第148話 マンティコア後編

ルイスは、首に掛けていた指輪を外すとストレージに直す。そして、不敵な微笑みを浮かべる。


「そろそろ、真面目にしないとトキヤさんに怒られそうなので、ちゃんと頑張りましょうかね。」


「最初から、そうしてくれ…」


トキヤは、苦笑しながら言う。


ルイスは、素早く走り更に加速する。


「ルイス、合わせる気ないだろ!」


トキヤは、疲れた雰囲気で言う。


ルイスは、ナイフを投擲する。マンティコアは、前脚でルイスを押し潰そうとするが聖結界で自分を囲むルイス。そして、挑発スキルを発動する。


龍の傲慢

相手を挑発し、自分に強制的にヘイトを向ける事が出来る。上手く使えば、敵のスキルをキャンセル可能である。『傲慢なる龍は、時に仲間に勇気を与える。』このスキルを、使用時に味方がスタンを受けると1度だけスタンを無効化する。(※全攻撃有効)


マンティコアは、結界を壊そうと暴れる。自慢の素早さで勝負をさせない作戦である。


トキヤは、それを見て攻撃を開始。


「破壊の化身が、削除された代わりに大罪スキルが追加されたのですよね。本当、便利です。」


トキヤ達が、ダメージを受ければ回復して、更にヘイトを稼ぐルイス。ランコルは、ひたすらバフをかけている。ルイスは、デバフをかけている。更に、ヘイトを集めるルイス。マンティコアは、イライラするがふとプロメアを見てニヤリと笑う。


「プロメアに、手を出したら許しませんよ。」


素晴らしい笑顔で、原初の黒龍を発動させる。そして、龍の威圧を発動。動き出しに、発動した為に硬直が起きてこけるマンティコア。ルイスは、その体に無言で短刀を突き立てる。原初の黒龍で、スキル火力が爆発的に上がっているので高ダメージ。


ルイスは、短刀をしまう。そよ風で、ルイスの髪が靡いていて、なかなかに恐ろしい雰囲気だ。


「えっと、プロメアちゃん大丈夫っすか?」


どう、反応して良いか困りルーカスはプロメアを見て聞く。元気な返事を聞いて、ルイスは落ち着く。


「ルイス、同じ手は使えないぞ。」


トキヤの声に、ルイスは無言で頷く。


「あの、ルイス様…無言は怖いって。」


バロンは、苦笑しながら言う。


「ん?すみません、あのでっかなお肉をどう料理するか考えてました。生は宜しくないので、しっかりと火を通す必要がありそうですよね。」


すると、大人陣営も少しオロオロしている。


「焼くのは得意だぜ?」


グレンは、ノリノリで言う。


「グレンは、ダメだ。絶対に、火加減を間違えて炭にするだろ。ミディアムも、悪くないと思うが。」


トキヤも、乗り始める。


「レアは、血生臭そうっすよね。」


このタイミングで、原初の黒龍の効果を切る。


マンティコアは、マンイーターを発動させる。トキヤ達は、弱体化されてしまう。これなら、全員を守る事は出来ないだろうと笑うマンティコア。


「別に、全員を守る必要はありません。要するに、マンティコアを囲えば良いだけの話です。マンイーターが、切れるまでに回復されたく無いので。」


ルイスは、聖結界にゴーレムを投下。


マンティコアは、次々とゴーレムを力技で倒すが、流石に無傷とはいかない。ルイスは、静かにそれをみている。そして、プロメアに視線を見れば頷くプロメア。三角フラスコに、試験管の液を入れる。ルイスも、合わせる様にフラスコに試験管の液を入れている。そして、同時にマンティコアに投げた。


「今日のは、プロメアのとっておきだよぉー!」


「余り、変な事しないでくださいね。」


爆発音とマンティコアの悲鳴、マンイーター解除。ルイスは、聖結界を解除して龍の威圧で牽制。


「俺も行くぜ、業火聖剣!」


「ゲヘナゲート!」


火の海に、禍々しい門が浮かび幻想的である。門の前で、ルーカスが大鎌を両手で構え。グレンは、剣を鞘に戻す。業火ダメージ、3ターン回復不可能になる。次に、バロンとキリアが走り出す。


