第120話 募集

さて、ギルドで募集をかけて待機します。取り敢えず、待ち時間に持ち物整理でもしますか。


「お、武器ガチャ!いいな、付与武器じゃん。」


ふむ、ガチャのピックアップですか?ルイスは、ウィンドを開き新しいガチャのピックアップを確認。


「うーん、属性付与っすね。けど、グレンは自動付与スキルを持ってるっすから、要らないと思うっすよ。それに、希望の剣がバリ強いっすし。引くならば、お薦めはアクセサリーや防具っすね。」


ルーカスが、考える雰囲気で言う。確かに、グレンは火属性特化の自動付与を持ってます。なので、付与武器より防具を優先すべきでしょうね。


「でも、デザインカッコ良くないか?」


確かに、前に比べてファンタジー要素も有りながらもデザインは素晴らしいです。おそらく、デザイナーが変わったのでしょうね。そう言えば、神託の御旗などの七王武器に調整が入りました。具体的に言えば、レイドやイベントでしか使えません。


それと、双神の刃ですがクールタイムが1ヶ月から2週間になりました。一月に、確定2回は使えますね。それと、信仰度なるものが追加されました。ちなみに、ゲージではなく星が減る事で信仰度が示されます。信仰度に、左右されるスキルが追加されたので、まだ祈祷師も楽しめそうですね。


そして、レベル200で解放された原初の黒龍。クリスマスイベで、PK相手に使ったスキルです。凶暴化し、破壊の邪龍人となるスキルですが。別に、理性を失う訳ではなく、理性を保ちつつスキルの火力が爆発的に上昇するのです。その変わり、スキル発動中は満腹度がゴリゴリ減りますけどね。


兵糧丸、レシピ持ってて良かったです。何せ、兵糧丸は満腹度の減少を遅くするので。しかも、レアリティが高ければ高いほど遅くなるので。


さてと、そろそろ30分ですか。


他にも、調整が入りましたが話せば長くなりそうなので話しません。さて、誰か申請してませんかね?


ルイスは、ガチャのページを閉じて募集項目を開いてみる。そして、予想以上に多い申請に困ってしまう。ルーカスは、無言でそれを見て募集項目を開く。そして、真剣に見て考える様にポチポチと拒否を押して行く。ルイスは、キョトンとする。


「今、消した奴らは評判が悪い奴らっす。」


ルーカスは、落ち着いた雰囲気で笑う。すると、グレンも調べながら確認して無言で頷いた。


「ルーカス、ありがとうございます。僕、イギリスサーバーの事は良く知らなくて。すみません。」


ルイスは、少しだけホッとしている。


「良いっすよ。それで、俺は死霊術師で行くっすけど、どうするっすか?そして、誰にするっすか?情報が欲しいなら、ちゃんと提供するっすよ。」


ルーカスは、暢気に笑う。流石、イギリスサーバーのランカー。ちゃんと、調べている様である。


「マキアスさん、絶対に攻略組ですよね?ステータスも、他の人よりヤバいですし。何故、申請したのでしょう?エルフ国開放で、忙しいはずでは?」


ルイスは、腕を組みながら言う。


「あー…、それはエルフ国の攻略がストップしたからっすね。ちょっと、攻略組がやらかして。どうやら、住民からの好感度が下がり過ぎたそうっす。」


ルーカスは、苦々しく言う。つまり、素材を入手する事が出来ない可能性があるのだろう。


「ふーむ、まあ悩んだ所でやる事は変わりません。先ずは、自分に出来る事をやるだけです。」


ルイスは、柔らかく笑うと立ち上がる。


「マキアスさんとニコラさん、この2人にしますかね。さて、どんな人達なのでしょう?」


すると、爽やかな青年が入ってくる。


「おっ、ルーちゃんじゃん!」


マキアスは、満面の笑顔でルーカスに向かう。


「死ね、爽やかイケメン!」


ルーカスは、鎌を片手に蹴りを入れて警戒する。


「えーと?」


ルイスは、キョトンとしてルーカスを見る。


「酷い、ルーちゃん痛いよ?」


完全に、ルイス達をスルーである。ルイスは、浅く呼吸してから近くの壁を殴る。凄い衝撃、そして凄い破壊音である。そして、素晴らしい笑顔で言う。


「外でやってください。とても、迷惑なので。」


「おっかねぇ…。」


思わず、グレンは呟いて見ないふりをする。ちなみに、壁は何事もなかったかの様に修復されている。


「失礼、戦闘ギルドクロスリングのリーダーだよ。ちなみに、ルーちゃんは前から勧誘してたんだ。けれど、ずっと断られていてね。メンバー表に、ルーちゃんを見つけて思わず申請してしまったよ。」


