第196話 探索
生産職クエストでは、自分の職業が基本は自動で選ばれます。生産職では無い場合、その人の持つ生産スキルで高いもののクエストが選ばれる訳です。
職業と類似スキルが、有ればそれも内容として選ばれる事もあります。薬師で、錬金術を習得している僕もその対象に入る訳なのですよ。つまり、薬術や錬金術を使うクエストが追加される訳なのです。
「ルイスさん、情報ありがとう。あと、この森の宝箱は10分ごとにランダムに再配置されるみたい。」
シャルムさんのとこの、セロリンさんですね。
「マッピング共有は、許さないと。」
「宝箱乱獲は、禁止だけど…な?」
なるほど、情報共有して宝箱を独占している人たちが居ると。まあ、今の運営は優秀ですからね。
「運営は、動いてんのかな?」
「動いてる。ショボイ物しか、出てこないって。」
さすが、ゴミを押し付けるなんて運営さんナイスですね。僕も、3つ探したら初心者のサポートに入りましょうかね。何せ、マップ慣れしてない初心者は迷子になりやすいです。メンバーを優先的に、助けながらゆっくりと探索しますかね。
クエストも、巡回ついでにします。
「では、僕もそろそろ適当に宝箱を拾って、初心者のサポートに入ります。皆さんも、気をつけて。」
ルイスが、笑顔で手を振れば、頷いたり手を振る同盟メンバー達。ルイスは、2匹とぶらぶらと歩く。
「さてと、リルとソル!」
2匹は、答える様に一声鳴く。
「我々の目標は、宝箱です。1人一つずつ、良いと思った宝箱を探しますよ!のんびり巡回しながら、ゆっくりと探しましょう。時間は、ありますし。」
2匹は、頷くと楽しそう歩いている。
「生命の樹の葉を、持っている前提なのは辛いですね。まあ、今だけ初心者もエルフの国には行ける様ですけど。あ、納品素材のコッコがいますね。」
すると、競う様に2匹はコッコに突撃する。
「おや、僕の出番は無さそうですね。」
ルイスは、キョトン言うが素早く2匹の首根っこを掴んで止める。子狼で、戦ってたから止められた。
「駄目ですよ、根こそぎ倒したら後の人が困りますからね。さあ、次に進みますよ。」
2匹を抱えたまま、ゆっくりと歩き出す。後ろで、数人のプレイヤーさんがホッとしていた。2人くらい、礼儀正しくお辞儀をしている。
さてと、隠れ上手な追跡者が居ますね。
しかも、僕が進むルートを先回りしている様です。素材が、まったく有りません。それならば、僕にも考えが有ります。ちょっと、遊びましょうか。
「リルソル、遊んでらっしゃい。」
すると、2匹はキョトンする。
「予定変更です。獲物取りとか、どうです?」
基本、ルイスは獲物取りと言う言葉を使わない。しっかりと、魔物狩りや動物狩りといった具体的な内容を言うからだ。獲物取りは、敵プレイヤーを討伐する時に使う。2匹は、無邪気そうに走り去る。
勿論、目は笑っていない。
ルイスは、敢えてこのまま進む。何故なら、このまま進むと複雑な地形に入る。ここは、地形の段差が激しく開けている。そして、仲間や敵を見失いやすい地形でもある。ルイスは、地形の理を活かして敵を鮮やかに撒いて行く。ルイスは、思わず笑う。
戸惑うプレイヤーの背後から、リルが先回りに失敗したプレイヤーにソルが襲い掛かるのだった。
響く悲鳴に、付近のプレイヤーは驚く。しかし、地形のせいで何が起きたのか理解が出来ない。ルイスは、ここで合流するのは無理と判断して歩く。
リルとソルは、帰還でホームにその場で帰る。
ルイスは、2匹を召喚してゆっくり歩くのだった。ちなみに、この2人はのちに運営によってイベントから弾かれる事となる。勿論、ポイントもゼロ。
ルイスの他にも、有名プレイヤーを狙ってやっていたらしい。しかし、地の有利を生かして有名プレイヤーは逃げ切る。なので、ターゲットを変えながら追跡していたのである。ルイスの反撃で、運営に通知が行ってしまいルール違反で即退場になった。
「まったく、こんなのが居るから巡り巡って、初心者さん達にも迷惑がかかるのですよ。」
ルイスは、深いためを吐き出して不機嫌そうだ。
「あら、大変そうねぇ♡」
「マリーヌ♡さん、お久しぶりですね。」
ルイスは、笑顔で挨拶する。
「お久しぶりよねぇ♡」
笑顔ではあるが、疲れが見えている。
「どうかしましたか?」
ルイスは、キョトンしている。
「そうねぇ、イベントが終わったら愚痴聞いてくれないかしらぁ?羅華ちゃんだと、聞いてはくれたけどどうしようも出来ないってぇ…良いかしら?」
「まあ…、聞くだけなら良いですけど。」
涙目の雰囲気な、マリーヌの言葉にルイスは心配そうに頷く。すると、嬉しそうにマリーヌは走り去って行った。リルとソルが見つけた、宝箱を開けると歩き出す。眠そうなので、帰還させて歩き出す。
ルイスは、誰も居ないのを確認すると葛葉になる。
そして、素材を集めたりしてクエストを終わらせて行く。納品も完了して、初心者のサポートをする。
「あの、森に人が倒れてて。でも、敵が強くて。」
「行ってみます。」
葛葉は、狐になって隠れてからルイスに戻す。
「さてさて、どんな厄介事でしょうかね?」
ルイスは、歩き出すのだった。
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