第97話 獣王国への招待状(イベントスタート!)

さてさて、イベント当日に送られてきた招待状。差出人は、獣王国の皇太子殿下です。今回の案内NPCは王族が動くそうです。確か、獣王には妃が4人居て正妃の子供は2人他の妃は4人と1人そして3人。皇太子を合わせれば9人の子供が居ます。3人は、姫殿下で2人は嫁に行っていて居ないとか。


つまり、7人の王族が海と山に別れて手伝いする。


さて、獣王国へ入りました。転移門も解放され、騎士達に案内されて王子達の場所へ。途中、海サイドの人達と別れる。そして、案内された場所には男の子が、4人居ましたね。ふむ、どうなるのやら…。


「俺の名前は、ノクティンだ。俺様が、案内してやる事に感謝して欲しいくらいだぜ。」


「僕は、クリヤン。僕が、今回は導いてあげようじゃないか。どんどん、頼ると良い!」


「面倒だけど、王命だから仕方なくやる。名は、ルダだ。だが、自分の命は自分で守れ。」


「…はっ!すっ、すみません。僕は、メウロといいます。そっ、その…僕、頑張りますね。」


プレイヤー達は、個性的な自己紹介に苦笑する。ルイスは、3人を無視して犬顔の獣人に近づく。


「メウロ君、よろしくお願いしますね。」


すると、3人は険しい表情でルイスを見ている。ルイスは、笑顔で反撃する。すると、固まる3人。


「僕は、礼を尽くす者には必ず礼を返します。貴方達には、礼を返すまでもありません。もう、帰って良いですよ。メウロ君が、頑張って案内するそうなので。それと、皇太子に警告です。王族の継承問題に、僕達プレイヤーを巻き込まないでください。もし、継続するので有れば許しません。」


皇太子は、隠れて様子を見守っていた。そして、ルイス達に居場所がバレていれると察すると、姿を表してルイス達に頭を下げる。周りの獣人達が、騒めきルイスを睨む。しかし、ルイスが静かに怒ってるのを察して視線を逸らす。皇太子は、苦笑する。


「まず、この団体の代表を決めてくれ。」


すると、全員がルイスを見る。獣王国は、プレイヤーを巻き込もうとしていた。ルイスは、そう言ったのだ。自分達を、守ろうと牽制もしてくれた。


と、言う訳で…。


「お前が、やれば?皆んなは、どう思うよ?」


すると、次々と賛成の言葉が聞こえる。


「確かに、君なら僕もプレイヤーも信頼できるね。さて、少年…いや、代表者殿の名前を聞いても?」


「僕は、ルイスといいます。」


すると、皇太子を含め全員が驚く。


「えっ?くっ、薬の申し子殿ですか!」


「薬の申し子?トキヤさん、何か知ってますか?」


ルイスは、キョトンとして首を傾げる。そして、後ろを振り向きトキヤに情報を求める。最近まで、まともなプレイが出来ていないルイスは、余り最近の情報を知らない。なので、助けを求めたのだ。


「獣王国は、聖人の認識がない。彼らは、神獣を崇めるからな。つまり、お前は聖人としてじゃなく、凄腕の薬師…医者だと思われてる訳だ。」


トキヤも、そんな事情を知るから説明する。


「ふむふむ、なぁーるほど…。ですが、一つだけ間違えてます。僕は、凄腕なんかでは無いのです。」


ルイスは、素っ気なく言うと皇太子を見る。


「さて、代表者として名乗りをあげました。」


「そうですね、メウロ案内をよろしく。」


メウロは、ちょこんと頷くと先導旗を持ち歩く。おチビさんなので、進む速度が遅く旗もヨロヨロ持っている。ルイスは、おチビさんを抱き上げてリルに乗せる。そして、旗を持って隣を歩く。


