頷くルイス。


「では、皆さんも行きましょうか。」


そう、笑顔で食事に誘うのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る