第107話 クリスマスイベント3

さてと、これで負けられなくなりました。プロメアは、怯えてますがフラスコを構えてます。偉いですよ、ここで泣いても喚いても助からない事を、よく分かっている様です。だから、僕も守らなければ。


「プロメア、ありがとうございます。この世界で、本当の意味で死ぬ事が無い僕より、本当の意味で死んでしまう君はとても怖いはず。なのに、ここに残る選択をしてくれました。僕は、嬉しいです。」


ルイスは、優しく笑うとプロメアに言う。


「だって、やだもん!パパが、目の前で死ぬの!」


プロメアは、涙を浮かべながらも調合する 。


「そうですね。僕も、君が死ぬのが嫌です。」


ルイスは、指輪を外すとプロメアの首にかける。


「パパ、この指輪は?」


「この指輪には、実は隠しステータスがあります。言えませんが、君を守護してくれるでしょう。」


PK達が、見える範囲までに迫って来ていた。


「さて、君達の目的は何ですか?」


「お前のプレイヤードロップだよ。それと…」


男は、プロメアは見ている。プロメアは、震えている。何が、目的なのかは察した。


「なるほど、僕の娘にお痛するのはやめて欲しいのですが。そうですか、では僕も人として大事な物を捨ててしまいましょう。プロメア、行きますよ。」


ルイスは、素早く男に切り込む。余りの速さに、対応が出来ずに死ぬ男プレイヤー。ルイスは、無言で次々とPKしていく。プロメアは、思わず怯える。


「プロメア、回復を…」


プロメアは、回復ポーションを投げる。


「お前、まるで獣みたいだな?」


「龍は、能ある獣の中では最強なのですよ。特に、残虐かつ狡猾な龍は…ね?黒龍は、邪龍ですし。」


ルイスは、黒龍の龍人だ。本来、邪龍は優しく世界の悪い物を浄化する役割がある。しかし、浄化しきれない物が体にたまると…残虐かつ狡猾で、更に知能が高いので悪事の証拠も残さない諸悪の根源に。


「おおー、怖い怖い。おじさん、撤退するわ。」


「なるほど、援軍を呼ぶつもりですね?」


ルイスは、最後の1人を逃してしまう。何故なら、プロメアが限界だったからだ。ルイスは、プロメアに近づき心配そうに見つめる。怖がられるかと、恐る恐るだが。プロメアは、泣きながらルイスに抱きついた。ルイスは、困ったように笑う。


「パパ、プロメア…怖かった!怖かったよぉ!」


「良く頑張りました、プロメア。」


暫くして、手を繋ぎ場所を移動する。何故なら、PK達の援軍が近付いて来ていたからだ。ここだと、ルイス達には不利過ぎる。ルイスも、邪龍の能力を使う程の余裕は残っていない。プロメアは、体力が少ないのでバテるのがはやい。ルイスは、プロメアを背負うと空歩や敵索を駆使して、PKの包囲網から逃げる。しかし、PKも負けじとくらいつく。


まずいですね、そろそろ夜明けが来ます。


ルイスは、空を見上げてから苦しげな表情。古代兵器が、動き出してしまう。プロメアは、背中で眠ってしまっている。ルイスは、必死に思考を巡らす。


天魔逆転シリーズ:双神の刃

説明:善を悪に、光を闇に…その性質は逆転する。


これしか、方法が有りませんね。例え、邪龍に堕ちたとしても……僕にも、譲れないものが有ります。


「プロメア、起きてください。」


「うむぅ…、パパ?此処は、何処なの?」


プロメアは、寝ぼけながら問う。


「ここは、下山して暫く進んだ森です。プロメア、君に嫌なお願いがあります。僕が、崖を飛び越えたら崖を爆発して欲しいのです。勿論、空歩を使うので大丈夫ですよ。そして、君は街に逃げて。」


