第103話 ポーションデザイン

試験時間が、やっと終わりました。帰って、ご飯を食べて…。ログインは、しない予定でしたが様子見にログインしましょうかね。取り敢えず、リアルの問題は解決したので、次はゲームの事を考えなければ…。まず、クリスマスイベントに備えましょう。


ログインして、伸びをするとカリオストロが小さく驚く。ルイスは、ソファーにそのまま倒れる。


「試験は、終わったのか?」


「何とか…。取り敢えず、疲れました。」


ルイスが、ドヨーンとした雰囲気で呟けば、やれやれとため息をつくカリオストロ。ドラコフも、笑っている。ルイスは、起き上がりキッチンに向かう。


そして、お茶の準備を開始する。ハロウィンイメージのケーキ、それをレシピ無しで作り出した。


「さてと、そろそろ休憩に皆んなが来ますかね。」


ハロウィンケーキを、机に並べティーセットも机に置く。普段、自分達が居ない間に頑張る、彼らへのご褒美である。レシピを使わない。つまりはオリジナル料理で手間暇がかかってる最高品質のお菓子。ルイスは、品質とレアリティを見て満足そうだ。


あとは、『お疲れ様です、自由に食べてください!Happy Halloween!』と書き置きをする。


ここに、自分が居れば食べづらいと思ったのだ。


久々に、部屋に戻り絵描き機能を開く。ウィンドには、白い紙が表示される。ペンタブと同じ機能、そう思って貰えばイメージしやすいだろう。


ルイスは、何か書こうとしてペンを迷わせる。


うーん、デザインが思いつきませんね。


小さくため息を吐き出し、ペンを置くと近くに居たリルを抱き上げてもふもふ…。ソルは、ずるい!って雰囲気で鳴けば、ルイスはソルも膝に乗せる。


2匹とも、もふもふで暖かいですね。冬毛なので、いつもよりもふみが……とても、癒されます。


ルイスは、ペンを指先で遊ばせながら考える。


オリジナルボトルの蘇生薬、それと、HP•MP回復薬ポーションのデザインを考えなければ。1回目は、違う種類の雪だるまデザイン3つでした。2回目は、蘇生薬がサンタ。MP回復が、トナカイ。HP回復が。クリスマスツリーのデザインでした。


ふーむ、どうしましょう?


取り敢えず、考えながらペンで今のbreezeメンバーの似顔絵を描いてみる。下書きして、ペン入れしてカラーを入れていく。そして、完成。


これは、恥ずかしくて見せられません…ね?


