第135話 思い合う仲間

取り敢えず、前向きに考えましょう。せっかく、戻って来たのにこの調子ではいけませんし。


「ルイス、ちょっと失礼する。」


「あ、カリオストロお帰りなさ…い?ちょっ!」


カリオストロは、ルイスを抱えると大人化したソルの背中に乗せる。ルイスは、混乱している。


「じゃあ、行ってこい。」


ソルは、軽く走る。カリオストロは、転移門に消えたルイスを見ると深いため息を吐き出す。


「少し、強引じゃない?」


ガリレフの言葉に、カリオストロは苦笑する。


「あいつの為だ、さてそろそろか?」


すると、キリアとバロンとプロメアが帰って来る。


「ルイス様、元気ありませんでしたね。」


キリアは、エプロンを着けて腕を捲る。バロンは、買い物した物を置くと壁にもたれる。


「まあ、トキヤさんも行ったし大丈夫だろ。」


ローアンと、ランコルもエプロンを着ける。プロメアは、エプロン着るのに手こずっている。キリアはそれに気づき、優しく手伝ってあげている。


プロメアのお兄ちゃんポジである。


事実な話、ルイスから料理を教わり、プロメアにとっては料理分野では兄弟子となる。


「それじゃあ、我らが主様の為に頑張るか。」


ローアンは、素材を出しながら言う。


「じゃあ、僕とカリオストロさんとドラコフは部屋の掃除とセッティングかな。」


ガリレフは、笑いながら言う。


「だな。空き部屋に、新しい家具を運ぶか。」


少しだけ、面倒そうに言うカリオストロ。


「力仕事は、任せろ!」


元気に、ドラコフは言うと掃除道具を持つ。


「じゃあ、俺は何か細工でも作るかな。」


バロンは、皆んなが集めた素材を見て言う。


主様、大感謝祭…。


後に、そう呼ばれる準備が始まろうとしていた。




えっと、あの…追い出されてしまったのですが!?ええ…。取り敢えず、どうしましょう?


「ルイス、少しお茶しないか?」


トキヤは、暢気に笑う。


「そう、ですね…追い出されましたし。久しぶりにですが、ホーム以外でお茶するのも良いかもしれません。ついでに、日本サーバーの現状を知りたいので、冒険者ギルドに顔を出しましょうか。」


ルイスは、驚いて言葉に詰まるが、少しだけ悩む雰囲気で頷く。そして、ハッとした様に予定を追加。


「おう、じゃあ行こうか。」


ルイスは、街中を歩いても囲まれず、絡まれない事に安堵する。相変わらず、視線は感じるのだが。


「じゃあ、取り敢えずおすすのお店に行くか。」


トキヤと、世間話をしながら歩く。


「よっ!男に戻ったんだな、ルイス。」


羅華が、片手を上げながら言う。


「羅華さん、さっき振りですね。今から、お茶に行こうと思うのですが、一緒にどうですか?」


ルイスが、ほわわーんと笑うとトキヤも頷く。羅華は、何かを察して頷く。というのも、ルイスが帰って来てからルイスのクランのNPCがパタパタと忙しそうなのだ。きっと、サプライズの為だろう。


普段、ホームで書類処理。外に出ても、巡回か戦闘であるトキヤが居る時点で時間稼ぎと予想。いつもは鋭いルイスが、お疲れなのか鈍いとも感じる。


「取り敢えず、マリーヌ♡も来るから雑談な。女子会ならぬ、男子会ってどうよ?」


「誰か、男子よ!私は、可憐な乙女なのよ!」


マリーヌ♡は、怒った雰囲気で言えば笑うルイス。


「取り敢えず、ここは邪魔だし移動するぞ。」


トキヤは、少しだけ困った雰囲気で笑う。




ローアンとランコルは、食事の準備をしている。


「主は、肉と魚…どちらが好きなのでしょう?」


ランコルは、メインの素材を見ながら悩む。


「あんた、普段はルイス様って呼んでるのに。居ない時は、主って呼んでいるのか。まあ、好き嫌いは無さそうだが…しまったな、トキヤ殿に聞いておけば良かった。どうせなら、嫌いな物は出したくないからな。まあ、取り敢えず作るしかないか。」