すると、駄々をこねるプロメア。


「プロメア、お願い。君を、殺したくない。」


ルイスは、一度だけ自分の手でホムンクルスを殺した。プロメアにとっては、姉に当たるプロメア……プロメテアである。名前は、プロメテウスから取っている。人々に、最初に火を授けた神様の名だ。


「パパは、プロメアを殺さないもん!」


「それは、違います。そもそも、錬金術師にとってホムンクルスは道具です。失敗すれば、殺して廃棄すれば良い物なのです。本当に、愛情を与える錬金術師は殆ど居ないのですよ。所詮、また作れば良いだけの道具なのですから。僕は、錬金術師です。だから、君を守るのも自分勝手な理由なのですよ。」


ルイスは、吐き捨てる様に言う。プロメアは、傷ついたのか泣いてしまう。ルイスは、そんなプロメアを置き去りに崖を飛び越える。


「パパなんて……、大っ嫌い。」


プロメアは、そう呟いて爆弾を投げる。勿論だが、崖から次々と転落するPK達。ルイスは、双神の刃を抜き払う。すると、黒い髪が赤みがかった黒髪になる。そして、黄金の瞳は紅に染まる。


「さあ、断罪の時間です。PKに、死の祝福を。」


ルイスは、ふわりと笑い短刀をPKに向ける。


「おいおい、移動速度が落ちてるぜ?」


「これ、勝てるんじゃないか?」


しかし、そんな希望は直ぐに消えた。


「汝に、死の宣告を…」


ルイスは、デバフをかける。


「ぐっ!何だよ、このやばいデバフ!」


「バフの効果が、落ちているとはいえ不味い!」


ルイスは、回避特化でバフ高めで攻撃力よりサポートを優先させたステータスになっている。


素早さを回避率に

回復力を火力に

バフをデバフに

サポートをブーストに


装備バフもステータスも、全てが反転する。


回避特化のバフ系サポート回復


それが、反転した……


防御特化のデバフ系ブースト火力に。双神を抜刀した時、反転状態になるのだが、隠しステータスにアズライールと書かれている。死告天使のだ。


死を告げる天使…アズライールである。


ルイスは、祈祷師の姿で微笑む。


ちなみに、効果は減少しているが、バフが使えない訳では無いと言うのも恐ろしいものだ。


「誰か!誰か、助けてくれ!」


「大丈夫、死によって救われますから。」


ルイスは、必死に逃げるPKに笑顔で答える。


「ルイス、そこまでだ。」


グレンは、希望の剣をルイスに向ける。


「この人達は、僕達を殺しに来たんですよ?」


ルイスは、不機嫌そうに言う。


「達?他に、誰か居たのか?」


グレンは、剣を戻して驚く。


「僕の娘、ホムンクルスですよ。」


すると、グレンは全力で謝る。


「ごめん!だって、一方的だったから。」


「……僕は、これで失礼します。」


短刀を、鞘に直せばいつもの姿になる。


「ルイス?えっと、怒ってる?」


「………。」


ルイスは、無視して歩く。すると、プロメアが泣きながら駆け寄る。プロメアはグレンを見て怯える。ルイスは、優しく微笑むと優しく言う。


「彼は、味方ですよ。さあ、山小屋に戻りましょうか。素材も、集まった事ですし、一緒にクリスマスツリーを作りましょう。作るのは、好きですか?」


すると、プロメアは無言で頷く。大っ嫌いと、言ったことを後悔しているのだろう。ルイスは、気にしていない。子供なら、誰だって言った事がある言葉だ。プロメアは、幼い子供なのだしと聞き流した。


