第175話 更なる進化を求めて
さて、今日を含めて3日しか有りません。リルとソルは、完治しました。けど、最近ずっと外に出たがっていたのです。いえ、基本は放し飼いなので、出ようと思えば出れたのですが…。どうやら、ある一定の距離から、ホームに戻されてしまう様でして。
チラッ、座りながら此方を見てくるのですよ。
まあ、当然ですがトキヤさんも気付いてましたね。僕が立ち上がると、勢いよく立ち見上げてくるんですよね。何か、期待した雰囲気で…。
散歩ですか?NO!(※首を横に振る)
運動ですか?NO!(※首を横に振る)
戦闘ですか?YES!(※首を縦に振る)
どうしましょう、うちの子が凶暴になりました。
取り敢えず、ウォーミングアップに雑魚敵に突撃させてみました。ごめんなさい、雑魚敵が可哀想になるくらいの過剰戦力です。取り敢えず、進化です。
ルイスは、冬装備にして雪山に入って行く。
すると、子犬の妖精が震えながらヨロヨロ歩いてくる。首に、主人がいる証拠がある。リルは、慌てて駆け寄り首根っこを噛んで連れて来る。
「無装備で、この雪山は無謀過ぎます。」
ルイスは、急いで子犬に装備させる。本来なら、出来ないのだが瀕死状態の時だけ通常装備のみ装着可能になる。ルイスは、子犬の体温がこれ以上は下がるのは危ないと服の中に入れて温める。
早く、この子の主人を見つけなければ…
子犬妖精は、顔だけ出して道案内する様に顔を動かしている。プレイヤーは、まだ死んでない様だ。
ルイスは、カイロを渡すと近くの洞窟に先導する。
「すまない、助かった。」
ルイスは、子犬妖精を渡す。プレイヤーも、かなりの薄着で異常が酷い事になっている。ルイスは、予備の防寒装備を渡す。そして、真剣に言う。
「何故、そんな薄着で雪山に?」
「……その、怒るなよ?慢心の結果だな、俺なら大丈夫。死んでも、神殿に戻るだけって。」
ルイスは、頭が痛そうに深いため息を吐き出す。そして、異常回復をかける。勿論、子犬妖精にも。
「使い魔は、死ねば蘇生は難しいのですが…。」
すると、無言で苦々しく頷く青年。
「装備、すまない。後で、宿まで渡しに来る。」
「いえ、その装備は差し上げます。」
すると、一瞬だけ固まる青年。
「えっと、俺はハルトでジョブは守護騎士。こっちは、クー・シー(犬妖精)の子供でロロ。」
「…ルイスです。狼精霊獣のリル(はーい!って手を上げているリル。)とソル(ソルは、頷いてる。)。」
すると、青年は有名人の名に驚く。ルイスは、気付いてしまった。明石君の下の名前は、春都(ハルト)なのである。ルイスは、フードを深く被り直す。
「えっと、俺はロロの進化素材を集めに来た。」
気まずくなり、ハルトは此処に来た理由を言う。
「え?あの、この雪山…進化素材がある地点は氷山になってます。別名、氷獄と呼ばれる場所なのですが。特殊なポーション無しでは、攻略不可能なんですよ。いったい、カイロも特殊装備も特殊なポーションも無しとか…。何しに、この雪山へ来たんですか?備え無しに、攻略ができると思えること事態が恐ろしいですね。攻略組でも、苦戦する難所を。」
つらつらと、辛辣な言葉で直球に言う。
「ぐはっ…、かなり抉って来るな。」
「君一人なら、勝手に死に戻っても被害は最小限ですし、他人には迷惑が掛かりません。けど、一人残された使い魔は必死に魔物から逃げて、減り続けるHPに恐怖を感じながら下山するしかないんです。基本的、使い魔には回復能力が有りませんからね。」
すると、想像してしまったのか青褪めるハルト。そして、必死にロロに謝っている。ロロは、気にしないでと甘えている。ルイスは、もう大丈夫だろうと歩き出す。これで、無謀をするならそれまでだと。
「ちょっ、何でそんなサクサク歩けるんだ?」
「ポーションと、カイロのおかげです。何故、下山しないのですか?君には、厳しいと思いますよ。」
ルイスは、真剣な雰囲気で敵を倒しながら言う。
「時間が無いんだ。実は、ジェネシスのライネルさんにこいつを神獣したら仲間にしてくれるって言われて。その、神獣は無理だって言ったら、最低でも幻獣にしろって言われて。期間は、夏イベまで。」
短い…。それにしても、ジェネシスにライネルさんは確かに居ます。有名人なので、間違いは有り得ないでしょう。さてさて、どう対応すべきでしょう。