つまり、攻略とかには興味がないと。


マキアスは、ルイスを牽制するかの様に威圧してくる。ルイスは、何事も無いかの様に受け流す。マキアスは、一瞬だけ驚くが笑顔である。


ルーカスは、冷たい視線でマキアスを見ている。グレンは、どうしたものかとルイスを見ている。


「無理な勧誘は、禁止されてますよね?彼は、嫌がっています。なので、やめてください。それと、クエストに興味がないので有れば外します。」


すると、本気でルイスが怒っているのに気づくマキアス。オロオロして、ルーカスを見てから言う。


「勿論さ!ただ、今は仲良くなりたいだけ。それとね、クエストにはちゃんと興味あるから!」


ルイスは、深いため息を吐き出してルーカスを見ている。そして、ルーカスが頷いたのを見て座る様に言うともう1人も呼ぶ事にした。


「は…初めましてニコラです。」


「おー、ニコラちゃんだ。」


マキアスは、爽やかな笑顔で手を振っている。


「ニコラは、こっちサーバーでは盾王だったっす。けど、七王制度が撤廃されてからは、クランに引き籠もってたはず。まさか、出て来てたんっすね。」


ルーカスも、優しい表情である。


「では、クエストが終わるまでよろしくお願いしますね。さてと、取り敢えず話し合いしましょう。」


すると、マキアスは何お前が仕切ってんのと笑う。


「誰か知らないけど、ルーちゃんが仕切れば?」


すると、ニコラもおずおずと頷く。


「ルイスの兄貴、解散して新しい人を呼びましょうか。こいつら、やっぱり気に食わない。」


ルーカスが、低い声音で言う。いつもの、語尾が消えているのでかなり激怒している様だ。


「取り敢えず、自己紹介しましょうか?」


ルイスは、ルーカスを心配そうに見ながら言う。


「必要ない。だって、組むの今日だけでしょ?」


マキアスは、バッサリ切り捨てる雰囲気で言う。すると、ルーカスは無言で鎌をマキアスに向ける。


「なるほど…。これが、イギリスサーバーの攻略組ですか。ぶっちゃけ、面倒になって来ました。グレンは、お二人の感想を聞かせてくださいな。」


ルイスは、暢気に笑いながら言う。


「ルーカスしか、見てないな。そして、人を見下した態度が気に入らない。これでも俺、日本サーバーでは剣王だったんだけど。帰る?別に、解放されるの待って攻略すれば良いだけの話だし。」


すると、ルーカスは慌てる。そして、マキアスとニコラは驚きグレンに興味を持った様に話す。グレンは、今までに無いほど冷たい視線で威圧する。


「さてと、部屋を解散…いえ、僕が抜けますね。」


ルイスは、立ち上がると部屋から出て行く。


「なら、僕達で勝手に進めようよ!」


マキアスは、ルーカスを見ている。


「ルイスの兄貴は、あのカリオストロの一番弟子なんだよ。まだ、サーバー別れしていないβ時代。俺の兄弟子で、俺の1番の憧れの存在だ。」


すると、マキアス達は驚く。それも、そうだろ。今の所、サーバーとは枝分かれした世界線と解釈されている。なので、イギリスサーバーにもカリオストロは居るのだ。しかし、イギリスサーバーのカリオストロは弟子をずっと断り続けている。それくらいに、カリオストロの弟子になるのは条件が厳しいのだ。条件をクリアしても、普通に断られるのだし。


「あの人、引きぎわが良かっただろ?正体がバレれば、俺の様に勧誘されると判断したんだ。そして、お前達はこれからも見向きもされないだろう。」


グレンは、欠伸をしてから座り直す。ルーカスだけを、残すのは心配だから残る様にとルイスから指示が来ていたのだ。ルーカスは、これ以上は情報を漏らすまいと無言で退室する。グレンも、抜ける。


そして、ルイスを探すと人と談笑していた。


「よう、ルーカスじゃねーか!元気にしてっか?」


青年は、片手を上げて元気よく笑う。


「うぇっ、ポアレ!お前、復帰してたっすか!?」


ルーカスは、驚いてから嬉しそうに笑う。ルイス達は、抱き合う2人を見て優しく微笑む。


「えっと、2人はお知り合いですか?」


「おう、1ヶ月クランから席を外しただけだよ。急に、リアルで家業を継ぐ事になってな。焦ったぜ!それと、ルーカスとは学生時代の同級生だぞ。」


なるほど、だから凄く嬉しそうなんですね。


グレンも、無言で座るが優しく見守っている。


「改めて、自己紹介だ。戦闘ギルド・マルコスのリーダーのポアレだ。よろしくな!これでも、最前線を駆ける攻略組の1つだ。下の攻略組、マキアス辺りが迷惑行為を繰り返してな…今は、攻略どころじゃないからギルドに来たんだ。そしたら、日本サーバーのルイスが居たもんだから、居ても立っても居られず声をかけちまったぜ!そして、日常会話してたけどスゲェー面白れぇーのよ!参ったぜ!」


本当に、嬉しそうに興奮した様に言うポアレ。


「ポアレ、ルイスの兄貴が困ってるっすよ?」


「すまねぇー!けど、本物だ!スゲェー!」


僕、何か喜ばれる事しましたかね?


「マッキーさんの、動画は海外でも人気なんっす。そして、ルイスの兄貴のファンも勿論いるっす。」


ルーカスは、暢気に笑って言う。兄弟子が、褒められているのが嬉しいのか少し声が上ずる。


なるほど、マッキーさん凄いですね。


「そこは、素直に喜ぶべきっす!」


ルーカスは、困った様に笑う。


「え?その、声に出してました?」


すると、無言で頷くルーカスとグレン。ルイスは、勢いよく手で口を塞ぎ恥ずかしそうに俯く。


「ガハハ!まあ、取り敢えずよろしくな!」


ポアレは、豪快に笑うと握手してフレンド登録。


「こちらこそ、よろしくお願いしますね。」


ルイスも、笑顔である。ポアレが、近くを通った戦闘ギルドフレイムプラグのサブリーダーを呼ぶ。そして、ルーカスは事の経緯とかを話す。すると、快く引き受けてくれる様だった。こうして、メンバーが決まりクエストが始まるのだった。

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