ローアンも、考えてから困った様に苦笑する。キリアは、プロメアとお菓子を作りながら苦笑する。


「ま、まじぇまじぇー!」


混ぜるのに、疲れたのか呂律がおかしいプロメア。それを見て、優しく微笑み混ぜる役を変わるキリアだった。その姿は、とても微笑ましい。


カリオストロ達も、掃除が終わったのか家具を運んでいる。机に花瓶を置く予定であったのだが。


「あ、そう言えば花がないね。」


ガリレフは、暢気に笑う。


「え、どーすんだよ?」


ドラコフは、慌てた雰囲気で言う。


「毒草の花なら、僕の部屋にあるよ?」


さわやかに、笑いながら持って来る?っと聞く。


「いや、ここでご飯を食うんだが!?」


キレッキレッな、素早いツッコミをするドラコフ。すまぬ、普段のツッコミ役は料理で忙しいのだ。


「そうだな、かなり不穏だからやめろ。取り敢えずだ、ランコルが育てている花を、少しだけ貰えないか聞いてくる。くれぐれも、持って来るなよ?」


カリオストロは、念押ししてから去る。


「えー?毒草だけど、綺麗な花はたくさん有るんだよ?見てもよし、食べても良しなんだから。」


ガリレフは、暢気に笑いながら言う。


「食べたら、駄目だろ…。」


「やっぱり?でも、解毒薬って毒から作られるんだよ?それすなわち、毒をもって毒を制すだよね。」


椅子を運びながら、楽しそうに言う。


「誰が、上手い事を言えと…」


そんなこんなで、わいわいと進んでいる。




取り敢えず、お茶しながらのんびりする。


「リーダークエスト…ですか?」


ルイスは、キョトンとして聞く。


「そう、リーダーがメンバーにクエストを出すんだよ。そして、メンバーの実力確認とかするの。」


羅華は、暢気にはなしている。


なるほど…。最近は、皆さんストレスが有るでしょうし…。ストレス発散に、breeze限定のリーダークエストでも出しましょうかね?都合の良い事に、此処には仕掛け人であるトキヤさんも居ますからね。


「トキヤさん、僕達もやってみましょうか。」


「けど、お前はまた出て行くだろ?」


トキヤは、キョトンとしている。


「25日から28日までの、3日間で僕の用意したクエストをして貰います。勿論、クエストはトキヤさんに預けますからお願いしますね。そして、29日に帰って来たら新しいクエストを僕が出します。それは、トキヤさんにも秘密です。そっから、狩り祭りですね。ストレス発散に、暴れちゃいましょうか。料理も準備して、最後は時間が許す限り飲み明かす予定です。という訳で、協力してください。」


ルイスは、楽しげに言う。


「お前が、そんな事言うのは珍しいな。何処かの角で、頭でも打ったのかと心配になる。」


トキヤは、ふざけた雰囲気で言う。


「豆腐の角で、頭を打ちました。」


ルイスは、ふふんっ!という雰囲気で言う。


「お前な…、そんな柔じゃないだろ?」


「トキヤさん…、何故に常温だと思うのです?勿論ですが、冷凍された豆腐ですよ?」


ルイスは、凄く真面目な雰囲気で言う。


「何が、どうしてそうなった!?」


思わず、混乱した様に言うトキヤ。


「この間、イギリスサーバーで買い物してたのですが。ルーカスが、豆腐を見つけたと持って近寄って来ました。その途中、こけてしまい凍った豆腐をくらってしまったのですよ。物理的に…。」


ルイスは、遠い目で苦笑している。


「おお…、なんてこったい。」


トキヤは、何とも言えない雰囲気で言う。


「しかも、僕のHPの半分以上が削れました。」


「待て待て、冷凍豆腐の殺傷力たっか!」


マリーヌ♡達も、驚いたが笑っている。


「なので、脳筋プレイに走ります!」


ルイスは、嬉々として言う。


「ああ…、うん。取り敢えず、OKだ。」


トキヤは、何処か諦めた雰囲気で頷く。そして、暫くして外に出ると冒険者ギルドにより帰路に着く。




取り敢えず、準備が出来たので帰りを待つ。ルイスが入って来ると、元気よくプロメアが手を引き案内する。ルイスは、このサプライズに凄く驚く。


「えっと、ありがとうございます。とても、嬉しいです。僕の為に、わざわざ作ってくれたんです?」


「うん、パパの為に皆んなで頑張ったの!」


こうして、夕食を皆んなで食べて楽しむのだった。
















ちょこっとつつぎ…


「それにしても、何故しようと?」


すると、全員が遠い目になる。


「何もしてない様で、しっかりと俺達を守ってたんだなぁーって。だから、大感謝祭なわけよ。」


トキヤが、代表して言うと全員が頷く。


「?特に、何もしてないのですか…ふむ。」


ルイスは、キョトンとするのだった。

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