第101話 困った主と悩める大人達
※本編の流れで言えば、100話の夜から朝にかけての話です。本編とは余り関係ないので読まなくて大丈夫です。それでも、許そう!って人はどぞ!
あーあ…、ついにやってしまいました。また、あの人達みたいに離れて行ってしまう。失敗しました。現に、この性格を見て僕を見捨てなかったのは、家族とトキヤさんとマッキーさんだけです。レンジさんは、僕のこんな性格は知らない…と思いたいですね。本当に、何故こんなに歪んでしまったのやら。
ルイスは、深いため息を吐き出して起き上がる。
そして、静かに小屋の外に出て海辺を歩く。海で、寝なければ小屋に転送されない。なので、ルイスは無言でテクテクと歩く。ルイスは、不安で仕方なかった。追い討ちをかける様に、昨日の事を害悪プレイヤーが掲示板にて動画付きで晒したのだ。
勿論、すぐに運営に消されたが、見た人も多い。
ルイスは、悲しみに目を閉じて立ち止まる。
そして、近くの椅子に座り、海と夜空をを見る。すると、日付が変わったのか宝箱が浜辺に現れる。
ルイスは、黒い箱が見えたので近づき開ける。
*New!*
天魔逆転シリーズ:双神の刃
説明:善を悪に、光を闇に…その性質は逆転する。
ルイスは、興味がないのかストレージに放り込む。通常ならば、この武器のブッ壊れ性能に叫んで居たであろうが。そんな気力、今のルイスには当然ながら無かった。すると、リルとソルが現れる。
「おや、どうしたんですか?」
すると、リルが宝箱を見て目を輝かせ、ソルはやれやれ行くの?とルイスを見上げる。ルイスは、キョトンとしてから思わず笑ってしまう。
「ふふっ、やっぱり可愛いは正義ですね。」
すると、2匹同時にコテンッと首を傾げる。
「では、トキヤさん達には申し訳ないですが。先に宝箱を、開けてしまいましょうか。」
そして、6個宝箱を開ける。
うーん、素材2つに不死鳥の腕輪…此方は使い捨てですね。残り3つも、使い捨てのアイテムです。
ルイスが、小屋に戻るとトキヤとマッキーが驚く。
「おはようございます。」
「ルイス、おはよ。珍しく、早いな。」
トキヤは、少し顔色の悪いルイスを見て心配そうに言う。マッキーは、困った表情で笑う。
「まあ、今日は自由行動らしいし、寝る時間なら幾らでもある。余り、無理はするなよ?」
ルイスは、苦笑して軽く頷きながら小屋に向かう。
2匹は、外に遊びに出てしまった。小屋に入ると、キリアさん達が心配そうに近づく。
「ルイス様、何処へ行ってたんですか!」
ちなみに、この後キリアさんに説教されました。初めて、怒られた気がします。いえ、僕が悪いので大人しく受けてましたよ?けれど、本気で心配しているので何も言えないのですよね。あはは…
「キリア、それくらいにしとけ。誰だって、寝れない夜くらいあるだろ。次は、黙って一人で出かけない。それだけは、守ってくれ。約束な?」
バロンは、ルイスの現状を見透かすように言う。
「さて、私達は朝ご飯を作りましょうかね。」
ランコルの言葉に、全員が出て行く。ルイスは、眩暈がしてふらつく。すると、バロンが支える。
「やっぱり、危ねぇわ…」
「えっと、こっちでもリアルと同じ様になるんですね。あはは…、勉強になりました。」
ルイスは、誤魔化す様に笑う。
「そりゃ、体感時間に精神や肉体も引きずられるらしいからな。だから、寝不足になれば、眩暈が疲労がたまれば倒れる。そう、運営とかいう奴が言ってた。そして、ルイス様は少し危ないともな。」
ルイスは、驚いた。運営が、まさかバロン達に知識を与えるとは、思わなかったからだ。
「そっ、そうなんですね。あの、もう放して大丈夫です。その、布団も敷かれてますし。」
「ルイス様が、ちゃんと寝るまで居る。」
バロンは、床に座り珍しく本を読む。
「何を読んでいるんです?」
「昨日、運営に渡された。プレイヤーについて、環境や情報や技術について書いてある。俺達が、物事を判断しやすい様に、まとめてある覚えろとさ。」
ルイスは、なるほどと頷き目を閉じる。リアルな、眠気を感じルイスは意識を手放すのだった。
「まったく、困った主様だ。」
バロンは、本を閉じて深いため息を吐き出す。そして、少しだけ拗ねた様に呟く。
「もっと、頼ってくれても良いんだぞ?」
すると、キリアが複雑そうな表情で言う。
「ルイス様は、もしかして頼る事に慣れていないのかもな。どうにか、吐き出しぐちを探さないと、まだ子供であるルイス様には辛いだけだ。」
キリアは、深刻そうにため息を吐き出す。
「あれか、もふもふか?ルイス様、好きだしな。」
「お前な…。あながち、間違っては無いだろうが、ルイス様にはリルとソルが居るだろ?」
すると、2匹が入って来てルイスの布団の近くで、座り静かにルイスを見守っている。
「取り敢えず、此処は2匹に任せるか。」
キリアは、少しだけ考えて言う。リルとソルは、無言で頷く。ちなみに、2匹の年齢は人間でいう15歳である。子供の姿なのは、ルイスが喜ぶからだ。
「そうだな。これが、43ページにあるアニマルセラピーなるものか?意外と、有効なのかも?」
バロンは、本を見ながら考える。
まだ、早朝の5時である。そして、ルイスは3時間の睡眠。8時に起きて、眠そうに目を擦る。
顔を上げると、トキヤとマッキーと視線が合う。
「お、おはよう御座います…」
「おう、おそよう!」
マッキーは、にししっと笑う。トキヤは、バロンの本を借りて読んでいる。ルイスも、気になり視線を向けるが、見る必要は無いと説得させられる。
「取り敢えず、朝食でも食べてくれば?」
バロンが、暢気に言う。
「そうですね。」
ルイスは、布団を片付けると装備変更。大人達は、こっそりため息を吐き出すのだった。
「リルとソル、頼んだぞ?」
トキヤが、思わず呟けば2匹は小さく鳴いて、ルイスを追いかけるのであった。そんな、大人の心配を知らないルイスは、生産倉に1日籠る事にする。
ある意味、大変な1日が始まるのだった。
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