第121話 クエストスタート!

フレイムプラグの、サブリーダーであるゼタさんをパーティーに誘う。パーティー会話で、話し合いする事になった。新しく部屋をつくり、会話しても良かったのだが…どうせなら、ゆっくり出来る場所で話すのが良いと判断したのだ。特に、ポアレは堅苦しいのが苦手なのだとか。ゼタも、同意する。


「うーん、僕はまだここに来て日が浅いので、お二人とも何処か良い場所を知りませんか?」


ここで、ルーカスに聞かなかったのは、2人とコミュニケーションを取りたかったからだ。それに、ルーカスはザインが料理するので外食はしない。居ない時期も、屋台で適当に食べてた感じである。


知らない訳では無いが、詳しくは無い感じである。


「うーん、いろいろ有るがよぉ…酒場とかガジノとかレストランとかよ。俺は、決められねぇ!」


「えっと、レストランはまだ分かる…分かるんだけどさ。その、ポアレ…俺達の年齢を考えてくれ。」


グレンは、困ったような苦笑を浮かべる。このゲームでは、ガジノと酒場は年齢制限がある。ちなみにだが、食事処も含めて飲食店では未成年のメニューにアルコール類が表示されない仕様になっている。


「お馬鹿、自己紹介の時に2人とも学生だと言ってたっすよね!?未成年者を、何処に連れて行く気っすか!それに、ザインも14歳…未成年っす!」


ルーカスは、呆れた様にポアレに注意する。


「えっと、質問の仕方が悪かったですね。」


ルイスは、苦笑している。


「いや、君は悪くない。悪いのは、コイツだよ。」


頭が痛そうに、深いため息を吐きだすゼタ。


「えっと、その…出来ればレストランか喫茶店みたいな場所が良いですね。何処か、知りませんか?」


ルイスも、乾いた笑い声を出してから聞く。


「近くに、『ポッポ』ってカフェがある。私の、お気に入りの場所なんだ。時間的にも、移動しよう。ここ、そろそろ依頼の為に人が大勢来るし。」


ルイスは、無言で頷くと4人に声を掛けて移動。



カフェ『ポッポ』にて…


「では、途中でジョブを変えられないので、皆さんはどのジョブにしますか?考えてください。」


ルイスは、紅茶を飲んでホッとしてから言う。


「俺は、拳闘士と重戦士なんだが…拳闘士だな!」


ポアレの元気な声に、ルーカスは視線を逸らす。ルイスは、不穏な雰囲気を感じ取り固まる。


えっと?その…、大丈夫ですよね?


「マジですか。私、騎士にしようと思ってたけど。今回は、吟遊詩人でバッファーする!」


ゼタは、嫌そうな表情してから言う。


「詳細プリーズ!」


不穏過ぎて、グレンは説明を求める。


「うーん、回復薬必須って事だけ。」


「更に、不穏な言い回しすな!」


グレンは、ゼタに対してキレッキレッな突っ込み。ルイスは、ルーカスに聞こうと見るが。


「大丈夫、ルイスの兄貴だけは守るっすから。ザインも、剣士じゃなくて弓師になるっすよ?」


っと、素晴らしい笑顔。


「!?」


ルイスは、驚いて助けを求める様にザインを見る。


「出来れば、ルイスさんの錬金術を見たかったですけど…今回だけは、祈祷師でお願いします。」


安心させる様に、優しく笑うザイン。


「いえ、全然安心が出来ないのですが…?」

 

すると、話題転換する様に言うルーカス。


「あっ、錬金術こっちだと普通に使えるっすね。他世界線でも、簡単なNew錬金術ならOKっぽいっすね。でも、前より劣る性能になるっす。」


「それは、仕方ないかと。でも、また一緒に錬金術が出来ると思うと、心から僕は嬉しいですよ。」


本当に、嬉しそうなルイスを微笑ましくみるポアレとゼタ。グレンは、うんうんと頷いている。ザインも、そんなルイスを見て小さな決意をする。


「さて、ポアレが拳闘士。ゼタが、吟遊詩人。ルーカスが、死霊術師。ザインが、弓師か。」


グレンは、考えるの様に呟く。


「僕は、祈祷師になりそうですね。」


ルイスは、暢気に笑う。


「なら、偵察が必要だろうし暗殺者か?」


すると、ゼタは苦笑して言う。


「要らない。」


「やめとけっす!」


素早く、ゼタとルーカスが言う。その言葉に、ルイスとグレンはキョトンとするがひとまず頷く。


「ふぅーっ、やれやれっす。」


「ルーカス、さっきから不穏なのですが!?」


ルイスは、混乱した様に言う。


「大丈夫、問題は無しっす!」


「あー、ケーキ美味しいな。」


グレンは、現実逃避気味にケーキを食べている。




さて、来てしまいました。本当に、大丈夫でしょうか?とても、不安ですがスタートです。


てっ、んー?


「脱ぐな!」


ルーカスの、悲鳴の様な声がする。


「俺は、装備が無ければ無い程強いんだよ!」


ルイスが振り向くと、ゼタが割り込み視界を塞ぐ。グレンは、ルイスの手を引き撤退。


その間も、振り向いても見えない様にガードするゼタとザインの2枚壁。ルイスは、キョトンとするのだった。ある意味、見えなかったのは幸運だろう。


お取込み中……パッポー♪


「お待たせしたっす!」


「おう、短パン着たんだな。」


ん?つまり、全裸だったんですか!?


「大丈夫、パンツは脱げない仕様っす。」


ルイスの思考を、察した様に言うルーカス。


「ぐふっ、失礼しました。では、行きますよ。」


気を取り直し、スタートラインを飛び越える。


「ぬぅおー!」


ポアレは、全力で走り敵を殴り飛ばして行く。攻撃を受けてるのに、防御せずにひたすら殴っている。


「ぬぅーん、見よ!俺のこの筋肉を!」


マッチョポーズで、キリッと言う。


「馬鹿だわ…」


ゼタが、バフをかけながら言う。


「お巡りさん、コイツです。」


ルーカスは、真顔で言っている。すると、ポアレはまたひたすら殴る。殴り飛ばされた、敵NPCがこっちにも飛んでくる。ルーカスは、鎌を構えてルイスを庇う様に飛んできたNPCをホームラン。


「最大の敵は、味方ってか!」


グレンも、回避したり剣で対応している。


「すまん、テンションが上がり過ぎた!」


ポアレは、楽しそうに言う。


「……あいつ、射抜いてもいいですか?」


少しだけ、いらいらした様ザインも言う。ポアレなのだが、罠も力技で回避…正面突破している。


「なるほど、確かに偵察はいらんよな。」


グレンは、納得しながら言う。


「あはは…、全体回復しますね。」


ルイスは、素早く回復する。ちなみに、戦いつつ飛んでくる敵を回避したりホームランしている。ある意味、ここのメンバーも化け物揃いなのであった。


「ルーカス、戦闘に集中してください。回避特化の回復なので、飛んでくる敵くらいなんとか出来ますから。ここから、敵がつよくなります。皆さんも、自分の事に集中してくださいね。」


すると、了解だと返答が来る。


走りながらも、敵を個別撃破して行く。


「面倒だなあ…、ドライアドかよ。」


「回復します!」


ルイスは、全力回復をかける。


そして、中ボス戦が始まるのだった。

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