第171話 旅立ち組修行1日目前半
ルイスは、ログインするとお手伝いNPCの支払いをする。そして、伸びをしてからお店の報告書に目を通す。トキヤは、今日はログインが出来ない様だ。
グレンは、クラスの友達と出掛けて行った。ルーカスも、先程イギリスサーバーに帰った。
ルイスは、小さくため息を吐き出し、少しだけ気怠げそうに書類を机に置く。そして、少しだけ考えてからお仕事を開始。ランコルが、アイスティーを置いて部屋から出て行く。トキヤが、いつもやっている仕事もあるので、急いで片付けないといけない。
何せ今日は、プロメア達が帰って来るのだから。
「ルイス、在庫管理書類は俺がする。」
カリオストロが、『倉庫を管理するついでだ』と言って書類を持って行く。ルイスは、有り難いので感謝を述べて書類仕事に戻る。勿論、一応は後で確認する。だが、事前にこれだけあると分かると仕事しやすいのだ。勿論、カリオストロを信用して無いわけでは無い。けど、誰だって失敗はする。
任せっきりにして、仲間を責めるなんてしたくないのだ。そんな事で、ギクシャクはしたくない。これは、例えカリオストロでなくても同じ事をする。
「ルイス、休み明けの話をしに来た。」
マッキーが、手を振りながら部屋に入って来る。ルイスは、手を止めてから軽く打ち合わせをする。
「了解。じゃあ、他リーダーには休み最終日の夜に報告するな。それより、とっきー居ないと大変だなぁ…。これから、プロメア達も来るんだろ?」
マッキーは、笑って頷く。そして、ルイスの机の書類を見てから心配そうに言う。しかし、別クランなので手伝いたくても出来ないのだ。
「あはは…。でもまあ、トキヤさんの有り難みを感じれる瞬間ですよね。プロメア達は、少し予定時間に遅れるみたいです。先程、フクロウが。」
ルイスは、乾いた笑いを溢す。そして、引き出しから手紙を取り出し困った様に苦笑して言う。
「やれやれだな。まあ、何か手伝えそうだったら手伝うし、遠慮なく声を掛けてくれ。」
マッキーは、そう言うと部屋から去ろうとする。
「はい、ありがとうございます。」
暫くして、書類仕事が終わり夕方6時。ドアをノックする音に、ルイスは飲んでいたアイスティーを置き「どうぞ。」と言う。キリアに連れられ、プロメア達が入ってくる。3人は、遅刻した事を謝罪。
「取り敢えず、場所を移しましょうか。」
ルイスは、アイスティーを飲み干すと立ち上がる。ランコルが、コップを回収して行く。ルイスは、『ありがとうございます。』と言うとランコルは、ニコニコして頷く。ルイスは、3人を連れて花園へ向かう。そして、3人を座らせ自分も座る。
「それで、暫く自立した感想はどうです?」
ルイスは、優しく微笑みながら聞く。
「えっと、今まで大人の人達が頑張ってくれてたんだなぁーて。戦闘でも、補給や交渉とかでも。」
メウロは、真剣に考える雰囲気で言う。
「特に、交渉では相場を知らずに、周りに助けられてたし。優しい人は、相場表を譲ってくれたよ。補給面でも、子供だからって舐められて困ったし。」
ガイアは、少しだけご立腹な雰囲気である。
「戦闘では、カバーしてくれる人が居なくて。失敗したら、喧嘩ばかりで…頼れる人が居なくて。」
プロメアは、泣きそう言っている。
「ふむ…。では、取り敢えず自己紹介しましょう。交渉や補給面は、後々に教えますから。まずは、君達の得意な戦闘面を考えて行きましょう。」
「でも、私達は自己紹介したよ?」
プロメアが、『私』と言った事にルイスは微笑む。
「けど、自己紹介が戦闘に活かせてませんよね?」
すると、ガイアとメウロは驚き考える雰囲気だ。
「でも、名前と職業とレベルは話したよ?」
ガイアは、首を傾げていう。
「なーるほど、そういう事でしたか。」
ルイスは、頭を抱えて呟いてしまう。
「取り敢えず、自己紹介です。先ずは、手本です。僕の名前は、ルイスと申します。種族は、龍人。職業は、祈祷師•薬師です。レベルは、302レベル。攻撃は、得意では有りませんが回復とバフとデバフはお任せくださいな。さて、次の方どうぞ。」
すると、3人は目で会話するとプロメアが言う。
「えっと、私はプロメア。種族は、ホムンクルス。職業は、錬金術師。レベルは102。攻撃は、大好きだけど回復は苦手なの。バフとデバフは、普通くらい?爆弾が、大好きでメインはそっちなの!」
すると、ルイスは頷く。メウロは、考えてる。ガイアは、爆弾のくだりでジト目でプロメアを見る。
