第126話 遊び心と賭け事

さてと、ちなみにポイントは残り2つです。松明が置いてあり、赤、蒼、黄色の火をつけながら進みます。最後の松明は、手持ちの松明を置きます。


すると、光の球体が現れるので、そのまま魔法陣に乗せるだけ。火の色順番が、間違ったり松明の火を落としたり、時間内までに辿り着けるなかったら失格となります。勿論、敵も妨害してきます。


時間は10分…。さぁーて、誰が先行しましょう?


「ザインが、青でレンが黄色メアリーが赤でいいんじゃないか?あたしが、後ろは絶対に守るし。」


ビシャラが、考える様に言う。


「なら、僕は付与師で敵にデバフかけるよ。」


レンは、笑いながらジョブ変更している。息苦しさが消えたのか、とてもワクワクしている雰囲気だ。ルイス達は、微笑ましくそれを見て頷く。


「はい、よろしくお願いしますね。」


ルイスは、薬師のままで優しく言う。


「頼りにしてるよ♪」


ビシャラも、肩を軽く叩きながら笑う。


「なら、私はアイドルで皆んなを応援しちゃう!」


メアリーは、フリッフリッのアイドル姿に。


「ヒュー!いいね、戦闘を盛り上げる選曲で頼むよ?あたしも、双剣師で暴れるからね!」


双剣を、クルクル手で遊ばせて獰猛な笑み。


「任せてちょーだい♡私の歌を、きっけぇー!」


マイクを構え、ウィンクしながら言う。


「私は、剣ですが余り動けないですね。」


ザインは、しょんぼりと言う。


「いくら、僕達が強いとはいえ完璧ではありませんよ。討ち漏らしは、多少は出るでしょうからメアリーさんとレンさんを、頑張って守ってください。なるべく、頑張りますが難易度が高くなるので…。」


ルイスは、苦笑してから真剣になり、困った表情でザインに言う。そして、何事もない雰囲気になる。


そして、月光の短剣を装備。倒した、敵が保有するMPを倒した際に少しだけ奪えるドレイン効果のある短剣。しかし、耐久値が低く短剣術のレベルで切れ味が変わる曲者武器である。素早さで、ダメージ量が変わる。ガルム作の、特殊効果ウェポンだ。


「はい、頑張りますね。」


ザインは、嬉しそうに言う。


「そうだ、ビシャラさん。良ければ、討伐数を競いませんか?3人は、どっちが勝つか予想してみてください。そうすれば、楽しくなると思いません?」


ルイスは、思いついた様に言う。


「ほーん、あたしは双剣師だよ?不利な戦いを、自ら競おうなんて大した自信じゃないかい!」


ビシャラは、愉快そうに笑う。


「その方が、やる気が出るでしょう?」


ルイスは、少しだけ茶目っ気を含ませて言う。


「違いないね。」


「それに、大人しく負けるつもりはありません。僕だって、錬金術を使えるんですからね?」


すると、ザインは真剣な表情になる。ルイスは、キョトンとしてから隣を見れば戦闘中である。


「勝ったら、商品は有るのかい?」


「勿論、この世界にはNPC産でしかない物です。」


ルイスが、そう言えばビシャラは驚く。


「いいね、本気が感じられる。じゃあ、さっさと勝ってお宝を頂くかね。レン、お願いだ。」


「うん、よーいSTART!」


ビシャラは、素早く走り双剣で舞うように敵を切り裂いて行く。ルイスは、試験管を出してゆっくり歩きながら微笑みながら呟く。


「これは、呼び潮…。身近に、輝くマナの煌めき。灯せ灯せ、生命の灯。我は、素を巡らせる起源の錬金術師…。我が、言葉は自然の理なり…。いざ、呼び起こせ元素の輝き。満ちれ、満ちれ…。」


