第193話 バジリスク

さてと、やって参りました。


バジリスクは、ヨーロッパの想像上の生物です。名称は、ギリシア語で『小さな王』を意味します。全ての蛇の上に君臨する、蛇の王なのだそうです。


外見はただの蛇ですが、頭に王冠を彷彿させる様な模様があると書かれていました。身体を半分持ち上げて進むと言われ、移動する音を聞いただけで周囲の蛇が逃げていくのだとか。リビア中東にある砂漠は、そこに住むバジリスクの力で砂漠となったと言い伝えられてました。流石、蛇の王様…お強い。


そして、やはり毒の話です。


毒は非常に強力なで、匂いにより他の蛇を殺し、息に含まれた毒は石を砕くとされています。


また、見ただけで死をもたらす力を持っていると思われていました。ちなみに、そんなバジリスクさんですが天敵がいまして。イタチが、天敵なのです。


え、あの可愛いモフみ…コホンッ、失礼しました。


動物のイタチが、天敵って蛇の王様なのにどうなのかと思うのですが。まあ、天敵みたいですね。


他ゲームでは、毒を使い相手を石化させるのが定番スキルとなっていたりします。では、F LLではどうなのか…。毒を使い、石化も使い、即死も使う。


王様ぁー!やめてくださいぃー!


さらに言えば、呪いや封印スキルも使えます。


聖職者、過労死案件なのですよ!しかも、このバジリスクさんは回復絶対殺すマンなのです!回復職業を、死ぬまで狙い続けるのですよ…。むぅ…。


「ルイス、大丈夫か?」


グレンは、無言で短刀を握るルイスを見て言う。ルイスは、自分に回復をかけて俯いた顔を上げる。


「グレン、知ってます?蛇肉って、淡白な味わいで料理方法しだいでは美味しいらしいですよ?」


ルイスは、素晴らしい笑顔で言う。


「うわぁ…、ルイスがキレてる。」


ユウユウは、顔を引き攣らせつぶやく。そして、付与紙をハルトに投げる。支援魔法を、トモに。


「まさか、俺たちも蛇肉のフルコースを振る舞われるのか?…うん、その時は見捨てて逃げようか。」


トモは、明後日の方向を見て現実逃避。直ぐに、ハッとして魔法を放つ。攻撃が来て、ハルトの背後に隠れる。ルイスから、ハルトに回復が来る。


「同意。蛇肉だけは、本当に勘弁して欲しい。」


ハルトも、身構えながら言っている。そして、しないよな?っとルイスをオズオズと見ている。


「大丈夫ですよ。BOSSを決めたのは、グレンですからきっと全て受け取ってくれますよ。ね?」


ルイスは、明るい雰囲気でグレンを見る。


「すみませんでした!?」


グレンは、悲鳴じみた謝罪。そして、それが隙となり油断してバジリスクの毒に当たる。ルイスは、解毒ポーションを投げて全体回復する。


バジリスクは、ルイスに即死を放つ。


ルイスは、劣化版の蘇生薬を手に持ち死んだ瞬間に蘇生。即死を放った硬直で、無防備なバジリスクに全員で攻撃を加える。異常になりながらも、何とかバジリスク討伐を成功させている。


「わぁー、グレン見てください。凄い蛇肉の量♪」


「ごめんて!」


ルイスは、少しだけ悪戯っぽい雰囲気である。グレンも、笑いながら謝っている。3人も、笑ってる。


「せめて、もう一人回復が欲しかったな。」


トモは、笑いながら言う。


「本当ですよ!あの毒蛇、僕ばかり狙って…!」


ルイスは、ムッとしながら怒っている。


「あはは…、もう少し俺が強ければな…」


ハルトは、申し訳ない雰囲気だ。


「それは、違うのですよ。今の僕達は、同じBOSSを倒す仲間です。だから、互いに助け合うのが当たり前。誰かが失敗しても、メンバーの中の誰かがカバーすれば良い話。それで失敗しても、皆んなのせいです。お互いに、知ってる仲ですし気遣いは無要です。失敗したら、笑い飛ばしてやりましょう。」


ルイスは、優しく笑いながらハルトを励ます。4人も、笑いながら無言で頷いている。ハルトは、気負っていたのか泣きそうになるも笑い頷く。


「さて、まだリスポーンしないし休憩しようぜ!」


ユウユウは、近くの草原を見ながら言う。


「そうですね。」


ルイスは、時間を確認している。


「いえ、いったん落ちましょうか。」


「賛成、夜飯とか風呂とかあるし0時にbreezeで合流しようぜ。今、午後10時だしさ。2時間あれば、大丈夫だろ?じゃあ、街で解散しようぜ。」


そして、全員でログアウト。




ルイスは、ご飯が遅くなったと急いで下降りる。


「珍しいな、こんな遅い時間にご飯だなんて。」


大河は、ご飯を食べながら言う。


「友達と遊んでたら、つい楽しくて…」


瑠衣は、本当に楽しかったのかふわりと笑う。


「まあ、明日は休みだから良いけど、体調を壊さない程度にな?余り酷いと、俺も怒るから。」


大河は、瑠衣が楽しそうなのに微笑む。そして、ちゃんと注意して瑠衣を心配そうに見ている。


「ですね。あ、お風呂のボタン入れてきます。」


瑠衣は、パタパタと部屋を出て行く。大河は、ご飯を運びながら瑠衣の様子に思わず微笑む。


「まあ、楽しんでいる様なら何よりだな。」


お茶を淹れながら、大河は優しく呟く。


「この後も、BOSS周回の予定なのですよ。」


瑠衣は、上機嫌で言うとご飯を食べて風呂へ。




ログインすると、お店でグレンが座っている。キリアが、珈琲を持って来る。breezeは、9時閉店なので閉まっている。なので、とても静かである。


「お待たせ、ユウユウとトモはまだなのか。」


ハルトは、椅子に座りながら言う。


「そういえば、2人とも明日は部活では?」


「1時半まで、やって寝る。」


グレンは、欠伸しながら言う。


「俺も、そこまでが限界だな。」


ハルトも、頷いてから笑う。2人が来て、予定より30分早いスタートですね。


そこから、ふざけながらも周回する。


「あー…、眠い。そろそろ時間だし、俺は落ちるかな。ユウユウ、明日の部活は遅刻するなよ?」


グレンは、そういうとログアウト。


「流石に、俺も限界…。皆んな、おやすみ。」


そう言うと、ハルトもログアウト。


「じゃあ、俺達も眠いし落ちよーぜ。」


ルイスとトモは、頷くとログアウトするのだった。

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