第131話 プロメアの不安
今日は、依頼してた素材が届いたから前線に来たの!本当なら、誰かと一緒に行かないとダメ。だけと、皆んな忙しそうだからこっそり来たの!
「なあ、プロメアちゃん。うちのクランに、来ないか?待遇は、良くするし。何より、ルイスとかいう奴は戻って来ないんだろ?つまり、捨てられたに決まってる。俺達なら、優しく歓迎するぜ?」
まただ。パパが、居なくなってから勧誘が酷い。プロメアは、パパが見捨てるはず無いって信じてるのに…。会いたいって、気持から本当に捨てられたんじゃ無いかって不安なの…。パパ、会いたいよぉ。
「行かない!」
プロメアは、強気にいう。
「道具だし、使えないから捨てたに決まってる!」
「違うもん!パパは、パパはそんな事しない!」
プロメアは、泣きそうになるのを堪えて言う。
「おい、やめろよ。プロメアちゃん、嫌がってるだろ?それに、プロメアちゃんはルイスの娘だ。」
マッキーは、止める様に言う。
「娘なら、何で放置してんだよ!虐待だろ!」
なおも、男は怒鳴る。
プロメアは、限界になってしまう。虚な瞳に、なった途端に悲鳴を上げる。頭を抱えて、苦しむ。
「プロメアは…、プロメア…きゃああああ!」
プロメアの足元に、錬成陣が1つ浮かぶ。悲鳴が消えて、真紅の髪が揺れる。プロメアは、少し浮かんで固まってしまう。次の瞬間、迷惑プレイヤーの首が消し飛ぶ。プロメアは、ポロポロと涙を零す。
「プロメア?」
マッキーは、恐る恐ると呼びかける。
「対象の消滅を、確認。精神、保護完了。」
プロメアらしくない、冷たい声音に驚く。
「マスター到着まで、暫く待機します。」
マッキーは、思わず焦る。ルイスは、この時間はログインしない。しかも、イギリスサーバーに居る。
「…パパ…、会いたい。」
すると、凄い勢いでドアが開く。そして、その人物は優しくプロメアを抱きしめると言う。
「うーん、それは難しいですね。だって、今の僕は女性ですから。ママでも、許してくれますかね?」
すると、プロメアは驚いて叫ぶ。
「ぱ、パパがママになって帰って来たぁー!?」
「プロメアさーん、落ち着きましょうね。今の時期は、サキュバス狩りイベント中ですよ。」
ルイスは、笑いながら言う。
「うっ、痛い…。全身が、焼ける様に痛い。」
プロメアは、崩れる様にルイスにしがみつく。ルイスは、ゆっくりプロメアを抱き抱える。そして、プロメアの足元の錬成陣を足で踏み付けて破壊した。
「……マッキーさん、配信を止めてください。」
ルイスは、静かな雰囲気で言えばマッキーは頷く。
「お帰り…。正直、間に合うかハラハラした。」
「取り敢えず、話は後にしましょう。どこか、人目の少ない場所はないでしょうか。プロメアを、治療しないといけないので。ちょっと、やばいです。」
ルイスの険しい表情に、マッキーはギルドマスターを見れば2階を使えとハンドサイン。
「プロメアは、錬金術師のままで良いですか?それと、サブ職業は何にしたいですか?」
すると、マッキーとシャルムは驚く。
「プロメア、サブは細工師が良い…。」
「ルイス?何で、そんな事を問う?」
ルイスは、プロメアの肩に触れると髪が白くなる。
次の瞬間に、複雑な錬成陣が現れた。プロメアを包む様な、立体錬成陣。足元と頭上には、変動錬成陣が浮かぶ。プロメアの周りには8個の錬成陣。その錬成陣を囲む16の錬成陣。そこから、枝葉の様に広がる小さな錬成陣の数々…。とても、綺麗だ。
ルイスは、8個の錬成陣のうち6個を消す。
そして、残った2つの錬成陣を筆で書き足す。そして、2つの錬成陣を書き足すと赤い亀裂は消えた。
ルイスは、MP切れで座り込む。
すると、表示されてた錬成陣は非表示なる。ルイスは、シャルムにプロメアの着替えを任せる。
マッキーは、MPポーションをルイスに渡す。
「ルイス…、何あれ?」
混乱した、雰囲気でポカーンとする。
「あはっ☆」
ルイスは、目線を逸らしながら言う。
「ちなみに、breezeメンバーにはこの動画も送ったから。取り敢えず、トキヤもパニック状態。」
「あれは、プロメアの全てですよ。」
ルイスは、MPポーションを飲むと立ち上がる。プロメアは、ルイスにくっついて離れない。
「さて、プロメア。何故、約束を破ったのか答えてください。返答しだいでは、行動範囲を狭める必要があります。でも、出来ればしたくないです。」
「あのね、少しでも強くなってパパ…ママを驚かせようとおもったの!でも、でもね…皆んな忙しそうだから。もう、プロメア勝手に行かないです!心配かけて、ごめんなさい!だから、捨てないで…」
ルイスは、深いため息を吐き出す。
「取り敢えず、あのプレイヤーが戻る前に周りに謝っておきましょう。それと、僕ってそんなにプロメアに愛情を与えてませんでしたか?少しだけ、ショックでした。暫くは、立ち直れないですね…。」
「ちっ、違うの!ママは、プロメアにとって大切な親なの!ただ、1人だったから不安なだけ!」
ルイスは、苦笑してから言う。
「怒涛のスカウトラッシュで、疲れているのも影響しているのでしょうね。さてと、行きましょう。」
騒ぎの事を謝ると、逆に守らなくて申し訳なかったと謝られた。しかし、あのプレイヤーが来た。
「はっ!お前、どんな教育してんだ!」
プロメアは、怯える仕草をした。
「ママ…」
「大丈夫、僕が居ますから…。」
そう、優しく呟くとプロメアは頷いた。
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