「へぇ〜、流石だな。」


「トキヤさん!?」


ルイスは、暫し固まってから急いで、保存を押して画面を消す。恥ずかしいのか、顔は赤くなりアタフタしている。マッキーは、ニヤニヤしながら言う。


「隠さなくても、良いのに。」


「わ、忘れてください!」


動揺するルイスに、2人は思わず笑う。


「もう…まったく、用件は何ですか?」


「来れないって、聞いてたから驚いてな。」


ルイスは、なるほどと頷いて座る。


「試験が、先ほど終了したのですよ。だから、息抜きとクリスマスに備えてオリジナルボトル、そのデザインを考えようかと思いまして。」


「なるほど、思いつかなくて俺達を描いてたと。」


トキヤは、暢気に言えばルイスは恥ずかしさに、また顔を赤くしてベッドに潜る。


「うぅ…、恥ずかし過ぎます。」


「まあ、取り敢えずお疲れ様。まだ、イベントまで時間もあるし。ゆっくり、考えれば良いさ。」


トキヤは、暢気に笑う。ルイスは、深呼吸をしてベッドに座り小さくため息を吐き出す。


「まあ、そんなに慌てなくても良いんじゃね?」


マッキーは、キョトンとルイスを見る。


「ボトル製作は、依頼なので早めにデザインを渡す必要が有るのですよ。なので、急がねば。」


「じゃあさ、皆んなで雑談しながら考えるか。」


ルイスは、頷くとウィンドを閉じて立ち上がる。


「ルイス様が、この時間に居るのは珍しいですね。ケーキ、ありがとうございました。」


そう言うと、ランコルが紅茶を置いてくれる。


「試験日でしたから、多分そろそろグレンも…」


「ルイス、先に帰ってたのな。」


グレンは、暢気に言いながらログインしてくる。


「はい、先に終わったので。どうでした?」


「まあまあ…かな?」


グレンは、苦笑しながらソファーに座る。


「今回は、かなりの定員オーバーですからね。でも、出来れば第二希望は行きたく無いですね。」


「そうだな。まあ、俺は試験終わった!」


グレンは、嬉しそうに出された紅茶を飲む。


「羨ましい限りです。はあ…、早く終わって欲しいですね。そして、心置きなく遊びたいです。」


ルイスは、ペンをクルクル回しながらため息。


「だな。取り敢えず、俺も結果が出るまでは油断できんしな。まあ、お互い頑張ろう。」


ルイスは、頷くと深いため息を吐き出す。


「リルー!ソルー!」


泣き言のような雰囲気で、2匹を抱きしめる。リルは、嬉しそうだがソルはやれやれといった雰囲気。


「ルイスが、現実逃避しとる。」


「まあ、仕方ない。ルイス、運営との話し合いだけどさ、俺たちも招待状が来た。勿論、行く。」


すると、ルイスはリルとソルを降ろして言う。


「それですが、2日前に運営の星さんと村瀬さんが家に来まして。今回の件の謝罪、それとこれからの対応について説明がありました。なので、その招待状の件はお受けする事にしました。」


ルイスは、紅茶を飲み招待状の写真を見せる。


「……ルイス、気が付いているだろ?」


「兄さんが、運営サイドだってことですよね。」


すると、トキヤとマッキーとレンジの表情が固まってしまう。大人NPCは、察していたのか態度変わらずである。バロンとキリアは、驚きルイスを見る。そして、グレンは驚き心配そうである。他のメンバーも、思わず無言になってしまう。


「あ、別に兄さんの為じゃないですよ。運営の説明を聞いて、まだ信頼が出来ると思ったからです。」


ルイスは、真剣な表情で言う。


「そうか。」


トキヤは、短く呟く。


「それと、裁判をするなら裁判費用はあちらが持つと言って来ました。出来ればして欲しくないが、運営側も今回の事態を重く見ており、可能な限りの謝罪と対応をするとの事です。後は、何か知りませんが、受験を応援していると言われました。」


「たぶん、生年月日を登録するからそこからかな?お前の兄貴でも、絶対に個人情報は話さない。」


マッキーが言えば、トキヤとレンジが頷く。


「まあ、何でも良いのですよ。どうせ、なるようにしかならないのですから。取り敢えず、目の前の事をどうにかせねばです。デザインですよ。何か、アイデアください。無理、ヘルプなのです!」


ルイスが、後半をはっちゃけた雰囲気で言う。すると、周りの雰囲気が緩くなり笑い声が聞こえる。


「いっそ、リルとソルとフィンのクリスマス衣装バージョンとかはどうだ?サンタ服とか…」


「うーん…、なるほど。」


ルイスは、紙にペンを走らせてデザインを書く。


「こんなものでしょうか?勿論、後で微調整と加工をしますけど。下書きなので、許してください。」


すると、NPC勢が驚いている。


「リアルでは、少しだけ嗜んでました。」


「では、聖夜の双子はどうでしょう。」


ふむふむ、確かこの世界では幼い頃から読み聞かせられる、クリスマスに人気の童話でしたね。ちなみに、双子はクリスマスにしか会えません。やはり、天使で偉い立場らしく、クリスマスしか来れないらしいです。あの、オッドアイの双子をサンタ衣装に描く。ポーズと背景に悩み、教会のステンドグラスの前に立ち祈りをしている双子を描いてみる。


ステンドグラスは、聖夜のイメージの模様にし、職人が加工する事を考えて細かなデザインはさける。


「綺麗だな。」


ローアンが、頷く。ルイスは、SSを撮るとローアンに紙を渡す。作るのは、プレイヤーの細工師でマリーヌ♡さんが、認める細工師の頂点に立つ人です。なので、絵をSSで送った方が良いのです。


「子供達が、喜びそうだね。」


「孤児院のですか?それなら…」


ルイスは、ペンをささっと走らせる。そして、色を塗る。ステンドグラスは、細やかで美しいデザインである。双子にも、服のシワや影まで細やかに色付けされている。その後、インクが乾いたのを見てローアンに渡す。前書いたのは、加工しやすい様に手抜きした絵であった。子供達に送るなら、良いものが良いだろと手を抜かずに描いたのだ。


そして、手抜きの紙を回収する。


それから、いろいろと話し合い蘇生薬が祈る聖夜の双子。HPが、リル•ソルのサンタ服。MPが、サンタとトナカイと背景にクリスマスツリーですね。

さてと、デザインをSSで撮り細工師頂点の男であるゼネさんに送ります。さて、終わりましたぁー!


「後は、ポーションを作るだけです!」


やったー!と喜ぶルイスに、優しい視線を向ける大人達。一緒に喜ぶ、他のメンバー達。


今日も、名も無き同盟は平和であった。

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