第155話 解放レイドのお誘い

さてと、色々と見て周り休憩の為に喫茶店へ。瑠衣は、紅茶を飲むとホッと一息つく。全員が座り、取り敢えず飲み物を頼む。瑠衣は、苦笑して言う。


「ちょっと、疲れちゃった…。」


すると、時矢と牧田は微笑ましく言う。


「年相応に、楽しんでる様で何よりだ。」


「良いんじゃね?神崎も、お疲れだな。」


神崎は、マグカップを置くと苦笑い。


「すみません、楽しくて…」


すると、時矢は暢気に言う。


「ゲームでみたく、タメ口で良いぞ?親しみを込めて、そう言う言葉を使っているのは理解してるし。瑠衣は、素が敬語だから諦めてるが。」


すると、牧田も笑うと頷く。


「仕事とプライベートは、別だから歳下とか関係ないって。プライベートだし、気軽に話そうぜ!」


すると、神崎は少しだけ躊躇って頷く。


「まあ、それで良いなら。」


時矢と牧田は、優しく頷く。


「そうっすよ、俺にもタメ口で良いっす。」


神崎は、笑うと頷く。牧田が、話題を振る。


「そう言えば、エルフ国解放の前提条件だけど。」


「獣王の病気と、謎のレイドか?」


アーサーは、考える雰囲気である。


「残念っすけど、俺も参加してないので知らないっすね。イギリスサーバーは、バグで解放されたって風の噂程度に聞いたっすけど。」


瑠衣は、考える仕草をする。


放置してても、解放される可能性がある?ふむ、考えられる可能性は獣王が死んだ…でしょうか?


ですが、クエストに治療が入ってます。


つまりは、死んだ場合には何かしらのプレイヤーに取って不利益をもたらすはず…。謎のレイドについても、死んだ場合は正常に動かないと予想します。


まあ、今のところ僕達には関係ないですね。


「そう言えば、何で風の噂程度?」


神崎の言葉に、思わず固まるアーサー。瑠衣は、素晴らしい笑顔。そして、悪戯っぽい雰囲気で言う。


「絶賛、兄弟喧嘩中だったもんね。」


すると、アーサーは目を逸らす。


「ぐふっ!せっかく、忘れてたっすのに!」


4人は、思わず笑っている。アーサーも、深いため息を吐き出すと釣られて笑う。


「と言う訳で、盟主様。お手数だが、前線まで出てこようか?来なかったら、全員で迎えに来る。」


瑠衣は、驚いてから固まる。


「えっと、同盟で動くの?」


キョトンと、そう呟くと首を傾げる。


「これ、薬師と聖職者と戦闘要員が必要だろ。」


「全て、当てはまる有能な人材が居るんだ。そりゃあ、使わない手は無いよな。って話だよ。」


時矢の言葉に、牧田はノリノリで答える。


「有能かはさて置き、薬師も聖職者もメンバーに居るでしょう?僕が、行く意味があるの?」


「「「「ある!」」」」


全員に言われ、瑠衣はキョトンとした。


「「「「NPC好感度!」」」」


すると、瑠衣は納得して頷く。


獣王国には、夏のイベントにて好感度が上がっている。王太子からも、何気に利用しようとした事の謝罪を聞いている。そして、何かあれば協力するとも約束していたのだ。リルとソルが、精霊獣でありルイスに懐いているのも理由だったりする。


精霊獣は、進化すると聖獣になる。そして、試練をクリアすれば神獣にもなるのだ。獣王国は、神獣宗教であるので国民からも好印象なのだろう。


獣人は、仲間意識の高い種族。なので、1人から好印象を持たれると周囲も好印象に思ってくれる。 


「さてと、家まで車で送るよ。」


時矢が言うと、全員で移動する。車の中で…


「今夜は、ログインするのか?」


「はい、プロメア達が心配なので。」


瑠衣は、口調を戻して笑顔で言う。


「俺も、友達と約束あるしログインする。」


神崎は、高校の友達ともゲームしている。


「なら、俺もログインしとくかな。」


時矢は、暢気にそう言いながら運転している。


「何かあれば、連絡が欲しいっす!」


アーサーは、イギリスサーバーにいる為に言う。


「分かりました、獣王国に行く準備を各自でお願いします。準備完了を、同盟クラン全員に確認ししだい行きます。まあ、3日も要らず準備しそうですがね。同盟の掲示板に、書き込んでリーダーは参加の意思を確認する事も書いとけば良いでしょう。」


