第156話 獣王国での過去の悲劇
まず、キリアには話してなかったけど、キリアの父親は伝説級の凄腕暗殺者。母親は、国勤めの暗殺部隊の諜報員だった。キリアの種族は、猫人族でも珍しい種族らしい事。ローアンは、キリアの父親とは戦友だった事を話し出した。
「キリアさんの父親とは、会った事があります。それに、過去にローアンさんとも話してましたよ。でなければ、暗殺ギルドを探せる訳ありません。」
ルイスは、笑うと紅茶を飲んでいる。
ガリレフは、ヒューマンだ。そして、自身について語り出した。自分は、獣王国の衛生部隊の人間だった事。仲間に裏切らられ、冤罪が掛かってる事。バロンの父親も、免罪によって処刑された事。
バロンは、驚いてから固まっている。
「なるほど。」
ルイスは、考える雰囲気である。
「それと、僕達が君の仲間なのはあちらも知ってるはず。もしかしたら、ゆすりをかけて来るかも。」
ガリレフは、ルイスに複雑な表情を向ける。
「でしょうね。」
ルイスは、紅茶を飲むと微笑み続ける。
「ガリレフさん、貴方の不安は理解しました。でも僕達は、どんな辛い過去を持っていても仲間です。見捨てませんし、過去ばかりに囚われるのはいけないですよ。何せ、僕達は生きている以上は未来が有ります。後ろを向いて歩くよりも、前を向いて歩かないと危ないですよ?まあ、否定はしませんが。」
「仕方ないよ、引きずってしまうんだから。」
ガリレフは、苦笑してから言う。ローアンも、少しだけ微笑む。バロンは、複雑な表情だ。キリアも、少しだけ混乱している。ルイスは、それを見て心のケアが必要だと感じる。そして、お茶とお菓子をだしてから部屋に鍵をかける。
「バロンさんは、父親の事は?」
「小さな頃に、会った事がある。でも、事故死って言ってたじゃんか!何で、そんな…」
ガリレフとローアンは、無言になってしまう。
「バロンさんを、守る為ですよ。」
ルイスが、優しく言えば2人とも驚く。
「おそらく、衛生部隊に入れるならバロンさんの父親は貴族なはず。この世界で、唯一貴族しか所属できない部隊ですから。なら、免罪とはいえ断罪が決まったなら、家族全員が処刑対象になります。」
すると、正解なのか驚いてルイスを見るガリレフ。
この世界、そういうのも細かく作られてるので、一応は把握はしてたんですよね。王家や貴族のゴタゴタに、僕達も巻き込まれるのは嫌だったので。
「そんな、俺を守る為に…」
「それと、これは僕達の世界でもある事ですが。子供を守る為に、嘘をつく事を選ぶ大人は結構いるものですよ?それは、優しさ故の嘘なんです。」
ルイスは、心が痛い気がした。
「…そっか、ごめん。まあ、分かった。」
バロンは、泣きそうな表情で頷く。けど、何処かスッキリした様だ。もしかしたら、バロンは子供ながらに違和感を感じていたのかもしれない。
ルイスは、次にガリレフを見る。
「それで、そんな医療部隊に所属していたガリレフさんも貴族ですよね。そっちは、大丈夫です?」
「僕は、法律国家からの留学医師だからね。一応だけど、冤罪を掛けたけど処刑は出来なかった。その代わり、法律国家にお金を請求してたみたいだけどね。まあ、所詮は替えの効く医師…捨てられた。」
すると、ルイスが険しい雰囲気になる。
「ロイゼフやティハナは、仕事をしてないと?」
ルイスの口から出た、法律国家の有名人の名前にガリレフだけでなくローアン達も驚いている。
「まあ、良いです。解放されしだい、凸して絞めてやれば良いだけですから。そうする事にします。」
「ちょっ、え?え?御二方と知り合いなの?」
ルイスは、キョトンとしてから頷く。
「図書館に、良く入り浸っていたので。」
「図書館……。あの、ルイス君?あの図書館、利用条件が厳しいのに入れたの?君、天秤階級は?」
ガリレフは、混乱した雰囲気である。
「当時は、100でしたけど?」
あれ、ガリレフさんが突っ伏した。
「なんで、限界突破してるかな?そんなの、過去の炎天神楽くらいしか取れない権限でしょ……。」
その、炎天神楽の創立メンバーとは言えませんね。ここは、話題転換しましょうか。そうしましょう。
「冗談ですよ。なら、ガリレフさんは大丈夫ですかね。ローアンさんは、不安要素はあります?」
ルイスは、ローアンを見て微笑む。
「俺は、魔短剣の継承者だ。それで、引き抜きが来るかもしれない。もしかしたら、珍しい種族だからキリアの保護を申し立てして来るかもしれない。」
「あ、それは想定内です。」
サラッと、ルイスが言ったので固まるローアン。
「大丈夫、何があっても最後は絶対に助けます。」
ルイスは、真剣な雰囲気で言う。
「ああ、俺も…俺たちも信じている。」
4人は、とても嬉しそうに微笑むのだった。1人になったルイスは、チャットを打っている。そして、同盟リーダー+βプレイヤーを呼び出した。
「さて、大事なお話でもしようか?」
ルイスは、ロールしながら笑うのだった。話し合いが終わり、解散した後にニコニコなルイス。
「最近は、引っ込んでたと思ってたのに…」
トキヤは、頭が痛そうになる。
「ごめんなさい。」
ルイスは、苦笑してから言う。
「いや、謝るなよ。炎天神楽メンバー、まともな奴らが手伝いを申し出てる。どうする?」
トキヤは、昔みたいな雰囲気で言う。
「炎天神楽、解散してたんですね。なら、利用しない手は無いかと。こちらには、トキヤさんも居ますし。ただ、警戒だけはしておきましょうか。」
口調は、壊さず腹黒い微笑みで言うルイス。
「目的は、俺だろうけど。」
「何の為に、巻き添えにしたと?」
すると、トキヤは驚いてルイスを見る。
「なるほど、引き抜きを防ぐ為かよ?つまり、お前は前から知って裏で考えてたと。」
「まあ、僕はそういう歪んだ人間なので。」
ルイスは、そう言うと立ち上がる。
「いや、スッキリさせて次のステップ踏もうと、いろいろ考えてるって思うと嬉しいぞ。」
「一応、このクランのリーダーですから。」
テンションを下げて、ルイスは呟いた。
読者の独り言
さあ、上の状況を笑い飛ばすぞ!
胸糞展開には、なら無い予定。
あくまで、過去は胸糞展開ですが。
現炎天神楽は、そろそろ撤退して欲しい所。レンジの件で、ルイスもイライラしてますし。
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