第96話  イベント前準備

さて、取り敢えずです。この受け取りBOX、パンクしているのですが。何故、こんな事に?


「あれ、トキヤさんも送ってる…。」


思わず、視線を向ければ笑うトキヤ。


「ありゃ、バレたか。それは、お前のファンやフレンド達からだな。お見舞い品?ではないが、少しでも力になりたくて送ったんだろ。貰っとけ。」


ルイスは、うーんと考える。素材倉庫は、満杯でアトリエの倉庫にも入るか微妙な感じです。皆さん、ありがたいのですが。ありがたいのですが、もっと自分の為に素材を使ってくれても良いのですよ?


「こうなったら、地下室は拡張できましたよね。管理が、少しだけ面倒ですが拡張しますか。」


「いいんじゃないか?今は、カリオストロが管理してるが、他メンツにも仕事を割り振れるしな。」


さて、受け取りBOXは何とか仕分けして、終わりました。次は、メールとチャット……うん、よし!分かりました、僕は見なてないフリをすれば良いのですね?読むのが面倒…ではなくて、読むのが大変そうなのでスルーしましょう!よし、次ですよ!


ルイスは、設定を開き葛葉になると伸びをする。


「トキヤさん、少し出掛けて来ますね。」


「おう、例の初心者達をイベント勧誘するのか?」


トキヤは、書類から視線を外して笑う。ルイスは、頷くとチャットを開きアレンと待ち合わせする。


「では、行ってきます。」


アトリエから、外に出て近くの街に行きギルドに向かう。アトリエは、場所がバレてないので、葛葉がルイスだとバレないからだ。かなり、視線を集める葛葉の姿だが仕方ない。プレイヤーに、口説かれそうになっては子狐の姿になって駆け抜ける。


「えっと、葛葉?」


アレンの声に、葛葉は脚を止めて人の姿になる。そして、笑顔で手を振りアレンに近づく。


「アレン君、イベントの予定はありますか?」


「無いけど?イベント、どうしようかな。」


街を歩きながら、暢気に話しつつ歩く。


「もし良ければ、僕達とイベントしません?」


「え?でも、葛葉のクランって…その、だよね?」


アレンは、言いづらそうに葛葉を見る。


「生産活動を、完全に停止する訳では有りませんけどそうですね。基本は、イベントと素材集めになります。という訳で、イベント参加するには初心者を勧誘しなければいけないのです。」


「うん、僕は良いけど。2人も、誘って良い?」


アレンは、パーティーメンバーを思い浮かべてから言う。葛葉は、嬉しそうに頷く。アレンも、笑い近くの喫茶店に入る。そして、チーズケーキと紅茶を葛葉は頼む。アレンは、モンブランと珈琲だ。


「葛葉は、体調とか大丈夫?」


「もう、大丈夫ですよ。」


アレンの真剣な視線に、少しだけ視線を逸らす。本当に、鋭いですよね。体調を崩してたのは、本当ですけどメンバーにさえ言ってなかったのですが。


「ふーん、大丈夫だけど本調子では無いと。」


「何で、バレるんですか!?」


素っ気なく、呟かれた言葉にルイスは驚く。


「だって、僕は葛葉の弟子だからね。」


「それ、関係あるんですか?」


葛葉は、キョトンとしている。


「1番、葛葉の近くに居たからね。」


ドヤッと、胸を張るアレンに思わず笑う葛葉。


「そう言えば、イベントって何を用意すれば良いのかな?やっぱり、ポーションは必要だよね?」


「要りません。今回は、アイテム3個しか持ち込めません。なので、錬金道具は必須ですね。残りの2つは、好きなものを持って行くと良いですよ。」


ルイスは、ケーキを食べながら言う。


「うーん、悩むなぁ…。」


「そうですね。」


必死に、思考を巡らせるアレンを微笑ましく見る葛葉。2人は、その後にイベントについて楽しく話して解散した。その後に、マッキーのクランに手土産を持ってから行く。マッキーは、驚いた表情だ。


「こんにちは、マッキーさんは居ますか?」


「ルイス、まさかお前から来てくれるとはな。」


ルイスは、手土産を渡してから笑う。


「久しぶりの外出なのですよ!うーん、伸び伸び出来て満足です。さて、イベントですが組みません?初心者は、スカウト完了しているので。」


子供のように、はしゃぐルイスに微笑む周囲。


「え?逆に、良いのかよ?」


キョトンと言い、暢気に笑うマッキー。


「はい、これは皆んなと相談済みなのでご安心ください。我々breezeは、戦闘クラン・フリューゲルに共闘依頼を出します。僕達と、楽しみませんか?」


ルイスは、ふわりと笑ってマッキーを見る。


「共闘依頼、感謝する。我ら、フリューゲルはbreezeと手を組む事を誓う。よろしくな!」


マッキーは、そう言うとメンバー達が拍手。少しだけ、これからのbreezeについて話してホームへ。


「お帰り、ルイス。大丈夫か?」


「はい、大丈夫です。いよいよですね。」


ルイスは、暢気に笑うのだった。そして、リルを抱き上げるともふもふしている。そこに、ルイスの不安さを感じるトキヤだったが。そこは、自分がフォローしようと決意するのであった。

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