「方向を教えてください、僕達は着いて行きますからね。慌てなくて、大丈夫です。」


ルイスは、目線を合わせて優しい笑顔で言う。メウロは、パァーッと目を輝かせて頷く。


「さて、ここからは自由みたいですね。」


「皆んな、宝探しにいったね。」


アレンは、周りを見ながら言う。ルイスは、頷くとテントの準備にかかる。アレンは、驚いて言う。


「えっと、宝探しに行かないの?」


「アレン君、暗闇の中でテント建てるのは大変ですよ?それに、宝探しは夜にするものですよ。」


ルイスは、含みのある口調で笑う。ルイスは、マッキーにテント建てと薪拾いをお願いする。トキヤ達には、食糧調達と情報収集をお願い。ついでに、実戦歴の浅いゼノとシンラを連れて行くよう指示。


料理は、ルイスとキリアとローアンとランコルでやる事に。意外にも、ランコルさんが料理スキル持ちだと判明したので参加。アレンは、リアルスキルで料理が少しは出来ると言う事で助手をする事に。


テントは、着々と完成。女性プレイヤーが、見張りをして男プレイヤーは薪拾いに向かう。


トキヤ達は、お肉を調達する為に狩りに行く。


「おっ、イノブゥーだ。」


グレンが、思わず呟く。


「群れだな。これは、大量の豚肉確保できる。」


トキヤは、頷いて仲間に指示を出して追い込む。そして、全部討伐。チビイノブゥーは、見逃すのがルールなのでそれだけは追い出す。というのも、イノブゥーは魔物じゃない。リアルでいう、猪豚という品種の豚なのだ。つまり、魔物と違って繁殖率が低いし、自然破壊になるのだ。もし、チビイノブゥーを倒せば先住民からの好感度がマイナスとなる。


「よし、鶏肉を次は狙いたいなぁ。」


グレンは、ノリノリである。微笑ましく、思わず笑うトキヤ達。ちなみに、ここでテンプレである。


「ぎゃあああ、何で突進してくるぅのぉおお!」


「おい、叫ぶな!他の動物が、にげちゃうだろ?」


チビイノブゥーに、突進されお尻を押さえて逃げ回るシンラ。焦った様に、シンラを庇いながら注意するゼノ。トキヤ達は、思わず笑う。チビ〇〇と、チビのつく動物や魔物はプレイヤーには無害だ。


なので、ダメージは無いし怪我はしない。


強いて言うなら、何か衝突して来たな。ってレベルである。しかし、初心者は衝撃耐性がない。痛くなくても、混乱して逃げ回るプレイヤーも多いのだ。


更に言えば、シンラは怖がりでチビイノブゥーからしたら、格下だと思われたから攻撃されている。


「仕方ないな…。ほれ、落ち着けよ。」


グレンは、チビイノブゥーの胴体を持ち上げる。暫く、ジタバタと抵抗したが空をきる前脚を見て、ショボーンとなるチビイノブゥー。グレンは、離れた場所でチビイノブゥーを解放して戻ってくる。その後も、コッコ相手に卵争奪戦と鶏肉狩りを繰り広げる。勿論、そこにはお約束も起きるのだった。


「ぎゃあああ、いやぁああ!お尻を、突かないで!やめてぇえええ!ピヨコ軍団、衝撃がぁ!」


とっ、絶叫してピヨコ軍団から逃げ回るシンラ。ゼノも、今度は追われており大混乱。ピヨコッコは、集団で襲ってくる。ちなみに、こいつらも魔物ではない。なのでピヨコッコは、倒す事が出来ない。トキヤ達は、苦笑して捕獲作業をして逃す。卵と鶏肉をゲットし、今回は撤退するのだった。


場所は変わって、キャンプ場のキッチン。


「第一回、お料理バトル!」


ルイスは、蒼いエプロン姿でオタマ片手に言う。


ローアンは、黒いエプロン。キリアは、赤エプロン。ランコルさんは、黄色のエプロン。アレン君は、緑のエプロンを装備して全員が頷く。


「今回は、皮剥きバトル!今回は、カレーを作るのでニンジンと玉ねぎとじゃがいもとリンゴです!」


1人分のノルマを、どどんと置いてルイスは笑う。


「それは、良いがルイスは参加したら駄目だろ。」


ローアンが、苦笑する。というのも、レベルが違い過ぎるからだ。ぶっちゃけ、話にならないレベル。ランコルさんも、頷いてから言う。


「ルイス様は、審判なのですよね?」


「一応は、一緒に皮剥きしますよ。ですが、対決するのは4人です。けど、アレン君は厳しいので量を少しだけ減らしてあります。スキルも、持ってませんから当然ですが。さあ、それではスタート!」