「僕は、ガイア。種族は、精霊。職業は、楽師。レベルは102。基本的、補助とバフデバフが得意。攻撃は、そこまで得意じゃないよ。」
メウロは、慌てて自己紹介。
「僕は、メウロ。種族は、犬人族…です。職業は、剣士。レベルは、2人とおなじ102。攻撃は得意だけど、補助や回復はとても苦手です。」
ルイスは、静かに頷くと言う。
「では、種族のメリットとデメリットを問いましょうか。ちゃんと、自分の種族を理解しているか。また、他の仲間に理解してもらう為に聞いてます。」
すると、3人は顔を見合わせている。
「ちなみに、龍人は高い防御力と破壊力、そして身体能力を持ちますが不器用です。MPは、多いですがHPは少なめで深手の攻撃を受けると、そのまま致命傷になる事が多いです。僕が、基本的に人間なのはポーションを作る際に器用さが高いからです。また、HPも増えますからね。その代わり、MPが減りますがバランスは良くなるのですよ。」
ルイスは、素っ気ない雰囲気で言う。
「えっと、ホムンクルスはHPが少なくてMPが多いの。防御力は、かなり低くて単体だと火力も出にくいの。けどね、アイテム有りだと強いの。後は、ヒューマンと同じステータスなんだよ。」
プロメアは、考える雰囲気で言う。
「えっと、精霊はHPもMPも平均的かな。攻撃は、余り出来ないけど補助やバフデバフは高い効果を出すよね。回復は、少しなら出来るけど…毎回、焼石に水状態なんだ。魔法攻撃を、多少は使えるよ。」
ガイアは、真剣な雰囲気である。
「えっと、火力もそれなりにあって平均的なステータスだけど。獣人特有の、身体能力と犬人族の嗅覚が鋭いかな。回復は、無理だけど魔法は少しだけ使える。補助やバフデバフは、無理です。」
2人は、なるほどと頷いている。ルイスは、優しくそれを見守っている。そして、キリアがジュースをプロメア達に置いてあげる。ルイスが、軽く感謝を伝えると、ニコッと笑ってキッチンに戻る。
「次は、職業ですね。祈祷師は、回復やバフデバフが得意ですが。攻撃力は、有りますがMP寄りなステータスなのでHPが低く防御力も低いです。まあ、そこは種族ステータスで補いますけどね。薬師も、同じですね。ただ、薬師はHPが高いです。体術や短刀術を、かなり使うので。防御力は、低いけれどHPで守られてる様な感じです。ざっくり言えば。」
すると、分かりやすかったのか頷く3人。
「錬金術は、生産と戦闘がどちらもできるけど…実は、戦闘は苦手な方なの。ホムンクルスも、戦闘よりもバフデバフをするのに特化してるけど。どうしても、一緒に戦いたくて…その、爆弾を…。」
プロメアは、申し訳無さそうに言う。2人は、苦笑してから無言で頷いている。ルイス、微笑む。
「楽師は、補助やバフデバフが得意だよ。ただ、回復はかなり苦手。敵索とか、一応は出来るけどね。遠距離で、援護射撃する方が本当は得意なんだ。」
ガイアが、苦笑して言えばオロオロするプロメア。メウロは、知っていたのか苦笑している。
「剣士は、攻撃は得意だけど回復は無理かな。スキルを取れば、何とかなるけど無駄打ちが怖くて。それに、前衛だからMP回復は難しいし…。」
メウロは、悩む様な雰囲気で言う。ガイアは、困った雰囲気で謝りプロメアは泣きそうな雰囲気だ。
「あのですね、どんな種族•職業にも得意•不得意が有るのですよ。だから、僕達は助け合い高め合うのです。良いですか?苦手な事は、仕方ありません。けど、互いを支え合い乗り越えていかないと、今後そう遠くない未来に全滅してしまいますよ。」
ルイスは、真剣な雰囲気で3人を見る。
「3人にないのは、協調性です。最後に、今の3人の実力を見せてくださいな。条件は、簡単。僕に、擦り傷1つでもつけたら君達の勝ちです。師弟の腕輪で、レベルも同じにしますし、装備も過去に使ってた物に戻します。こちらは、回復なしで薬師として戦います。勿論、種族は解放しません。」
ルイスは、ニッコリと笑って言う。3人は、青褪めている。が、無言で頷く。ルイスは、借りていたフィールドに3人を連れてくる。名も無き同盟の、一部のメンバーが組み手や練習をしている。その他のクランも、練習している。ルイスは、師弟の腕輪を装備。装備も、宣言通り。ジョブは、薬師だ。
「さあ、おチビさん達。遊びましょうか♪」
ルイスは、短刀を抜くと微笑むのだった。
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