第169話 旅立ち組からの手紙

ルイスは、宿にてポーションを作っている。グレンとルーカスが、素材をちょいちょい置いては、トキヤ達の場所に戻っている様だった。


カリオストロも、ポーションを作る。


バロンは、お茶の練習をキリアとしている。キリアは、それを見ながらルイス達にお茶を出す。


「よし、取り敢えずは大丈夫ですかね。」


「そうだな。」


カリオストロも、頷くとキリアの置いた紅茶を手に取り、ゆっくりと飲んでいる。ルイスは、片付けをしている。すると、フクロウが窓辺に止まる。


「定期報告…。プロメア達から、ですよね。」


ルイスは、心配そうに錬金道具を置くと手紙を受け取る。さてさて、何が書かれているのやら。



定期報告

えっと、取り敢えずレッドボアを爆発させた、プロメアちゃんに爆弾禁止の抗議をしたよ?


火力調整、ヘイト管理、周辺把握そしてステイタス管理も出来てない状況で頑張ってます。


ステイタス管理は、僕…メウロがしてる。周辺把握は、ガイアくんがしてくれるけど…。火力は、調整しにくいし、2人とも誰かに合わせた事が無いらしく。とても、困ってます!助けて、ルイスさん!


回復が、回復が足りない!


ましてや、連携なんて絶望的だよ!パパさーん、娘さんメインに大変な事になってます!



定期報告

息を合わせようと、声を掛け合う様にしたけど、どうしても合わない。僕も、音を使った敵索をしたりして、頑張ってやっているけど…


プロメアが、火力がすば抜け過ぎてる。


だから、メウロではヘイトを奪えないのかも。このままだと、僕はともかく…メウロは大怪我する。


プロメアは、回復も得意じゃないし。


マスター、ヘルプだよ!



定期報告

プロメア、最初は全力で爆発させてたの。けど、メウロが怒るから爆弾が使えないの。ポーションも、悪くわないけど…目で見て効果が、大きく出ないから不満になるの。我が儘なのは、分かるけど…。


ガイアとも、喧嘩する事が増えて…。


このままだと、孤立しちゃう。プロメア、頑張るからアドバイスが欲しい!パパ、教えて!



ルイスは、無言で手紙を閉じて一言…。


「わお…。」


「ルイス、凄い表情してるぞ?大丈夫か?」


カリオストロは、キョトンとしている。


「ふぅ…。取り敢えず、プロメア達にレベルアップしてもらわないと、とても困るのですよね。エルダードラゴンを討伐し、1週間程の休暇を取りましょうか。邪神の影は、そう簡単には倒せませんし。」


ルイスは、考える雰囲気で言う。すると、トキヤとグレンとルーカスが入ってくる。


「何だ、トラブルか?」


トキヤは、思わず笑いながら言う。


「プロメアが、大暴走してるから父親として止めて欲しい!助けてくれ!もう、僕には無理!って書いてあるな。ルイスは、休み期間は教育か?」


グレンは、ルイスの持っていた手紙を、隣から覗き込み困った雰囲気で言う。ルーカスも、思わず苦笑する。トキヤは、悩む様な雰囲気である。


「出来れば、お前にも休んで欲しかったが。プロメアの暴走は、親であるお前しか止められない。」


そして、トキヤはルイスを心配そうに見る。


「まったく、仕方が有りません。breezeメンバーの為に、リーダーとして保護者として…何より、父親として頑張りますかね。やれやれなのです。」


ルイスは、困った雰囲気だが優しく笑う。


「手の掛かる子程、可愛いって言うでしょう?」


「いささか、問題児だけどな。」


ルイスの親バカ発言に、手厳しい言葉を呆れながら返すトキヤ。グレンも、真剣な雰囲気である。


「取り敢えず、俺も手伝おうか?」


「メウロ君が、剣士なので手伝いは不要です。こう言っては何ですが、僕も積極的に回復やサポートをする気は有りませんからね。3人で、先ずは動ける様に練習させなければ…。いろいろ、考える事が多いですね。まあ、少しずつやりますか。」


深いため息を吐き出し、立ったまま考え込む。


「困ったことが有れば、いつでも相談に乗るし手伝うからな?お願いだから、独りで溜め込むなよ?」


トキヤは、少しだけ心配そうに言うのだった。


「はい、ありがとうございます。」


ルイスは、笑顔で頷き手紙を机に置くと、片付けの続きを始めた。キリアとバロンは、紅茶と茶菓子を4人に出すと部屋の隅に移動するのだった。


「何にせよ、まずはエルダードラゴン討伐です。それが終わらないと、スタート地点には立てないのですから。ポーションは、出来ましたよ。」


ルイスは、紅茶を手に取り言う。


「後は、まっちゃん達しだいだな。」


ルイスは、無言で頷くのだった。

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