「幻獣も無理ですよ。何、騙されてるんですか。」
氷山で、進化できるのは王獣までです。そこから、氷山の主、フェンリルの試練を含む7つの試練をクリアしてやっと聖獣。世界試練をクリアして幻獣。次は、神々の試練をクリアしてやっと神獣になるのですよ。っと、ため息ながら説明する。
「…そっか。その、何となく分かってた。取り敢えずさ、王獣進化させたいし素材集めだけでも。」
「一応、止めましたからね?」
ルイスは、少しだけ怒った雰囲気で言う。なお、その間も2匹は暴れ回り敵を次々と討伐。
「おう…。」
「魔物から、ドロップする素材も有るのですが。君を見る限り、200有るか無いかくらいのレベルですよね。歯が立たないし、倒せないでしょう!?」
さっそく、死にかけてるハルトを助け出す。
「すまん…。」
ルイスは、肩で息をしながら下を向いている。
「だぁー、もう!面倒なのですよ!」
ルイスは、顔を上げて息を整えるとチャット連打。ルイスの、チャットにセロンは直ぐに反応。一応、大事にしない為に個人チャットで会話している。
「やあ、お待たせ。取り敢えず、ライネルは通報したらBANされたよ。だから、事実なんだろうね。本当に、ハルト君には申し訳ない事をした。また、名も無き同盟の盟主である君にも迷惑かけた。」
「別に、構いませんがこれからどうするんです?」
ルイスは、優しく落ち着いた雰囲気で言う。
「彼は、ジェネシスに加入させるよ。」
「そうですか。では、後はお願いしますね。」
そう言って、離れようとしている。
「え!?ついでだし、素材集めを手伝うよ?どうせさ、彼も素材は必要みたいだし。ね?ね?」
セロンさん、身バレが怖いので同行して欲しくないのですよ。彼、リアルクラスメイト。つまりは、知り合いなので。だから、先に行ってくださいな。
ルイスは、チャットに素早く打つと驚くセロン。
「まだ、集められてない素材が有りますし、休憩してから自分のペースで動きます。なので、お先にどうぞ。僕は、ソロ攻略も経験済みですしね。」
ルイスは、魔物を狩ながら暢気に言う。
「残念。なら、暇が出来たら僕の素材集め手伝ってくれない?流石に、レベル的に辛くてね。」
セロンは、少しだけ困った雰囲気である。
「良いですよ。けど、今は僕も急ぎですので。」
「うん、分かったよ。じゃあ、盟主様またね!」
ルイスの言葉に、頷いてからハルトを連れて行く。
なお、2匹は全力で雪景色の中走り回る。
「やれやれ、それでは本腰を入れますか。」
雪風に、フードが外れルイスは龍人になる。ストレージから、笛を出しフィンを召喚する。
「なるべく、経験値とお金を稼ぎながら行きます!手加減は、禁止ですからね?では、GO!」
ルイスは、短刀を抜くと走り出す。左右から、リルとソルが大人サイズになり通過する。どうやら、ハルト君に配慮して子狼になっていた様だった。同時に、頭上をフィンが通過して行った。
そして、氷狼王リルと炎狼王ソルに進化。スカイグリフォンキングに、フィンは進化。そして、このタイミングで、不死鳥が羽化しました。
名前…、ファイヤー…火…不死…うーん…
おっと、この不死鳥は女の子ですね。フィアにしましょうか、可愛い名前だと思いたいです。
にしても、少し熱めのカイロだと思えば快適です。モフモフしたいですが、女の子だとわかったら触り難いです。滅茶苦茶、本人は甘えて来るのですが。
レベル上げと、進化2段階級しちゃいましょう。
不死鳥雛フィア(初期)
不死鳥フィア(第一進化)
不死鳥王フィア(第二進化)
ちなみに、今の進化は6段階です。前は、3段階でしたが増えました。ちなみに、全ての使い魔は契約すると幼獣化を使える様になるそうです。便利…。
子供(妖精獣)→[初期幼獣]
大人(精霊獣)→[成獣•第一進化]
王獣→[第二進化]
聖獣→[第三進化]
幻獣→[第四進化]
神獣→[最終進化]
??→[限界突破進化]
取り敢えず、フェンリルに挑んでみましょうか。4匹に、声をかければ気合十分である。ルイスは、微笑むと頷いて山頂の洞窟を目指して歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます