第115話 話し合いと提案

さてと、いったい何をしに来たのでしょう?ルイスは、紅茶に口をつけて相手の言葉を待っている。


「初めまして、私はこのゲーム創立者の蔵山です。さて、今回の騒動について話そうと思います。」


創立者…。これは、また…大者が出て来ましたね。うーん、もしや色々とやばかったりします?


「ふふっ、そう緊張しないでください。君は、どちらかと言うと被害者です。そして、私たちにも、落ち度がある事を理解していますからね。」


蔵山は、ルイスを見て優しく言う。


「えっと、分かりました。」


ルイスは、ティーカップを置いてから言う。ルーカスは、無言でルイスを見ている。


「では、話しを進めたいと思います。」


ルーカスは、今回の騒動について話した。友人が、魔法の真理に辿り着き、リアルでやって倒れた事がきっかけ。ルーカスは、このままでは危険だと遺跡を破壊する事にした事。そして、真理の鏡の前でホーエンハイムに出会った事。そして、瞬殺された。


やはり、凄く強いんですね。


「ホーエンハイム?おかしいな、そんなNPCを運営は確認してない。そんな、NPCがいるんですか?錬金術師は、カリオストロしか居ないはず……。」


ん?ん?どういう事ですか?ホーエハイムさんは、運営さんが用意した特殊NPCじゃないと?


「でも、灰色がかった白銀?の髪で赤い瞳で。」


ルーカスは、ルイス同様に混乱している。


蔵山さんは、少しだけ離れて連絡し合っている。ルイスは、真剣な表情で考えている。


じゃあ、ホーエンハイムさんは何者なんでしょう。そういえば、ゲレティー様の行動も早かった気がしますね。特に、遺跡に関して何か言ってた様な…。


『けど、遺跡の件は怒ってるからね?』


てっきり、僕は遺跡を壊した事を、怒っているのかと思ってました。けど、ワールドクエストが発動する時点で壊れる前提なはず。では、ゲレティー様は何に怒っていたのか。そして、ホーエンハイムさんが真理の鏡の前に居たと言うのも、なんだが引っ掛かりますね。何でしょう、この心の騒めきは…。


「ルイスの兄貴、もしかして俺…とんでもない事したっすか?やばい奴、解放しちゃったとか…」


ルーカスは、泣きそうな声音で聞く。


「うーん…、ゲレティー様なら何か知っているかもしれません。けど、あの最後の反応からして、おそらく話してはくれないでしょうね。」


ルイスは、考えるように腕を組みため息。


「お待たせ致しました。さて、ホーエンハイムですがね。過去データに、居た事が判明しました。」


過去データ?つまり、今は削除されてると?


「しかしです、実はアップデートで削除されていたはず。そこで、技術班に連絡した所…バグが見つかりました。これは、バージョンアップで良くあるバグですが。消したデータが、復活するバグですね。消そうにも、NPCを探す必要があるので神々総動員案件です。ちょっと、スペックが高すぎるので。」


ふーむ、なるほど…バグ…。何ですかね、ゾワゾワします。まあ、運営に任せるとしましょう。


その後、話し合いにより聞き出せた内容ですが。


殆どの真理は、既に削除されており人数の少ない錬金術は後回しになっていた事が判明。つまり、真理は消されます。そして、使えなくなります。


そして、真理の知識を持つ者をエルダーの称号を貰えます。僕の場合は、エルダーアルケミストって称号になりますね。そして、7王は真理に辿り着きながらも、それを使わないだろう人達が選ばれているそうです。そして、ゲームで良くある素材を集めてポチッとな、デデーン完成!システムになるとか。


けれど、簡略化された方は効果が劣ります。苦労かけて、作った方が効果が良いのですよ。しかし、現在プレイヤーで作れるのはカリオストロの弟子である僕とエレナさんだけ。しかし、エレナさんは調香師をメインにしているので、薬品余り作りません。


なので、貴重アイテム扱いみたいです。


それと、錬金術NPCが増えるみたいですね。スカウトは、やめてくれとの事。別に、錬金術師だからスカウトしている訳では無いのですが。まあ、言いたくなる理由は分かりますけどね。


ちなみに、ルーカス君は錬金術師のスキルを剥奪され錬金術が使えなくなってしまいました。


そのかわり、ウルレザイン君は削除を免れました。


良かったですね。何とか、多少は強引ながらも解決しました。ちょっと、疲れましたけど。


「ルイスの兄貴、ウルレザインに使った素材を集めるの手伝わせてくださいっす!お願いっす!」


「別に、気にしてません。」


ルイスは、紅茶を飲み素っ気なく言う。


「いや、その…俺が心苦しいんっすよ。」


ルーカスが言えば、ウルレザインが入って来る。


「あの!私にも、手伝わせてください!」


「ウルレザイン君、お身体は大丈夫です?」


ルイスは、心配そうに言う。


「ありがとうございます。大丈夫です。」


ウルレザインは、複雑な表情で言う。ルイスは、のほほーんと紅茶を渡して良かったと笑う。


そして、プロメアが起きてくる。


「パパ!プロメアのチョコ、美味しかった?」


プロメアは、目を輝かせわくわくした表情。ルイスは、表情を引き攣らせる。どう、答えるべきか。


「プロメア、一応ですが何を入れたか聞いても?」


すると、プロメアはキョトンとして言う。


「薬草・漢方・珈琲をいれたよ?」


すると、運営チームはプルプル震えて笑えを堪えている。ルーカスは、心配そうにルイスを見てる。ウルレザインも、絶句して固まっている。


「まさかの、ロシアンチョコでしたか。」


ルイスは、頭が痛そうに言う。


「それで、誰のアドバイスです?」


次の瞬間、素晴らしい笑顔で聞く。


「えっと、薬草はグレンお兄ちゃんで漢方はトキヤお兄ちゃん。珈琲は、マッキーお兄ちゃんだよ。」


「よーし、その宣戦布告は受け取りましたよ!可愛い娘に、変な事を吹き込んだ報いを受けさせねば。そして、全力で僕なりのおもてなしを…ね?」


ムフフフッ


そう、黒い笑顔で拳を握るルイス。


「ルイスの兄貴、楽しそうっすね……。」


「自分が被害を受けた事は、怒らないんですね。」


ルーカスは、乾いた笑いをこぼして言う。ウルレザインも、困ったような微笑ましい様な表情だ。


「ロシアンチョコ?」


プロメアは、キョトンとしている。


「当たり外れの、チョコをランダムに箱に入れたものを言いますね。ハズレは、ゲテモノだったりヤバめな物が入っていたり。ちなみに、漢方薬と薬草は入れちゃダメです。珈琲は、焙煎しすぎず適量を入れてください。今回は、悪いお兄ちゃん達にやられましたね。当たりなしは、とても辛かったです。」


ルイスは、説明してからチョコを食べた瞬間を思い出したのか、苦々しい表情になる。


「な、なるほど……。シャルム姉ちゃんも、止めなかったから良いのかと思ったの。ごめんなさい。」


プロメアは、驚いてから謝る。


「次は、一緒に作りましょうね。」


「うん!パパ、大好き!」


ルイスは、優しく言えばプロメアは元気良く頷く。そして、ハッとしてからモジモジと言う。


「パパ、怒ってない?パパは、プロメアの為に…」


「んー?何の事です?僕は、忘れました。きっと、プロメアのロシアンチョコのせいですね。」


うんうん、あれは大変でした……。っと、笑うルイスにムスッとして本当は美味しいの作れるもん!と言うプロメア。ルイスは、なら次を期待してます。っと笑うのだった。プロメアは、笑顔で頷く。


それを、運営陣は微笑ましく見ている。ルーカスとウルレザインも、笑顔で見守っている。


「さて、話は戻るっすけど…ルイスの兄貴。」


「ん?何ですか?」


真面目なルーカスに、ルイスはキョトンとする。


「今回の更新で、通訳機能とグループ作成機能が追加されたっすよね。なので、イギリスサーバーに来ないっすか?実は最近、エルフ国を解放したみたいなんすよ。シラユリ君の素材、全部集められるっはずっす。だから、行かないっすか?」


「条件がある。」


そう言ったのは、ルイスではなくトキヤだ。


「何すか?」


「グレン同行、そしてちゃんと戻って来る事だ。」


ルーカスは、頷く。グレンは、真剣である。


「ちょっ、トキヤさん!?」


ルイスは、あたふたしている。


「別サーバーに、行けばペナルティーが解ける。」


そう言われると、ルイスは何も言えない。しかし、シラユリの素材が欲しいのも本音だ。


こうして、ルイスはイギリスサーバーに遊びに行く事が確定したのだった。












作者の独り言

うわぁーん、忙しくて書く暇ないよぉう!


が、頑張りますけど…


遅くなっても、許してくださいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る