第170話 深まる謎

ルイスは、宿のベッドで目を覚ます。隣では、グレンが掲示板を見ている。ルーカスは、まだ起きてない様だ。トキヤは、残り品数と売り上げそしてトラブルなどの書類確認。小さく、息を吐く。


ルイスが起きると、掛かっていた薄めの布団がずり落ちる。目を擦り、小さく欠伸を溢す。


キリアは、寝ぼけているルイスに紅茶を出す。ルイスは、キョトンとしてから椅子に座り紅茶を飲む。


「おはよう、まだ眠そうだな。」


トキヤは、まだ寝ぼけているルイスに言う。


「おはようございます、よく寝れました。」


ルイスは、寝過ぎましたっ!と時計を見ている。そんなルイスに、トキヤは笑いながら言う。


「取り敢えず、ルーカスもまだだし大丈夫だ。それにまだ、6時になったばかりだぞ。」


ルイスも、そうですねと笑っている。


「取り敢えずです、チャットの確認を…」


同盟リーダーから、進行度の報告を見る。そして、それを見ながら考える仕草をするが…


「駄目ですね、寝起きで頭が回らないです。」


紅茶を飲んで、深呼吸をする。取り敢えず、装備変更して伸びをする。ガリレフ達も、集まって来た。


無言で、考えを再開する。


「ふむ…、取り敢えずポーション売りの少年でもして来ましょうかね。補給が、欲しいみたいです。」


「ついでに、そのままエルダー行こうか。」


トキヤは、ペンを素早く走らせて計画書を渡す。ルイスは、これならと頷いてから立ち上がる。


「では、僕とグレンは補給物資を持って、一足先にマッキーさん達と合流しますね。」


「おう、こっちも準備できたら合流する。」


ルイスは、頷くとグレンに目を向ける。グレンは、準備万端とサムズアップ。ルイスは、ニコニコ。




ルイスは、マッキーと合流して同盟メンバーに、補給物資をわたす。お金を受け取り、breezeの制服で商売しているルイスとグレン。


「同盟へのサービス、凄くありがたいな。」


ルイスは、ノホホーンと笑う。


「お待たせ、準備完了だ。」


「では、行きましょうか?」


ルイスとグレンは、装備変更する。




全員が走り出し、素早く散開してから戦闘開始である。エルダードラゴンの通常は、噛みつきとツル鞭です。範囲攻撃に、毒霧と地震です。必殺技に、地母神の怒りという即死攻撃…ぐぬぬ…。


そして、太刀が悪い事にレイド級の強さを誇りながら、エリアBOSSという…クソッタレ設定。


コホンッ、言葉が悪かったですね。


某超人アニメの、スーパーサイヤ人の声に変換しておいてくださいな。さてと、どうしますかね。


「これ、聖域が使えないんだよな。」


マッキーは、前回破壊されたロザリオを、思い出して深刻な雰囲気である。ルイスは、神聖者のレリックを出してから、少しだけ考えて呟く。


「使えますが、回復役が減るのは痛過ぎます。それに、レイドでは無いので効果も性能も落ちます。」


トキヤは、レリックをチラッと見てから考える。そして、思わずレリックを見てから言う。


「待て、レリックだと?」


「三大遺物じゃんか!」


トキヤの言葉に、マッキーが驚く。


ちなみに、三大遺物とはレリック(聖遺物)•エンシェントレリック(古代遺物)•アーティファクト(人工遺物)の事である。レリックは、偉人の遺物であるパターンが多く。ルイスの神聖者のレリックも、教皇や聖王より偉い立場の聖職者の遺物なのである。


ちなみに、三大遺物は壊れない設定です。


武器破壊系のスキル、無効にしますから。しかも、デメリットが有りません。だからこそ、ガチャで出た時は喜びました。喜びましたが、ほかのプレイヤーにも確率は低いでしょうが、三大遺物が渡されてるのでしょうね。今の所、レリックしか報告が有りませんが…PK有りのイベントも有りますしね。


察しの良い人は、口を閉ざすのですよ。


breezeメンバーには、隠し事をしたく無いので鑑定を出来る様にしてましたが…トキヤさん?


