第134話 運営の悩みと相談

トキヤは、待機モードで目を閉じ、座りながら眠っている雰囲気のルイスを見る。そして、掲示板に書き込みしつつリストを書いたり。


「お邪魔します、運営の鬼崎です。」


「こんばんは。ルイスは、ちょっと落ちてるぞ。」


突然、現れた鬼崎に驚く事なくトキヤは言う。鬼崎は、ルイスを見ると頷く。ランコルが、紅茶を出して控える。鬼崎は、礼を言うと座る。


暫くして、ルイスが微かに動き目を開く。


「鬼崎さん…?」


「こんばんは、ルイスさん。少しだけ、お話があって来ました。話というより、お願いですが。なので、固くならず世間話感覚で聞いてくれたら嬉しいです。それと、強制はしないと約束します。」


ルイスは、キョトンとしてから無言で頷く。


「まずは、今の運営の現状を説明します。前の運営から、引き継ぎをしたのですが…正直に言えば、酷い有り様です。バグだけでなく、データもスカスカで恐らく一部は敢えてデータを抜いてます。セキュリティも、ガバガバで良く乗っ取られなかったなぁという有り様でして。しかも、何かあった際の連絡先もデタラメ。非常に、困ってる現状です。」


鬼崎は、怒りを堪える様な雰囲気で言う。


「えぇ…、特にセキュリティは困りますが。」


ルイスは、かなり引いた雰囲気で言う。


「流石に、セキュリティは1番に対策しました。」


苦笑して、その手の専門家を雇いましたと言う。


「もしかして、大企業である貴方達の会社を貶めようとして?迷惑な話ですが、それと僕達プレイヤーがどう関係しているのでしょうか?」


ルイスは、考える雰囲気で冷静に言う。トキヤも、リストとを置いて静かに2人を見ている。


「データが、スカスカなのは先程も言いました。基本的に良くある剣士系や魔術系のスキルは、普通にデータが残っていたのですが。一般で余り使われない、錬金術師を含む多数の特殊なジョブ情報やスキル、そして基礎情報が虫食い状態…いえ、オブラートに言うのは辞めましょう。ほぼ、ない様なものでして…。そうなると、なぜルイスさん達が錬金術を使えるのか…。謎理論が、出来上がりまして。」


深刻な表情で、カミングアウトする。


「なるほど…。錬金術は、僕の中では科学に似たものだと思っています。ホムンクルスだって、試験管ベイビーなのでは?っとか思ってるくらいですし。化学反応で、銀色になる素材もあるなら、金色になる素材もあるのでは?なんて、考えてます。」


ルイスは、紅茶を飲みながら言う。


「だから、ホムンクルスは同じ姿の子は出来ませんよね?要するに、化学的要素や根拠とかで合法的に僕が、適当に作り上げてしまった可能性もある訳です。そうなると、スカスカ具合や錬金術師が少ないのも納得できませんか?何て、憶測ですがね。」


笑いながら、ノホホーンと言う。


「なるほど。もし、宜しければルイスさんの技術をですが、我々に提供してくださいませんか?」


鬼崎は、真剣な表情で言っている。


「…それは、プロメアの技術も含まれますか?」


ルイスは、少しだけ悩む雰囲気である。


「…出来れば。ちなみに、情報は少しずつ公開していく予定です。騒ぎが、収まるまで公開はしませんよ。それに、ルイスさんの不安も分かります。」


鬼崎は、苦笑するとルイスを見る。


「僕は、何もしていないのに騒ぎは起きます。正直に言えば、お店を再開するのも怖いです。最近、プロメアまで狙われる様になりましたし。」


ルイスは、疲れた雰囲気で言う。


「それについては、規則を変更しましたので。こちらも、人数を増やして管理します。こちらの不手際で、皆様に不安をお掛けして申し訳ないです。」


鬼崎は、真剣な表情で言う。


「プロメアの情報は、考えさせてください。そのかわりに、普通のホムンクルスの情報は渡します。」


それが、今のルイスに出来る、最大の譲歩だった。


「分かりました。では、オリジナル以外の情報の提供ですね。もしかしたら、改良やそちらの退化処置を行う可能性があります。例えば、アビスとか。」


それは、ルイスも察していた。アビスは、地獄の天使という扱いだが…弱退化した女神だ。錬金術師のイベントで、そういう事情がはっきりされてる。性能を落とされるのは、ある意味仕方ないのである。


「まだ、ルイスさんがドールにしてたから、手を出してはいませんが…肉体帰還させてたら、データ削除する案件でしたよ。ルイスさんは、加減を理解してギリギリを維持できる人なので助かります。」


鬼崎さんは、笑いながら言う。


肉体帰還とは、この世界の神話にそって聖遺物を集め天に返すシステムです。前の運営が、考えたシステムなのですが……システムブレイカーなのです。呼び出すと、サーバー負荷が大きく…かなり、迷惑なのです。周りのプレイヤーが、動けない程に。


「それほど、このゲームを楽しんでいるって事ですね。だから、潰れて貰うと困ります。」


ルイスは、少しだけ冗談っぽい雰囲気で言う。その言葉に、鬼崎は嬉しそうにわらうのだった。


「はい、頑張ります!」


鬼崎が帰り、ルイスは性変換薬が切れるのを察して席を外す。トキヤは、複雑な雰囲気である。ルイスが、努力して創り上げたものを、横から掻っ攫うみたいな行為だからだ。ルイスは、いつもの服でソファーに座るとリルをもふる。その表情は、真剣だが複雑である。おそらく、何かしらの報酬が有るだろうが……。トキヤは、無言でそれを見守った。














作者の独り言


書きながら寝落ち(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

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