第190話 男子会しょうぜ!
あーあ、やってしまいました。気が動転していたととはいえ、あんなきつい言葉を言うべきでは有りませんでした。絶対、嫌われちゃいましたよね…。
瑠衣は、ベッドに座り深いため息を吐き出す。
暫くして、身支度をして下に降りる。すると、夜勤明けの大河が珈琲を飲みながら朝食中。
瑠衣も、座って朝食を食べる。
それでも、身バレだけはずっと恐れてたので…。とても、とても怖かったんです…。まあ、だからって人を傷つけて良い理由にはなりませんよね。
「瑠衣、悩み事か?」
大河は、優しく笑うと首を傾げる。
「お、おはようございます。まあ、少しだけ?」
瑠衣は、驚いてから苦笑してうやむやにしようとする。大河は、キョトンとしてから考え出す。
「瑠衣、悩み事を溜め込むと息が詰まるぞ。それにな、友情や絆関係なら時間が経過すればする程に話せなくなるし、2度と仲直りが出来ないぞ。」
大河は、そう言うと食器を片付ける。
「実は、きつい言葉で相手を傷つけてしまって。」
瑠衣は、隠す事なく酷く落ち込んだ雰囲気で言う。
「まあ、自分が悪いと自覚があるなら、まずはその相手にちゃんと謝んないとな。最初は、言い出せないかもだけどさ、案外と素直に謝ると後の言葉が続くもんだぜ。だから、早めに仲直りしとけよ?」
大河は、そう励ますと眠そうに部屋に戻った。
「でっ、出来るでしょうか…。」
瑠衣は、不安そうに呟き食器を片付けて登校。
学校にて…
瑠衣は、勇気を出して自分から挨拶する。
「明石君、おはよう。」
明石は、キョトンとしたが嬉しそうに言う。
「瑠衣、おはよ。」
瑠衣は、言葉を出そうとして詰まってしまう。
「あの、えっと…」
「ん、どうした?」
明石は、スマホを操作しながら言う。
「昨日は、ゲーム内でキツイ言葉を言ってごめん。その、君が良い人なのは知ってたけど、僕は人付き合いが苦手だから。どうすれば、良いかわからなくて。たぶん、これからも失敗するかも…。」
すると、周囲のクラスメイト達が驚いている。
「ん、オケだ。俺も、自分勝手な事して、そうなった訳だし気にしてないぞ。寧ろ、こっちこそごめんな?もっと、行動的に配慮すべきだった。」
明石は、申し訳ない感じで笑う。
これで、仲直りは出来たはず?出来ましたよね?どうなんでしょう?えっと、席に戻らなければ。
瑠衣は、無言で違う違うと首を張り席に戻る。
明石は、スマホを操作しつつ考える。
さて、仲直りは出来た訳だが…どうしたもんか?
出来れば、瑠衣と友達になりたいんだけど…。たぶんさ、さっきの会話に驚いた奴は瑠衣を気に掛けてる奴らなんだよな。なんだかんだ瑠衣は、協力的で言葉数は少ないけど、頑張ってコミュニケーション取ろうとしているんだよな。瑠衣の努力は、ちゃんと一部の人には分かってるんだ。
陽キャ組が、瑠衣にちょっかい出してるから、声をかけられないだけでさ。本当に、困ったな…。
たぶん、陽キャ組も瑠衣と仲よくなりたいんだろうけど。馬鹿にしたり、下に見る言動をするから瑠衣が逃げちゃうんだよな。アホな奴ら…。
春都サイド
「明石、今日さbreezeの花園に来れない?」
神崎は、汗を拭きながら言う。
「良いけど、何かするのか?」
水筒を置いて、キョトンとする明石。
「名付けて、男子会!今日は、ちょうどあいつがバイトだし。それで、仲直りしたのか?」
「うん、仲直りは…した。けど、友達になれる気がしない。神崎は、どうやって友達になったんだ?」
明石は、頭を抱えながら言う。
「まあ、そういう話とかもしようぜ。」
「分かった…。」
2人は、部活動に戻るのだった。
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