第109話 謹賀新年イベント

さてと、今回のイベントはレイド獅子舞討伐と羽根つきイベントです。レイドは、討伐数とダメージ数そしてMVP回数でプレゼントが貰えます。まあ、先に羽根つきイベントが先ですけどね。


ルールは、2人1組と1対1のモードがあります。1勝で、5ポイント。敗北で、マイナス1ポイント。


墨でやくがきは、禁止です。


5ポイントから景品が貰え例え、負けても点数は減らず景品は確定で貰える優しい設定です。それに、仮に0ポイントだとしても参加賞が貰えるのです。ただし、イベント画面を開かず最終がゼロだと、参加賞は貰えません。ここは、要注意ですね。イベント画面を開く、それすなわちイベント参加の意思表示です。まあ、開いてそのままの人も多いんですけどね。かく言う僕も、昔はそのタイプでした。


参加賞、余り良い報酬では無いのですが。


「おや?ウィンドに、ショップ機能が追加されましたね。ふむふむ…、かっ、可愛い。うーん、うん。決めました。ゲーム内コインで、買える物は全て買ってしまいましょう。リルやソル、フィンが使えそうなアイテムがいっぱいですね。プロメアには、洋服とかアクセサリーですかね。」


ルイスは、楽しげにショッピング。プロメアは、隣でウィンドを覗き目をキラキラさせている。


「お正月ですもんね。プロメアも、着物デビューしてみましょうか。シャルムさんに、頼んでた着物があと少しで届きます。楽しみですね。」


「パパも、着物を変えるの?」


プロメアは、苺ミルクを飲みながら言う。


「そうですね。見逃してくれると、僕は信じたいのですが、どうやら無理そうです。アウトォー!」


「分かってるなら、話は早いわ。さあ、プロメアちゃん。お姉さんと、お着替えしちゃいましょう。」


ルイスは、プロメアを見送ると装備変更する。


ちなみに、羽根つきイベントはNPCも参加可能。NPCにも、報酬がある系のイベントなのです!


なんて言うか、やりましたね運営。


手放しで、全プレイヤーが歓喜ですよ。つまり、普段は遊べないキリアさん達とも、戦えちゃう訳ですよ。まあ、戦闘では有りませんし、死ぬ要素がほぼ無いのが理由でしょうね。クランの合計、同盟の合計でベスト5を決めちゃうみたいです。


報酬うまいです、ありがとうございます。


さてと、今回はプロメアは同盟のお姉さん方にお任せです。子育ては、大変だしリラックスしてこいと言われた次第です。プロメアは、子供にしては聞き分けがいいですし、我儘も余り言わない子です。疲れは、感じてないのですか。まあ、たまには良いですかね。僕も、したい事が少し……。


それに、今はルーカス君の件があります。


どうしましょうか……。一応、カリオストロとマッキーさんとトキヤさんには話してあります。


「シャルムとアンさんには、ちゃんと言ってある。だから、イベントを楽しもう。分かったか?」


トキヤは、着替えたのかソファーに座る。


「……何も、起きなければ良いのですが。」


ルイスは、深いため息を吐き出す。取り敢えず、気分転換しましょう!さあ、買ったアイテムを確認せねばですよね。取り敢えず、場所を移動しましょうかね。確か、使われてない部屋があったはず。


ルイスは、元気よく立ち上がる。


「ん?どうした?」


「買ったアイテムを、確認してきます。ここでは、邪魔になりますからね。楽しみなのですよ。」


ルイスの、無邪気な雰囲気に大人陣は微笑む。青年陣は、優しい目線である。だが、ルイスは気づいてない。それより、アイテム確認が重要だからだ。


さてさて、まずは着物です。


なるほど、色を選び模様を決めると。おや?これ、手書きで自由にデザイン出来ちゃいますね。買ったアイテム限定ですか。手書きデザインは、運営が監視していてやばいデザインは描けない仕様になっています。後で、追加で買って作ってみましょう。


勿論、一回着せてスクショしたら封印します。


だって、恥ずかしいじゃないですか!まあ、それはさて置きリルは黒が良いのか、ウィンドを可愛いお手てでペシペシしてます。押したいけど、うまく肉球が当たらず此方を見上げて来ます。取り敢えず、黒を選択して模様のページへ。良いですね、柄物からワンポイントまで…何ページ有るんでしょう?


おっと、2羽の鶴のワンポイントですね。


選択して、決定を押すと真っ白な布に色とデザインが。早速試着すれば、良い感じですね。


次は、ソルですね。そう言えば、ソルって最初はかなりの暴れん坊だったのに…落ち着いて、穏やかになりましたよね。戦闘では、相変わらず暴れん坊ですが。ソルは、白を希望しました。この流れだと、亀とか選びそ…亀ですね。何となく、分かってましたよ。では、いざ試着!もっと、カラフルな色でも良かったですのに。やはり、僕の趣味に寄せてるのでしょうか?まあ、似合っているので良いですが。


お次は、フィンですね。フィンさん、もしや…


慌てて、逃げるフィンを見てルイスは思う。犬や猫など、飼っている人は分かると思うが。服を着るのを、嫌がる子もいるのだ。着せても、自力で脱いでしまう子が。残念ですが、断念しますかね。


さて、被り物を並べてみます。ネタ要素しかない、レパートリーですが何をうちの子は選ぶのやら…


リル:(これ!)

フィン:(なら、これかな?)

ソル:(流れに、乗るべき?なら、これだよね。)


「……なっ、なるほど。」


ルイスは、思わず言葉に詰まる。


リル:真っ赤なアフロ

フィン:黄色いアフロ

ソル:青いアフロ


「流石に、ネタですよね?ですよね?」


すると、頷く3匹。次に、選んだ物を見て苦笑。


リル:虹色アフロ

ソル:ちょんまげ

フィン:禿頭


「なるほど、うちの子のセンスはやばいと?ソルさん、ソルさん…君に関しては、絶対に2人に合わせてますよね?君のセンスは、良かったはず。」


すると、ソルはマフラーを見る。ルイスは、ほっとする。すると、プロメアが入ってくる。


「パパ、これ何?」


プロメアは、獅子舞の被り物に興味深々である。しかしながら、今のプロメアはシャルムに髪をセットして貰っている。被れば、崩れてしまうだろう。


「イベントが、終わったらあげるので、今は我慢してくださいね。せっかくの、可愛い髪型が崩れてはシャルムさん達も落ち込みますから。」


「本当!くれるの!うん、我慢する!」


プロメアは、嬉しそうにキャッキャッと喜ぶ。


そんなプロメアを、微笑ましく見る反面ルイスは思わず思ってしまう。本当に、うちの子達はと。


これからは、厳選してから選ばせないとですね。


ルイスは、何を選ぶか分かったもんではない。と、内面は苦笑して心に誓うのだった。





そして、イベント後半になる。


プロメアは、街で道に迷っていた。人混みに流されて、引き離されてしまったのだ。


「どうしよう、戻らないと……。」


「プロメテア?」


プロメアは、声の方を見れば少年が驚いている。


「違うもん!プロメアだもん!」


「あっ、すまないっす。俺は、ルーカスっていうっす。つい、知り合いのホムンクルスに似てたから。もしかして、プロメテアの妹ちゃんとか?」


いやいや、ないない…。とっ、ルーカスは呟く。


「お姉ちゃんを知ってるの?」


「……もしかして、親はルイスの兄貴っすか?」


プロメアは、キョトンとして首を傾げる。


「親は、錬金王ルイスっすか?」


ルーカスは、真剣な雰囲気で言い直す。


「えーと、うん!」


「すぅー、はぁー……。何してるんっすか、ルイスの兄貴。プロメアの価値は、誰よりも理解してるはずっしょ。まあ、気持ちは分かるっすけど。親ならば、子供から目を離しちゃ駄目なのに……。」


ルーカスは、周りに聞かれないように言う。


「違うの、プロメアがお姉さん達に誘われて、パパに許可を取って遊びに来たの。でも、はぐれて。」


プロメアは、勘違いされたら嫌だと、必死にルイスは関係ない事を言う。ルーカスは、深いため息。


「プロメアちゃん、俺と会った事はルイスの兄貴には言わないでくれないっすか?」


「なんで?」


プロメアは、オロオロとルーカスを見上げる。


「まだ、バレる訳にはいかないっす。まだ、サプライズの準備が出来てないっすから。どうせなら、驚かせたいっす。だから、お兄さんとの約束っす。」


ルーカスは、悪戯っぽい笑顔で言う。プロメアは、明るく笑うと頷く。ルーカスは、その笑顔に心が痛むのだが。プロメアは、ニコニコして言う。


「サプライズ、成功すると良いね!」


「……そうっすね。」


ルーカスは、プロメアを直視出来なかった。


「プロメアちゃーん!どこぉー!」


ルーカスは、優しくプロメアの背中を押すと、素早く人混みに紛れて姿を隠す。プロメアが、シャルムと手を繋いだのを確認してから歩き出した。

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