瑠衣は、暢気に笑うと言う。


「OK!俺が、書いとく。」


「そうだ、神崎くんは大丈夫ですか?」


瑠衣は、神崎の人付き合いを気にして言う。


「おう、予定は無いし大丈夫。」


「そうですか。」


神崎は、瑠衣を見てから言う。


「瑠衣は、クラスでどんな感じ?」


「うーん…、何か既にグループが出来てしまっていて。まだ、正直なところ馴染めません。でもまあ、普通にクラスメイトは接してくれるから、それはそれで良いかと思ってます。気楽ですし。」


瑠衣は、ドヨーンとした雰囲気で苦笑。


「瑠衣も、どんどん話し掛ければ良いのに。」


神崎は、キョトンとしている。


「グループに、声を掛けても何だコイツって雰囲気でしたし。別に、無視されてる訳では無いので。僕は、中学時代みたいに基本は空気になります。」


大人メンバーは、心配そうに聞いている。


「俺が、お前の教室に凸しようか?」


「やめましょう?別な意味で、賑やかになります。神崎君狙いの女子、学校の人気者と仲良くなりたい生徒に囲まれるとか…。地獄でしかないです。」


瑠衣は、経験があったのか表情を引き攣らせる。


「その節は、迷惑かけてゴメンナサイ…。」


神崎も思い出したのか、苦々しく謝る。


「そうだ、僕はバイトする事にしました。」


すると、大人3人が驚く。


「えっと、お金に困ってるっすか?」


アーサーは、心配そうに言う。


「いや、家に居たくないんだろ?だが、別にバイトをしなくても良いんじゃ…遊びに出掛けるとか。」


時矢は、事情を知っているので言う。


「どうせ、遊びに出掛ける友達も少ないです。遊びに出掛ける時は、調整して貰えばいいだけですし。それに、兄さんも最近は帰って来なくなってきてますから。親と2人は、精神的に辛すぎて…。」


すると、牧田は暢気に笑って言う。


「それで、何処でアルバイトするんだ?」


「喫茶店、木漏れ日喫茶です。内装も、木材が使われていて落ち着いた雰囲気の喫茶店ですよ。」


すると、時矢は笑って言う。


「breezeでの、接客を活かせそうだな。」


「OK!たまに、お邪魔するかも。」


牧田も、暢気に笑う。アーサーは、パソコンで検索している。隣で、牧田も映像を見ている。


「取り敢えず、部活とアルバイトしてれば、家に居ないですし親にも迷惑をかけませんから。そういう事で、いつものログイン時間に戻ります。」


「了解、頑張れ。」


時矢は、心配そうだが応援する。


「バイトか…。俺は、サッカー部だし大会や練習試合とかあるからな。したいけど、無理なんだ。日曜日は、部活休みだし日曜日だけバイトするかな?」


神崎が、言うと大人3人は苦笑。


「おいおい、2人とも過労で倒れるなよ!?」


牧田は、驚いてから心配そうに言う。


「別に、学校を卒業してからでも良くないか?」


時矢も、苦笑して言う。


「無理は、ダメ絶対っす!」


アーサーも、真剣に言っている。


「大丈夫ですよ。それと、神崎君…。次のテストで赤点を回避しないとバイト許可は出ませんよ?」


瑠衣は、笑ってから真顔になり言う。


「ぬぅおー、そうだった。無理だわ、バイト!」


神崎は、悲鳴をあげてから真顔でキリッと言う。


「諦めが早いだろ!?」


牧田が、高速なツッコミを入れる。笑いながら、帰るのであった。そして、家に帰り一目散に部屋へ。


ログイン


そして、これからの予定について説明する。


「ルイス君、少しだけ話があるんだ。キリアと、バロンそしてローアンを含めて話せない?」


ルイスは、頷くと気を利かせてその他が出て行く。


「もしかすると、君を巻き込んでしまうかも…」


キャラクエスト:とある薬師の隠し事

キャラクエスト:破滅の短剣と契約

キャラクエスト:それが、どんな運命だとしても

キャラクエスト:交わした密約、流した涙

キャラクエスト:それでも、僕達は信じてる


いきなり、解放されたキャラクエストに驚く。ルイスは、真剣な雰囲気で座る様に促す。


そして、ガリレフは重たく口を開くのだった。

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