ルイスは、ブラックオーラでニッコリ。


「うおっ、ごめん…」


トキヤは、表情を引き攣らせ視線を逸らす。


「大丈夫、最初の会話から俺とトキヤとお前だけの会話設定してたから。周りには、聞こえてない。モチベーションを、崩さない様に最初からだ。」


マッキーは、落ち着けと苦笑している。ルイスは、深いため息を吐き出すと苦笑して言う。


「まだ、このレリックは僕を主人と認めないらしくて。詳細が、全く見えないのですよね。取り敢えずは、媒体にはなってくれてますが…ね?」


「つまり、まだ成長するのか…」


マッキーは、苦笑している。


「ルイスは、今の階級は、聖王なんだよな?神聖者は、次の階級だし頑張れ。取り敢えず、話が逸れたな。取り敢えず、聖域のタイミングは任せた。」


トキヤは、応援すると気持ちを切り替える。


「了解です。では、頑張りましょう!」


ルイスは、回復役をしながらタイミングを見計らっている。勿論、隙あらば攻撃にも参加する。


そして、エルダードラゴンが即死攻撃の予備動作に入った。その瞬間に、ルイスは聖結界を張る。そして、エルダードラゴンは溜め攻撃の為にチャージ状態に。ルイスは、流れる様に素早く聖域を解放。


強い衝撃と、揺れる地面。


無敵中なので、即死無効に成功。ルイスは、動かず祈りを捧げている。取り敢えず、無敵が切れた時点で聖域を解除して回復を始める。


全員が、全力で殴っていく。


そして、マッキーとトキヤがトドメを刺す。光になっていくエルダードラゴン。全員が、嬉しそうに歓声を上げる中、ルイスは視線を感じて振り向く。


すると、淡く光る聖人らしき人が…


ルイスは、驚いて固まる。そして、消えてしまいそうな聖人に慌てて駆け寄り手を伸ばすが消える。


あの聖人、顔は良く見えなかったけど微笑んでた?


この感覚、昔に感じた事がある様な…。


龍人アンデット…。あの時の感覚、それと同じ。何でしょう、僕は知らないといけない…。


何でしょう、この引っかかって取れない感覚。


「ルイス、あの聖人って。」


グレンも、真剣な表情で言うと無言で頷くルイス。


「落ち着け、ルイス。」


トキヤも、視認してたのか真剣に言う。


「どうすれば、知れるのでしょう。」


すると、ゲレティーがふわりと何もない場所から現れる。そして、威厳のある雰囲気で微笑む。


「迷える信者に、導きをあげよう。聖都グロリアに行けば、そして君が神聖者になれば全ての謎が解けるよ。けど、同時に覚悟を問われるけどね。」


「覚悟?」


すると、ゲレティーは言えないと首を振る。


「まあ、ここまでは良いかな。もともと、神聖者は7人居たんだ。けど、もう誰も生きてない。だからね、今現在の最高位の聖職者は聖王なのさ。」


ルイスは、驚いて固まる。つまり、後5人も別に居たと?しかも、生きてないって…。いえ、流石にプレイヤーなので死ぬ事はないでしょうが。


「聖都とは、遠い場所にあるのですか?」


ルイスは、聖都など聞いた事が無かった。何故ならば、βテストでは法律国家までしか解放されてなかった。聞いた事が無い国となれば未知数の場所だ。


「そうだね、5つ先にある国だよ。レベル500以上ないと、生きてられないから先ずは力をつけて。まあ、君の神様として応援はしとくよ。」


「500レベル!?」


グレンは、驚いて固まる。トキヤやマッキーは、険しい雰囲気だ。他の人も、動揺を隠せない。


「焦らず、皆んなでその場所に向かいます。」


ルイスは、深いため息を吐き出すと言う。


「うん、それが良いと思うよ。けどさ、分かってる?皆んなで、その場所に向かうって事は…」


「ゲレティー様、言わないでください。勿論、ちゃんと分かってますよ。けど、僕にだって危機感は感じますし、何より仲間は大切なのです。」


ルイスは、真剣な雰囲気で堂々と言う。


「うんうん、なら大丈夫かな。あ、そうだ。そのロザリオ、神聖者のレリックの意思には『セラフ』って名前がある。ちゃんと、認められる様に頑張ってね?特にその子、神になる資格を持ってるのに、ロザリオに引き篭もったかなりの変わり者だから。味方にすると、心強い守護天使になるはず。」


なるほど、何かしら鍵となりそうですね。


ルイスは、深いため息を吐き出すと頷く。ゲレティーは、優しい雰囲気で子供を宥めるように言う。


「君が知ってるのは、法律国家までだ。未知数な事に、不安や危機感を感じるのは仕方ない。けど、君らからしたらこの世界はゲームだ。だから、気負わずに楽しく過ごして欲しいな。」


「ありがとうございます。」


ルイスが、ふわりと笑うとゲレティーは頷き姿を消してしまった。ルイスは、考える雰囲気だった。


「ルイスゥ!取り敢えず、枝貰おう!」


マッキーは、笑いながらいう。ルイスは、キョトンとしていたが微笑んで頷き歩くのだった。

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