「パパ、ごめんなさい。」


「あれは、僕が嫌な事を言ったから…」


しかし、ルイスは嘘をついてない。


「違う!プロメアが、パパを困らせたから!だからパパは、プロメアを突き放すしか無かっただけ!」


プロメアは、ルイスに抱きついて離れない。


「プロメアは、パパが大好きだもん。」


ルイスは、困った様に笑う。プロメアは、そのまま崩れる様に寝てしまった。ルイスは、指輪をプロメアから外して自分につけて人になる。


「まったく、手のかかる子ですね。」


ルイスは、双神の刃を見ればクールタイムが入っている。次は、来月まで使えないらしい。


ルイスは、山小屋に戻りプロメアを寝かせる。初心者達は、移動したのかいない様だった。


ルイスは、絵の具や塗料を調合…クリスマスツリーに使いそうな素材を選別する。そして、お昼時になるとプロメアが起きてくる。そして、クリスマスツリーの飾りを2人で作り飾る。プロメアは、楽しそうだ。何を飾るか、悩む様子にルイスは笑う。


ルイスは、飾り付けをプロメアに任せて、クリスマスパーティーの料理を作ることにした。


「2人ですし、量は少なめで良いでしょうか?」


プロメアを見れば、飾り付けに夢中で聞いてない。


「まあ、いつも通り作っても良いですね。後で、食べてしまえば良いのですから。」


ルイスは、クリスマスソングを歌いながら、暢気に料理を作っている。プロメアも、ルイスの真似をしてクリスマスソングを歌い出す。


ここで、ノック音がする。


「んー?」


「よーう、元気か?」


マッキーが、メンバーさん達を連れて来る。


「パパ?えっと、お友達?」


プロメアは、キョトンとしている。


「なるほど、これがルイスの……初めまして、お名前を聞いても良いか?俺は、マッキー。ルイスにとっては、友達で間違いないぞ。よろしくな。」


「あのね、プロメアはプロメアなの。」


プロメアは、ルイスに隠れる様に抱きつく。


「プロメア、マッキーさんはトキヤさんともお友達です。つまり、僕にとっては身内となります。出来れば、プロメアも仲良くなったら嬉しいです。」


プロメアは、頷く。マッキーのメンバーは、面倒見が良くプロメアも姉様方にすぐなつく。ルイスは、双神の刃についてマッキーに聞いてみた。


「夏イベで、何人かそのシリーズを持ってる。使用条件は、バラバラだが月に1回しか使えない。そのかわり、バットステータスなどにならない。」


マッキーは、真剣な表情で言う。


「死告天使アズライール、それがこの双神の刃の本当の名前でした。どうやらもう一つ、アズラエルという本のサブウェポンをセット出来るみたいです。セット武器は、今回は初めてなのでは?」


「だな。短刀、杖、盾、剣、弓この5つが確認されている。そして、その全てにおそらく天使が宿っている。アズライールは、醜い姿で死を宣告する天使だ。神話では、片手に本を持ち片手に剣をもっている。おそらく、短刀なのはお前に合わせてるのかもな。何にせよ、ブッ壊れ武器だわな。」


ルイスは、少しだけ考えてため息を吐き出す。すると、ノック音がしてマッキーがドアを開ける。同盟メンバー、大集合である。プロメアも、皆んなから可愛がられており、ルイスはホッとして料理を続ける。しかし、プロメアはルイスに抱きつく。


「プロメア、危ないですよ?どうしました?」


「やっぱり、パパと一緒が良い。」


ルイスは、困ったように笑うとプロメアに言う。


「では、プロメア。机を、これで拭いてください。僕は、料理を運ぶので。頑張ってくださいね。」


プロメアは、頷くと楽しそうに机を拭く。


「なら、料理運ぶの手伝うか。」


マッキーは、暢気に運び出す。グレンが、近付いて来てまたルイスに謝る。ルイスは、気にしてないと笑う。あの時は、守らねばとピリピリしていた。


なので、しっかり仲直りする。


そして、クリスマスパーティーをするのだった。トキヤも、途中参加して華やかに終わった。











今年、最後の投稿です。今まで、作者を見捨てず読んでくださり、ありがとうございます。


今年も、あと数時間ですが良い年越しを!

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