「死の前兆…」


「忍び寄る終焉…」


闇が広がり、亡霊が近づいては消えて行く。マンティコアに、ドレインとカースの異常がつく。次に、レンジとアベルは勢いよく出て動く。


「粉砕気合い斬り!」


「漢気!」


両手剣を強く握り、チャージする。アベルは、マッチョポーズをする。凄く恥ずかしいのか、アベルは赤面させている。そして、同時に攻撃。物理ダメージ、物理ダメージ上昇バフが自身につく。


「よし、やろうぜカリオストロ!」


ドラコフの言葉に、嫌々ながら動く。


「ドラゴンスラッシュ」


「祖よ、巡りて書き換え顕現せよ。」


機械仕掛けの魔神は、咆哮する。背後で放たれたドラゴンが同時に咆哮。カリオストロは、銀時計をパチンと閉じてドラコフは剣を構えたままだ。おそらく、カリオストロの機械仕掛けの魔神は偽物だ。


銀時計に、魔神の記録が付与されていて、素材を対価に錬成復元した物である。ルイスとルーカスは、真剣な表情でそれを見ている。


魔法ダメージ、スキル封印•行動速度減少。


「みんな、凄いね。」


「だな。」


ローアンとガリレフは、笑いながら言う。


「竜をも殺す、毒の味はどうだい?」


「即死は、無理だな。可哀想に…」


ガリレフは、毒の瓶を構えローアンもナイフを構えて同時に攻撃する。毒継続ダメージ、盲目付与。


トキヤとランコルは、遠目の位置にいる。


「哀れな我々に、悪魔を討ち倒す祝福を…」


キラキラと、美しい光が降り注ぐ。ステータスアップ、火力上昇バフ。トキヤは、ジョブを狩人に。


「狙った獲物は、逃がさない…狩りの時間だ!」


ハンティングタイム発動、隠密性と一発一発の火力が上昇する。攻撃が当たれば、当たる程にダメージ量は増える。素早く、弓スキルを発動させる。


雨矢の奇襲、雨の様に矢が降り注ぐ。


「銃が欲し過ぎる…。弓は、ダメージ出ない。」


トキヤは、深いため息を吐き出して言う。マンティコアは、回復する為に逃げようとする。


「聖域解放、これより此処は私の聖域である!」


ルイスは、ロザリオを握り祈る。武装した、ゲレティーが険しい表情で旗を掲げる。精霊王は、杖を微笑みながら掲げている。そして、姿が消えた。


HP•MP全回復、異常無効と180秒(3分)無敵状態である。3柱揃ったら、楽しい事になりそうだ。


効果がデカい代償に、ルイスはずっと祈り続けないといけないし、無防備状態になってしまう。更に言えば、その場から動けなくなるのである。


前は、神託の御旗が使えたがレイド専用になった。


なので、神殿に売ってあるロザリオを軸にした聖域を作り出したのだ。勿論、今回だけである。


また、信仰度が低いと発動しない。何にせよ、マンティコアは袋の鼠である。逃げ場を失い、トキヤ達の連携で無事は討伐完了である。


ルイスは、ホッとする。パァン!と音がして、ロザリオが割れてしまった。ルイスは、袋に入れる。


「ふぅ…、終わりましたね。完封してたので、トリエントよりは苦戦はしませんでした。」


「後で、映像みたい。」


トキヤは、ジョブを剣士に戻してから言う。


「そうですね、後でなら。リーダークエスト、終了です。お疲れ様でした。そして、今からお店の薔薇園でシラユリを復活させたいと思います。」


すると、全員が驚いてから笑う。


「同盟メンバーで、来たい方は開けておきます。」


「そっか、揃ったんだったな。」


トキヤも、優しく微笑む。


「はい。それと、シラユリの名は使えないみたいなんです。僕、ネーミングセンスがないのに。」


「頑張れ!」


全員が、笑顔になるのだった。


「配信は、ここで切りますね。」


配信OFFにして、海経路で帰宅するのだった。

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