第118話 緊急メンテナンス

瑠衣は、眠そうに欠伸をしてベッドから起き上がる。そして、素早く着替えるとキッチンに入る。


「うーん、朝食はどうしましょう?」


「おはよう、最近は早いな。」


大河は、笑いながら言う。瑠衣は、苦笑する。


「ディスコで、朝は会話したりするから。」


ルイスは、ベーコンと卵を取り出しながら言う。今日の朝食は食パンとスクランブルエッグのベーコンのせ。そして、サラダとコーンスープそして牛乳である。ルイスは、暢気にフライパンも棚から出す。


『ふぁあ〜…、おはよー。今日は、何しよっか?』


眠そうに、欠伸をしながら神崎が言う。


『おはよっす!ちょっと、待って欲しいっす。まだ俺、朝食を食べてる途中っすから。』


アーサーは、慌てる様な声で言っている。


『了解!あれ、瑠衣は料理中か?良い音が聞こえてくる。これは、目玉焼きだと俺は感じた!』


神崎は、ふざけた感じで言う。


「残念、スクランブルエッグなのです。」


瑠衣は、皿に盛り付けてから笑顔で言う。すると、アーサーが笑い神崎は『この俺が、読み負けた…だと!?』とか言いながら笑いを誘ってくる。勿論、瑠衣も笑いながら「残念賞は、たわしです。」と言う。アーサーは、『タワシ?ワタシ?』と言う。アーサーは、スポンジは知っててもタワシは知らない様である。瑠衣は、簡単に説明している。


大河は、そんな瑠衣の姿を見て静かに微笑む。


「取り敢えず、僕もご飯なので8時にディスコを繋げましょうか。2人とも、予定は大丈夫です?」


瑠衣は、2人に問うと了解だと返事が来る。


「楽しそうだな。」


「うん、日本サーバーから離れて、自由に遊び回れる様になったから。そうだ、兄さんは?」


瑠衣は、大河が運営サイドなのを思い出して言う。


「俺も、無事に引き抜きされた。蒼夜とは、個人的に友達でさ。辞めるつもりだったのに、あいつ笑って引き抜くからってほざくんだもん。」


困ったような、少しだけ照れた様な雰囲気だ。


「そうなんだ。って、事は僕も行動や言動には気をつけないとだね。まあ、暫くは平和だと思う。」


パンに、苺ジャムを塗りながら言う。


「まあ、あいつ有能だし大丈夫だろ。」


軽い雰囲気で、暢気に笑う大河。


「なら、安心して日本サーバーに戻れるね。」


瑠衣は、少し安堵した雰囲気で言う。


「運営が、クソだったからな。俺も、含めて。」


大河は、苦々しく呟く。


「……さて、いただきます。」


瑠衣は、何も言わずにパンを食べる。


「そう言えば、F LLだけど暫くメンテナンス入るらしいぞ。だいたい、3日間だな。」


「えっ!?3日も、入れないなんて…」


瑠衣は、驚いてパンを置いてしまう。


「という訳で、頑張って時間を過ごしてくれ。」


「うーん、どうしましょう。」


思わず、素で困った様に呟く。


「なあ、瑠衣。家でくらい、素で話しても良いぞ?どうせ、俺も瑠衣の素を知ってるからな。」


瑠衣は、驚くと「はい。」っと笑う。




LINE音


トキヤ『メンテ期間、暇か?』


ルイス『今の所、予定は無いです。』


マッキー『やったぜ!』


グレン『メンテくんの!?』


マッキー『公式見てこい』


グレン『行って来る!』


ルイス『それで、どうしたんです?』


マッキー『F LLメンバーで、別ゲー配信する。』


ルイス『ディスコですか?』


マッキー『そそっ!ついでに、ルーカスも誘う。』


ルイス『ルーカス君もですか?』


マッキー『あいつも、配信者だからな。』


ルイス『!?』


トキヤ『知らんかったのなw』


ルイス『他にも、誰か呼ぶんですか?』


マッキー『おう、呼ぶよ。』


ルイス『では、8時にディスコで話す予定なので』


マッキー『マジ?なら、凸ろうぜトキヤ。』


トキヤ『そうするか。じゃあ、また後でな。』




瑠衣は、微妙な表情で時間を確認する。そして、深いため息を吐きだす。大河は、キョトンとする。そして、LINEを見せると興味深い雰囲気である。


「ちょっと、牧田達に電話してくる。」


食べ終わった、食器を片付けて上に上がる。ルイスは、キョトンとしてから食事を続けるのだった。


『瑠衣の兄貴、コラボ企画が来たんっすけど!』


「良かったですね。どうせなら、楽しみましょう。どうせ、メンテ期間はログイン出来ませんし。」


瑠衣は、手を拭きながら言う。


『瑠衣の兄貴、初コラボ企画っすね。』


「そうですね。まあ、何するのか知りませんが。」


瑠衣は、椅子に座るとノホホーンと笑う。


『きっ、緊急してきたっす!』


アーサーは、不安そうに言う。


「大丈夫ですよ。皆さん、個性的で優しいですからね。それに、僕や神崎君も居ますし。後は、打ち合わせもあるでしょう。メンテは、明日からです。」


瑠衣は、優しく笑ってから言う。


『今日の夕方に、ゲーム内で会議みたいっす。だから、一時的っすけど日本サーバーに戻るっすよ。』


アーサーは、思い出した様に瑠衣に言う。


「分かりました。なら、グレンが来たらログインしましょう。そして、会議のお茶菓子を用意です。」


『わかった。じゃあ、ログインするか!』


神崎は、突然に入って来る。


短い会話なので、牧田さん達は凸失敗ですね。瑠衣は、立ち上がり自分の部屋に向かうのだった。




ログイン!


