第122話 木の精霊ドライアド
ふーむ、なるほど。
ドライアドは、自らが宿る木が枯れると共に死んでしまう精霊です。その為、ギリシア神話では木の精霊に敬意を払う事なく木を傷つける人間を、神々がこらしめたりしていたそうです。
さてさて、これは困りました…敵ですよね?
すると、NPC ネームが狂ったドライアドと表示される。ルイスは、思わず険しくなる。ユニコーンの時と同じ何かを感じたのだ。考えるルイス…。
「困りました…」
ルイスが、真剣な表情で呟く。
「これ、邪神関連だよな?」
グレンも、心当たりが有るのか真剣に言う。ルーカスは、無言でルイスの言葉を待っている。
「おそらく…。なら、絶対に持ってますよね?」
ルイスは、深刻な雰囲気で言う。
「おう、持ってるだろうな…神聖キラー。」
すると、ルーカス達は驚いている。隠しボス、ユニコーンはこのサーバーではまだ発見されてない。
「あのさ、私達にも説明してくれない?」
ゼタは、考える様に言う。
「日本サーバーでは、隠しボスユニコーンが解放されているんだ。その、ユニコーンも狂ってた。浄化をレジストしてくるし。何より、神聖キラー持ちだったんだ。ルイスが、凄く狙われ続けてたし。」
グレンが、困ったように言う。
「それに、あいては精霊…。吟遊詩人など、音楽役職が使うデバフの効果半減は痛いです。そして、打撃耐性があるのですよね。それに、フィールドの足場は水浸しです。更には、神聖キラーで死霊とも相性が悪過ぎます。ふーむ、どうしましょう?」
ルイスは、考える。グレンは、火属性ですがフィールドが湿気地帯なので火力が弱くなります。ゼタさんも、デバフ効果半減…。死霊は、使えないですしー…。弓矢では、防がれる可能性が有ります。
「うーん、どうしましょう…」
ステータスが、分からないので編成が出来ません。ですが、まさか見せてくださいとは言い難いですし。うーん、どうしましょう?
「ねぇ、この際だしステータス見せ合わない?」
ゼタは、真剣な表情でルイスを見る。そもそも、素材が欲しいのはルイスなのだ。だから、問いかけている。ルイスは、小さく驚いてゼタを見る。
「ルイスの兄貴、どうするっす?」
ルーカスは、暢気に笑うとルイスを見る。
「何だ?見せれば、何とかなるのか?」
ポアレは、頭を掻きながら頭を傾げる。
「俺は、構わんけど…ルイスは?」
グレンは、無言で有るルイスを見る。ルイスは、少しだけ安堵した表情をしたのを見て、ゼタはルイスも同じ事を考えていたのだと察する。
「はい、勿論ですが賛成です。」
「ルイス君、私達は会ったばかりだけど、遠慮なく言いたい事は言うべきだよ。別に、少々不愉快な事だとしても、このメンバーなら大丈夫だから。」
ゼタも、何故ルイスが躊躇したかは理解している。ステータス情報は、プレイヤーの命綱だ。知られれば、PKや害悪プレイヤーに対策されて襲われる。だから、ステータスを見せるのを嫌がるプレイヤーも多いのが事実なのだ。だから、言い出し難く……どう、その流れに持って行くか考えていたのだろう。
「はい、ありがとうございますね。」
ルイスが、笑ったのを確認してからゼタは視線を逸らす。何故か、ルイスの言葉は純粋で影も無く、何処か安心出来るのだ。これは、攻略組の参謀としてランカーや他の攻略組と腹の探り合いをして、疲れていたゼタからすればかなりの癒しですらあった。
まあ、少しくらいならフォローしようかな。
ゼタは、そう思いながら全員のステータスを見る。そして、思わずルイスを見てしまう。
嘘でしょ!?回復職なのに、何でこんな強いの?
「まあ、初見だとそうなるよな。」
グレンも、苦笑してから言う。
「これでも、日本サーバー最強同盟の盟主っすからねルイスの兄貴。もともと、ルイスの兄貴はソロの方が実力を発揮するタイプっす。タイマンなら、余程の事がない限りどの役職でも遅れは取らないっすよ。あの、師匠でさえ戦闘は避けてたっすから。」
ルーカスは、驚く事なく素気なく言う。
「取り敢えず、ゼタさんは味方にバフを。ポアレさんはヘイトを集めてください。」
すると、ゼタは楽器を構えて奏でる。ポアレも、殴ってヘイトを稼ぐ。ルイスは、指示を出す。
「ルーカス君は、死霊を飛ばして本体を探してください。そして、見つけ次第に攻撃を。でも、切り倒さないでくださいよ?ザイン君は、火矢で地面を狙ってください。グレンは、雷魔法をドライアドに。たぶん、スタンするのでその間に回復と立て直しをします。これは、味方が感電しない様にでも有ります。各自、マップをこまめに確認して、事故らない様にしてくださいね。弱らせたら、浄化します。」
すると、素早く行動している。中ボスなので、そこまで強くはなく本体も見つけやすかった。
ポアレの攻撃は、通らないがヘイト集めは成功。ドライアドは、怒って攻撃してくる。ゼタが、バフをかけて全員のステータスが上昇。ザインの火矢で、蒸気が発生して視界が悪くなる。全員が、マップを横目で確認しながら器用に戦う。グレンは、雷魔法を使うと宣言して発動。勿論、全員撤退して素早く立て直し。ルーカスは、本体を見つけ攻撃2回。
弱った所で、ルイスが浄化した。クリアの文字の下に、無殺ボーナスと表示される。
こうして、ルイス達はまた走り出すのであった。
似たような道を進んで行く。そして、そこにはトリエントが待っていた。ルイス達は、苦笑する。
「まーた、同系統のてきだな。」
グレンは、深いため息。
「今回、湿気地帯じゃないのが救いですかね?」
ルイスは、困ったように笑う。
作者のひとり言
すみません、寝落ちにて日曜日に投稿出来ませんでした。待ってた人には、申し訳ないです。
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