第138話 攻防戦開始!

さてと、取り敢えず追っ手は来ていませんね。ルイスは、指輪を外し龍人になる。


「!?ルイス様は、龍人なのか!」


ティファニアは、驚きルイスを見ている。


「ん?はい、まぁ…。」


キョトンとして、ルイスはティファニアを見る。


「なら、この国にいる時はその姿で居た方が良い。エルフと龍は、古の時代からの盟友だ。そして、精霊達とも龍は仲が良いからな。エルフは、精霊王様が現れる前は龍神様を崇拝していたしな。」


それに、その姿も可愛いらしくて眼福だ!


「……何でしょう、可愛いと思われてる気が。」


ルイスは、少しだけ複雑な雰囲気で呟く。


「あはは…、気にしたら負けだよ?」


ゲレティーは、乾いた笑いを零し呟く。


しまった、表情に出てしまった様だ。コホンッ、聖騎士たる者…常に冷静を心掛けなければ。


「空歩が、使えません…。」


ルイスは、黒表示になっているスキルを眺める。


「やっぱり、結界が張られてるんだね。」


ゲレティーは、困った様に笑って言う。


「ん?どういう事でしょ?」


ルイスは、キョトンとしている。


「うーん、結界にもいろいろ有るけど。精霊結界はね、力を封じる事に特化しているんだ。」


ゲレティー様のスキル教室!デデン!


*聖結界…穢れを弾き閉じ込めて行動阻害する。

*神聖結界…相手を弱体化させ自身にバフがつく。

*精霊結界…力を封じ魔法の使用が禁止される。

*呪詛結界…相手を弱体化させて呪いをつける。

*聖龍結界…相手を異常にしMPを徐々に削る。


五大結界と呼ばれる、結界の基礎である!


結界は、言わば自分のテリトリーを示すもの。不可視の結界も、多くある。まあ、呪詛結界を除く結界は聖域と呼ばれる。聖域を張れるのは、神様や精霊王…聖獣だけではない。高位な聖職者でも、資格を与えられた者のみが使用できる。


聖結界は、自分より格上なら逃げられる。神聖結界は、使用者が致命傷を受けると解除される。精霊結界は、結界の綻び場所を攻撃すれば簡単に壊れる。呪詛結界は、呪詛を返されれば強制解除。聖龍結界は、使える龍人が居ないので謎であると説明。だから、ルイスはしっかり習得すべきだとも力説。


「な、なるほど…。つまり、綻びを探すんですね。ですが、情報が足りなくて場所の予測が…」


ルイスは、困った雰囲気である。


「ルイス、この国は2つの魔法陣が重なっている。1つは、自然災害を退ける魔法陣。おそらく、これはもともとあったものなんだろうな。古い式だし、ずっと使われている形跡がない。問題は…」


「もう一つの、呪詛精霊による禁式だろうな。」


ティファニアは、深刻な雰囲気である。


「これ、もしかすると…。この魔法陣の線が重なる位置に綻びが有るのでは?確か、対立する術式は壊し合い拒絶反応を起こす。何かの本で、見ました。となると、全部で26箇所…。グレン達に、情報を共有して協力すれば何とかなりそうですね。」


ルイスは、思い出す様に記憶を辿りながら言う。そして、情報を共有する為にチャットを開く。マップを広げ、目印をつけてマップ共有もする。


ちなみに、マップ共有すると共有者が操作出来る様になる。終わったら、目印を外して貰い効率的に動く予定である。おそらく、敵も現れるだろう。ルイスは、険しい雰囲気で素早くチャットする。


「ルイスは、創世術式のグリモアを読んでたんだ。あれは、全ての役職共通のグリモアなんだ。ちなみに、作者は神王になる前の僕だよ。凄いでしょ?」


「そうですね。さあ、近場の目印に行きますよ。」


ルイスは、軽く流すと走り出す。


「あの、もう少し何か反応してくれても…」


ゲレティーは、ガーンとして言う。


「忙しいので、また後でお願いします。」


「あ、はい…」


ルイスの笑顔に、大人しく頷くゲレティー。ティファニアも、慌ててルイスを追っている。


「なんて、破壊力のある笑顔なんだ。笑っているのに、笑ってない…。怒っていても、可愛い!」


ティファニアは、小さくブツブツと呟く。


「うーん…、薄々は感じていましたが。ティファニアさんって、とても特殊な性格なのですね。」


ルイスは、遠い目をしている。


「今更だよね。さあ、敵が来たよ!」


精霊術師3人  精霊剣士5人


「ルイス、こいつら強いかも!油断しないで!」


ゲレティーは、険しい雰囲気である。


「加護付きか、厄介ではあるな…。」


ティファニアも、冷や汗を流している。


加護付き…、精霊王の加護ですか。相手はエルフ、同胞討ちは大罪です。ティファニアさんに、攻撃させたく有りませんが…。そうなると、負けますね。


「大丈夫だ。私は、罪人の末裔…。今更に、罪が増えても痛くも痒くもない。だから、躊躇うな!」


ティファニアは、真剣な雰囲気になり走り出す。ルイスは、苦々しく呻くと走り出す。


「ルイス、おそらくティファニアは…」


ゲレティーは、ティファニアの覚悟を感じる。


「何とか、上手く立ち回るしかないです。ここで、ティファニアさんが断罪されれば、悔いしか残りませんから。絶対に、守ってみせます。」


ルイスは、思考に足下を取られない様に、頭を回転させながら交戦する。ゲレティーは、やれやれと笑っている。事実、ルイスなら…龍人ならば、可能性は有るだろう。そう、ゲレティーは思ったのだ。


こうして、結界の綻びを巡る攻防戦が開幕した。















作者の独り言…


くっ、珈琲でも睡魔には勝てないのか!誰か、良い寝落ち対策をば…私に、授けてくれ!

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