ルイスは、起きるとルーカスとグレンそしてザインは起きていた。ルイスが、起き上がると3人が此方を見る。ルイスは、伸びをして装備変更する。


「おはようございます。」


「おう、おはよ!」


グレンは、笑って言う。


「おはよっす!それじゃあ、宿を出るっすよ!」


ルイスは、頷くがザインが止める。


「ルーカス様、ルイスさんは寝起きなんですよ。せめて、珈琲を飲んでください。」


「ザイン君、ありがとうございます。」


ルイスは、満腹度を見て驚き有り難く受け取る。


「あー…、配慮に欠けたっす。ごめんなさい。」


ルーカスは、気まずそうに言う。


「大丈夫ですよ。僕も、気付きませんでしたし。流石、ルーカス…の相棒ですね。ナイスサポート!」


君付けで、呼びそうになり詰まる。しかし、グッジョブとサムズアップするルイスに笑顔になる2人。


そして、サーバー移動!


あれ、凄い視線を向けられてますね。まあ、良いのです。久しぶりの我が家、四日振りですね。


「ただいま戻りました。」


すると、同盟メンバー含めて歓声が聞こえる。


「おはよ、そしてお帰り。」


トキヤは、笑うと席を示す。キリアが、椅子を引いてくれる。ルイスが、座った所でマッキーとルーカスなどの配信者メンバーが配信開始。


「それでは、F LL緊急メンテナンス間のイベント打ち合わせを始めます。所で兄さん、お隣の方は?」


「どーも、日本サーバー管理者の蒼夜です。そうちゃんって、呼んでね!良い機会だし、運営も噛ませて貰えないかなって思って、急遽だけど無理言って参戦したんだ。えっと、迷惑だったらごめんね。」


蒼夜は、自己紹介をして申し訳なさそうに言う。ルイスが、運営に良い印象が無い事を理解しているからこその対応である。爆裂は、無言で苦笑する。


「いえ、迷惑では無いですよ。ただ、知らない人が居たから少し驚いただけです。これから、よろしくお願いしますね。では、企画提案は誰です?」


ルイスは、ふわりと優しく笑うと進行を始める。


「俺だな。たまには、別ゲーで息抜きしようと思ってな。でっ、審判役を誰にするか迷ってな。」


マッキーは、笑顔で言ってから蒼夜を見る。


「なるほど、身内だと審判になりませんからね。僕は、良いと思います。何より、不公平にはならないでしょうから。それに、蒼夜さんの人柄を視聴者さん達が知る、絶好の良い機会にもなります。」


ルイスは、落ち着いた雰囲気で微笑む。それを見てから、マッキーは少しだけ安堵する。蒼夜も、少しだけ緊張していたが微笑む。爆裂も、笑う。


「問題は、何をするかだよな。何せ、3日だぜ?」


グレンは、全員を見ながら言う。


「折角だし、複数で出来るのが良いっすよね。」


ルーカスも、暢気にノリノリで言う。


「ふーむ、例えばプニプニとかアリオカートとかですかね。確か複数で、対戦が出来たはずです。」


ルイスは、有名ゲームをあげる。


「後は、テトテトリスとか?」


トキヤも、さりげなく言えばルイスも頷く。


「良いですね。他には、何か有りましたっけ?」


「基本に戻って、トランプゲームもあり!」


マッキーは、楽しそうに言う。


「チーム戦も、楽しそうだけどな。」


グレンが、さりげなく言う。


「それすると、固定メンバーになりそう。」


シャルムが、暢気に言う。


「まあ、余裕があればやれば?」


セロンは、紅茶を飲んでから言う。それから、1日目はテトテトリスとプニプニに決定!2日目は、トランプゲーム。3日目が、アリオカートとオセロに決定しました。いやはや、楽しみですね。


「オフ会は、無理だけどモニターオンラインオフ会はしないか?ルイス達は、カメラ起動させなくても良い。お酒とか、未成年が禁止な物を飲み食いしない様にする事。俺達も、飲み過ぎないのが条件。」


マッキーの声に、ルイスは考える。


「グレンは、どうしますか?」


「カメラ?別に、オンでも良いかな。」


なるほど、ルーカス君も顔出し配信者なので出す様ですね。うーん、どうしましょうか……。


「ルイス、家での姿で配信出ればバレない。」


爆裂が、素っ気なく言う。


「え、あの…目を見せるのは勘弁…」


「ん?ルイスの家での姿って?」


グレンが、キョトンとする。爆裂は、カメラの死角でグレンに1枚の写真を見せる。驚き、固まるグレンにトキヤとマッキーも見る。そして、笑顔に。


「ルイス、たぶんバレない。ってか、外でその髪型になれよ!前程、女性には間違えられねぇよ?」


マッキーは、真剣である。しかし、それに待ったをかける人物がいるのだった。

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