すると、少しだけルイスの白衣が揺れて、髪がフワリと靡く。ルイスは、ゆっくり立ち止まり試験管を構える。足元には、錬成陣が広がる。


すると、ザインは驚いて固まる。


ルイスは、無言で試験管を床に叩きつける。加速ポーションを1本、それとと火力上昇である。


「なっ!?呼び潮だと!?」


ビシャラは、驚くが笑う。


「頑張ってぇー!ヒーリングソング♪」


メアリーは、歌を歌ってバフを掛ける。


「えっと、これ…デバフ要る?あ、うん…分かったよ。じゃあ、エンチャントポイズン!」


レンは、疑問に思うがビシャラに頷かれ掛ける。


「ふふっ、少しだけ楽しくなって来ました。」


ルイスは、ポーションを叩きつけながら笑う。


「これが、最強の錬金術師の実力……」


ザインの言葉に、レンとメアリーは驚く。


「あら、最強はルーカス君じゃないの?」


「ルーカス様は、呼び潮が使えないんです。呼び潮は、錬金術でも高難易度のスキル。あの、カリオストロ様でさえ、習得困難で30年かかったのだと聞きました。ずっと、ルーカス様が憧れているルイス様の実力が知りたい、そう思っていましたが…。」


すると、2人は今見ている光景が貴重なものだと気づき驚く。ルイスは、ナイフを戻してウィンドを開き、討伐数をルンルンと確認している。


「あー!負けた!差は、何匹だ?」


「15匹差で、僕の勝ちです。でも、僕の負けでもあります。呼び潮を、使った時点で試合に勝って勝負に負けたのですよ。なので、引き分けにしませんか?そしたら、また遊ぶ理由にもなりますし。」


ルイスは、暢気に笑いながら言う。


「何でだよ?別に、呼び潮を使ったからって引き分けにする理由は無いだろ?なあ、そう思うよな?」


「師匠曰く、呼び潮は錬金術師にとって甘えなのだそうです。確かに、習得困難なスキルですが、一度使ってしまえば長時間持続しますからね。その恩恵は、凄まじいものです。呼び潮は、別名:術師殺しと呼ばれます。その恩恵に甘えて、術師の実力や技量つまり、PSが落ちてしまう事からです。だから、普段は使う事を師匠から禁止されているのです。」


ルイスは、苦笑して言えばビシャラは驚く。


「つまり、あたしはルイスの禁じ手を出さざるを得ない実力だって事かい?それは、嬉しいね。」


ビシャラは、豪快笑う。ルイスは、頷く。


「世界って、広いですね。まだまだ、精進しなければ…。さてと、球体を魔法陣に置いちゃいましょうか。ザイン君、かなりそちらに敵を流してしまいました。すみません…、もっと頑張りますね。」


ルイスは、考えを述べつつザインに謝る。


「いえ、良い物を見せて貰いました。ずっと、不思議に思っていたんです。何故、使えるのに呼び潮やその他の超高難易度のスキルを使わないのか。」


「あー…、禁止されてます。師匠であるカリオストロからは、今でもいろんな事を学んでますから。それに、僕が習得しているその手のスキル、その殆どがソロの時用なのですよ。だから、マルチ専用のスキルを育てる為になるべく使ってませんね。」


ルイスは、困ったような苦笑を浮かべている。何気に、ソロの時間が長かったのと炎天神楽では、引きこもっていた事もありソロ特化なのだ。そして、この世界に来てからもリルソルが居ても、ソロであったのもある。なので、前世と同じくソロ専用のスキル強化をしていたのだ。まさか、トキヤが転がり込んで来るとは、微塵も思っていなかった訳である。


「さあ、次に行きましょうか。」


次で、ラストギミックです。そして、ボス戦!


さあ、気合い入れて行きましょうかね。ちなみに、イメージ的に書けばこんな通路を歩いてます。


○○○○○○○○○○○通路の壁

通路A

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇底見えぬ崖

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

通路B

○○○○○○○○○○○通路の壁


片方の壁が無いので、お互いの進行具合や戦闘が見れちゃうわけです。ちなみに、先に終わってたグレン達に凄く見られている気が…。特にルーカス、録画してましたね?はぁ…、まったくもう…。


ラストギミックは、協力プレイなのですよね。ルイスは、グレンを見れば無言で頷くグレン。


「では、合流する為のラストギミック…終わらせちゃいましょうか。皆さん、頑張りましょう。」


ルイス達は、すすむのだった。

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