ルイスは、F LLのオープニング曲を鼻歌で歌いながら、ルンルン気分で皮剥きしている。なお、スピードがおかしい模様。さすが、スキルレベルMAX。


ちなみに、現在1位のローアンより早く終わり、お湯を沸かす作業をしている。苦笑する、ローアン。


ルイスは、楽しそうに準備する様子を見て、まあ良いかとローアンは思い作業に集中する。周りも、微笑ましくルイスを見ている。ルイスは、カレー粉を見て悩む様に考えている。その、悩む姿も子供っぽくて微笑ましい。ルイスは、固形のカレー粉を手に取り細かく刻む。実は、カレー粉はこの世界にもあるのだ。しかし、国によって味が違う。ルイスが、手に取ったのはリアル寄りの味付けのカレー粉だ。


カレー粉を、刻むのが楽しいのか笑顔なルイス。


リルとソルも、足もとでそんな主人を見て笑う。包丁を持ってる時は、邪魔しないと約束している為に大人しく見ていたのだ。笑顔で、楽しそうなルイスを見て2匹もご機嫌である。


トキヤ達が、帰る頃にはカレーが完成!


昼御飯として、食べてから川釣りや薬草採取など、イベントフィールドを探索するのだった。


ちなみに、リルとソルはルイスが困るくらい大暴れと大冒険。ルイスは、苦笑して川で2匹を洗う。そして、2匹の悪戯によりずぶ濡れに。


「リル、ソル…やってくれましたね?」


リルとソルは、必死に犬掻きで逃げる。周りは、大笑いしてルイスは2匹の抱きしめて連行。ここで、首根っことか掴まない所に、ルイスの優しさが見えるのだった。そのあと、装備変更してリルとソルを連れて遊ぶルイス。グレン達も、勿論だが全力で遊ぶのだった。そして、夜になりカレーの残りを食べてから、いつもの冒険者装備に変更する。


「さて、いざトレハンです!」


「ちなみに、まだ行ってないのは俺達だけだな。」


マッキーは、暢気に笑いながら言う。


「何で、トレハンは夜が本番なの?」


アレンは、不思議に思ったのかルイスに言う。ルイスは、指輪を外して龍人となる。アレンは、月下に立つ龍人の姿のルイスに、思わず見惚れる。


「この手のトレハンは、簡単に見つかる場所には大した宝箱は無いのですよ。ですが、日中は隠れた宝箱が見つけにくいので、当然ですが見える宝箱しか取らない訳です。しかし、このゲームの宝箱には夜にだけ淡く光るのです。つまり、隠れた宝箱も見つけやすくなっているのですよ。それに、プレイヤーにも夜目が効く人も居ます。リルやソルも、夜目は効きますし。さて、足下に気を付けてください。」


ルイスは、そんな事にも気付かず説明する。トキヤ達は、気付いて後でフォローしようと話し合う。


「えっ、えと…ルイスって種族は何?」


「僕ですか?僕は、龍人ですよ。」


暢気に、笑って『驚きました?』と首を傾げる。アレンは、思わず無言で頷く。神秘的で、中世的な見た目のルイスは月の化身にも見えたのだ。


「もしかして、龍人も夜目が効くのか?」


「はい、そうですよ。さあ、行きましょう!」


ルイスは、岩の後ろが淡く光っているのに気付く。掘り出すと、ハテナマークの宝箱が。ルイスは、アレンに開ける様に言う。すると、今のレベルに合った装備が出て来る。デザインも、とても良い。


「えっと、これ貰ってもいいのかな?」


「むしろ、それは君専用ですよ。さあ、次です!」


こうして、土の中や岩の隙間。大樹の空洞や、仕掛け扉の中と次々に見つけて行く。そして、全員が宝箱を取るとテントに戻り。ゆっくりと、雑談したりして眠るのだった。今夜は、マッキーさんのチームから一班が見張り役。ルイスも、少しだけ雑談をして部屋着でテントで寝るのだった。リルとソルも、ルイスの隣にくっついて眠るのだった。

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