第177話 やるべき事と2匹の気持ち
さて、する事はたくさんあるのですが。
ルイスは、ログインした瞬間…僅かな隙も無いタイミングで聖結界。飛び込んで来る、マルモフ獣。
ビターン!という、痛々しい音の後にズリズリと落ちて行く音がする。ルイスは、直ぐに聖結界を解かずに少し呆れた雰囲気で立っている。床に伸びる、スコルとハティを無視してご飯を置く。
すると、素早く立ち上がり食いつく2匹。
ルイスは、その間にズタズタになったカーテンを変える。机は、傷付けられない素材の物に変更したので無事だ。ルイスは、黙々とするべき事をする。
2匹は、食べ終わると飛び掛かる。
しかし、ルイスは回避して首根っこを掴むと床に置いて仕事を続行。騒音に、ドアの前で心配そうにウロウロしているキリア達。ルイスは、小さくため息を吐き出して大丈夫だと言い書物をする。
2匹は、ルイスの後ろで暴れたい放題する。
ルイスは、一定のラインを超えると威圧を発動させて説教をする。暫くは、大人しくなる。
「ルイス、少しお茶でもしないか?」
トキヤは、ドアをノックしてから言う。2匹は、大喜びだ。ルイスが、居なくなればやりたい放題。
「そうですね。僕も、甘い物が食べたいです。」
ルイスは、ドアを開けず嬉しそうに笑う。2匹は、それを静かに見ている。ルイスが、自分達には見せない優しくて穏やかな表情。2匹は、不貞腐れる。
部屋に、残された2匹はドアに爪を立てガリガリとする。すると、フィンの威圧する声が来る。
まるで、主人の癒しの時間を邪魔するな!と言いたげな雰囲気である。遠去かるルイスの足音…。
2匹は、部屋の隅っこで寂しげに鳴く。
フィンは、それが聞こえたのか威圧をやめてルイスを追いかけて行った。ルイスが、座るとリルとソルが甘えてくる。ルイスは、麦茶を飲みひと息つく。
フィンが、とても心配そうに小さく鳴いて甘える。
ルイスは、フィンが甘えるのが珍しくてキョトンとする。けれど、しっかり構ってコミュニケーションを取る。フィンは、ご満悦そうである。
「はぁ…、幸せですね。」
ルイスが、緩々な雰囲気で呟けば笑う周囲。
「前のキャンプイベで、龍人アンデットでただろ?それさ、キャンプ場に行けば会えるみたい。ヒューマンの聖人、それもしっかり会える設定みたい。」
グレンは、オレンジジュースを飲みながら言う。
「なるほど、ライバルは多そうですね。」
ルイスは、苦笑してから呟く。
「んー…、そうでも無いと思う。ちょっと、待ってな。取り敢えず、これ食べたら取ってくる。」
トキヤは、ビターチョコドーナッツをモグモグと食べ終わろうとする。ルイスは、優しく笑って言う。
「トキヤさん、ゆっくりで良いですよ。」
「俺は、このドーナッツ貰い!」
グレンは、皿から苺チョココーティングのドーナッツを取るとモグモグ。ゆったりティータイム…。
「僕は、ノーマルが正義だと思うのですよ。」
ルイスは、プレーンドーナッツを手に取る。
「シュガーは、粉が落ちて苦手だな。」
トキヤは、手を拭いてから紙を渡す。
「これは、ランカーの挑戦率ですか。ふむ…」
ルイスは、キリッとなり真剣に紙を見る。
「やっぱり、ランカー達はランクアップ優先に切り替えた。俺達の戦闘を見て、戦力がギリギリだったのが広まったからな。だから、今は居ないな。」
トキヤは、アイスコーヒーを飲みつつ言う。
「うーん…、なるほど。」
ルイスは、無言で考え込む。
「プロメア達、上手く行ってるみたい。」
「はい、その様ですね。」
グレンの言葉に、ルイスは紙から顔を上げて嬉しそうに微笑む。やはり、娘達の成長は嬉しいのだ。
「夏イベ、普通のスポーツイベと戦闘イベそして今回は海の家という生産イベントあるな。」
トキヤは、詳細を読みながら言う。ルイスは、直ぐに開いて内容を読んでいる。そして、考える。
「今回のイベント、個人でやります?同盟でやります?それ次第でも、報酬が変わりますけど。」
「後で、加盟リーダーに聞いてみようか。」
トキヤは、2個目のドーナッツを取りながら言う。
「そうですね。」
ルイスは、紙を返すと立ち上がり部屋に戻る。2匹は、毛を逆立て威嚇する。ルイスは、機嫌良く座ると作業を再開する。2匹は、動かない。
取り敢えず、ルイスは作業が終わったのでベッドにゴロンとなる。そして、そのまま寝落ち。スコルとハティは、悪戯しようとベッドに向かう。しかし、ルイスの寝顔を見ると毒気を抜かれた様に座る。
そして、その場でコテンッと寝てしまった。しかしながら、5分くらいにルイスのアバターが消えてしまう。スコルとハティは、ベッドの上で寂しそうに鳴くとルイスを探す様な仕草をする。そして、居ないと分かるとベッドから降りて部屋の隅っこへ。
暫くして、ベッドにアバターが現れる。
すると、ガバッと起き上がる2匹。そして、後ろ足で床を蹴り勢いよく飛び出した。ルイスは、聖結界を張る。ビタンッと、床に伸びる2匹。
ルイスは、ゆっくり起き上がるとため息。
「寝起きドッキリは、お断りなのですよ。」
2匹は、前足で頭を押さえてゴロゴロ。
「いったい、何がしたいのでしょう?」
2匹は、悪戯し過ぎた事を後悔する。ルイスが、警戒し過ぎて甘えられないのだ。だから、甘えられないイライラを悪戯する事で消化していく悪循環。
「取り敢えず、残りお仕事を片付けますか。」
ルイスは、気合を入れて作業をする。スコルとハティは、暴れる事で気を引こうとする。ルイスは、無言無視である。ついに、寂しそうに泣き出した。
これには、ルイスも驚いて手を止める。
「な、何事です?」
2匹は、魔狼とはいえ子供。それも、甘えたい盛りだ。ルイスは、迷った末に2匹を膝に乗せて作業を再開。2匹は、仲良く膝上で爆睡である。
ルイスは、困惑しながらも黙々と作業する。
そして、ログアウトの時間。2匹は、膝から降りるのを嫌がった。凄い抵抗である…。
ルイスは、何とか離れて貰ってログアウト。
勿論、2匹は不貞腐れるのだった。フィンは、やれやれといった雰囲気でドアから離れるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます