第139話 それぞれの動き

うーん、遠ざけられたな。ルイス達とは、逸れたかな?いや、わざと引き離されたか。グレンは、周りを見渡せばロゼと3人のプレイヤーが居る。


5人か…。ルイスと、チャットしたいが鎖マークが出ていて書けない。これは、どうすれば…。


追っ手みたいなの、来たみたいだ。やるかな…


グレンは、素早く動くとロゼ含めたプレイヤーも、急いで交戦開始する。取り敢えず、追っ手は全て倒したな。あれ、チャットが使えるじゃん。って、ルイスからチャット来てる。えっと、結界の綻び…。結構、多いが何とかなるか?


「ロゼさん達、俺とマップ共有してくれ。この、綻びとやらを壊さないと、一部のスキルを封じられてしまうらしい。ルイスも、既に動いている。」


すると、ロゼは素早く共有してマップを確認。


「うーん、困ったね。取り敢えず、近場の目印に行こうか。そして、壊してしまおう。」


ロゼが、考える雰囲気で呟く。グレンも、頷く。


「ルイスは、交戦中らしい。伝言、加護持ちに気をつけて。かなり、厄介で強いので。らしいぞ。」


すると、ロゼは嫌な雰囲気になる。


「やめて欲しいな、やっとエルフとお友達になれたのに…また、争わないといけないだなんて!」


そして、少しだけ怒りを滲ませて言う。


「まったくだぜ、せっかく良い雰囲気なのに。」


グレンも、深いため息を吐き出して交戦開始!


精霊術師3人 精霊剣士5人 精霊呪術師2人


グレン達は、冷静な雰囲気である。




さてと、困ったっす。隣には、ポロポロと涙を流して、ルイスの兄貴を探すプロメアちゃん。


残念ながら、居ない雰囲気っすね。


取り敢えず、俺とプロメアちゃん。他に、プレイヤーが2人っすか。追っ手が、来たっすね。回復役が居ないのは痛いっすけど…やるしかないっすね。


「行くっすよ!追っ手が、迫ってるっす!」


2人は、無言で頷くとルーカスに続いて走り出す。プロメアは、試験管を取り出し、素早く3人にバフポーションを投げる。驚く、3人にプロメアは…


「プロメアは、パパの子だもん!頑張れるもん!」


短剣を構え、怖さを誤魔化す様に鼓舞する。


「これは、ルイスの兄貴も喜ぶっすね。じゃあ、プロメアちゃん。バフとデバフ、お願いするっす!」


ルーカスは、大鎌を構えて好戦的な笑みを浮かべている。プロメアは、真剣に頷き試験管を取り出す。


「あのね、とあるプレイヤーが前にね言ってたの。プロメア、面白いと思って作った試作品だよ。」


プロメアは、不穏な雰囲気でフラスコを見る。


「芸術は、爆発ダァー!いけぇー、ドッカン☆」


「ちょっ!?」


ルーカスは、慌てて回避…。轟音に近い、爆発音。


「誰だ、プロメアちゃんに余計な事を吹き込んだ罪深い奴は…。ルイスの兄貴と、後で一緒に挨拶しに行くっすから…首を洗って待って居ろっす。」


ルーカスの怒りオーラに、苦笑する2人。プロメアといえば、考える雰囲気でフラスコをもう一つ。


「まだ、微調整が難しいなぁ…。そうだ、パパと合流したら自慢のついでに相談するの!」


少しだけ、ウキウキしてプロメアは言う。


「まあ、実験対象にも困らないっすしね。それと、さっきの感想はノーコメントっすよ。」


ルーカスは、深いため息を吐き出した。




ルイス達は、何と1つ目の綻びを破壊。


「かなり、手強かったな。さあ、進もう。」


ティファニアは、笑いながら言う。


「……いえ、休憩しましょう。」


ルイスは、息切れをしているティファニアを、静かな雰囲気で見て言う。確かに、手強かったが息切れする程に強い敵では無かった。そこで、1つ思い立ったのが精霊王の呪いだ。彼女は、おそらくだが加護に近づくだけでも苦しいのだろう。


「だが!」


「お願いですから、命を削るような無茶をしないでください。大丈夫、僕達だけが行動している訳ではありません。だから、生き急がないでください。」


すると、ティファニアは涙を流す。


「どうせ、後数ヶ月の命だ。なら、最後くらい聖騎士として…誰かの為に、暴れて何が悪い!」


拳を握り、叫ぶ様に悔し気に言うティファニア。


「それも、精霊王の呪いが解ければ問題なくなりますね。結界が壊れれば、僕が解呪しますから諦めないで。僕は、僕の神様を信じていますから。」


ルイスは、何かを考える様に黙り込んだゲレティーを見ている。ティファニアも、思わず視線を向けている。ルイスは、ティファニアが落ち着く様に、水筒を渡す。中は、ハーブティーである。


「ありがとう、落ち着いた。」


ティファニアは、恥ずかしそうに赤面して言う。


「ん?あれ、落ち着いた?」


ゲレティーは、キョトンして近づく。


「ゲレティー様は、何か飲みます?」


「そうだね。水樹の聖霊水、確か持ってるよね?」


ルイスは、頷くと水筒を渡す。


「君、飲み物と食べ物は常備なんだね。」


ゲレティーは、呆れた雰囲気である。


「常に、食べ盛りが周りに居ますからね。」


ルイスは、キョトンとしてから優しい笑顔。


「なるほど。さて、次はこっちに行こう。多分だけど、世界樹に近づけば近づく程に、加護持ちは増えるし敵も増えると思う。ルイス、指示出してね。」


ルイスは、無言でチャットを打ちながら頷く。


「さて、そろそろ行こうか。」


ゲレティーの言葉に、ルイス達は動き出す。


「それにしても、ルイス。」


「はい?」


ルイスは、キョトンとしている。


「僕は、僕の神様を信じているって…。」


ゲレティーは、ニヤニヤしながら言う。


「ぐっ!聞いてないと思ってたのに!」


ルイスは、呻くとヤケクソ気味に戦闘開始。ティファニアは、それを見て思わず笑うのだった。

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