第92話 マルチ推奨大規模レイド戦 霊宝防衛戦
ルイスは、ソファーで情報を探しをしている。そこで、とある情報を見つけて困惑した様に呟く。
「んー?え?これは…」
「ルイス、どうかしたのか?」
マッキーは、暢気にルイスの隣に座る。トキヤも、ソファーの後ろからルイスの開いてるウィンドを見る。そして、2人同時に驚いてから悩む仕草。
「そうか、このサーバー外国の人でも入れるしな。イベントだけは、サーバーが別れるけど。けど、サーバーを別れなく出来る設定もあるのか。」
「どうやら、失敗した奴らは報酬が減ると思い、イベントサーバーの解放をしなかったみたいだな。」
しかし、問題があります。それは、言葉が通じないことです。それに、来る人全てが良い人とは限りません。何処にも、害悪プレイヤーは居るものです。
うーん…、迷いますね。まあ、でも害悪が居るのは日本も同じなのです。取り敢えず、掲示板を立てて協力してくれそうな人を探すしか無さそうです。
「ルイス、一応だけど俺は中国語と英語とフランス語はペラペラ話せるぞ。リアル職業、外国企業との現役交渉役だしな。だから、通訳は任せろ。」
うーん、トキヤさんは何となく知ってました。前にですが、遊びに来た時パソコンが外国仕様だったので。つまり、全部英語です。マッキーさんいわく、トキヤさん大企業のエリートなのだとか。
「俺も、韓国語と英語と中国語はペラペラだ。外国に、2年くらい住んで働いていたしな。だから、少しはサポートするぜ!お兄ちゃんに、任せろ!」
マッキーも、えっへんという雰囲気で言う。ルイスは、ぱああっとした表情で2人を見る。
「ちなみに、僕はフランスから日本サーバーにログインしているよ。中小企業の社長やってまーす!英語、中国語と日本語はペラペラだよ。」
セロンは、暢気に笑いつつ言う。
「うーん、私はフランスに少し前まで留学してたわよ。だから、フランス語と英語はペラペラ。ドイツ語は、そこそこくらいかしらね。」
シャルムさん、ファッションデザイナーでしたね。なるほど、凄い人が多いですね。取り敢えず、まだ人手は欲しい所ですが……。どうしましょう?
ん?セロンさん、ウィンドとキーボード機能を出して何かしてますね。ルイスは、気になりウィンドを覗くと全て英語で書かれていて目が回る。トキヤとマッキーは、キョトンとしてウィンドを見る。
「海外掲示板か?」
「なら、俺は中国語で掲示板を作る!」
マッキーは、そう言うとウィンドとキーボード機能を出してカタカタと作業を始めた。
「そう、日本サーバーのフルオープンは、珍しいからね。きっと、彼らもサーバーチェックして無いだろうと思って。情報を流せば、人が集まるだろう?それに、今回のイベントはルイス君のだしね☆」
セロンは、ウィンクしてルイスを見る。
「んー?それは、どんな意味ですか?」
ルイスは、キョトンとしてから首を傾げる。セロンとトキヤは、マッキーを見てからニヤニヤする。そういえば、マッキーさん配信者さんでしたね。
「あー…、ごめん。実は、ルイス達とのマルチプレイやネタ要素満載の日常とかも載せたのよ。そしたらさ、海外陣営に気に入られてな。お前のファン、海外陣営にもたくさん居るんだよ。前々回の、ルイスの女装したクリスマスイベントあったやん?」
「はい、ありましたね。」
ルイスは、驚きながらも頷く。
「一回さ、サーバー落ちたじゃん?あれさ、外国人が日本サーバーに、一気にログインしたからだ。普段は、ログインしない人もログインしたから、サーバーが保たなくて落ちたらしい。ちなみに、その理由にお前の女装を、リアルで見たいからってのがあった。けど、当日は見なかったな。」
マッキーは、暢気にカタカタ文章を打ちながら苦笑して言う。ルイスは、思考停止……。
「マッキーさんが、バラしたんですか?」
「いいや、セロンとクロイツだな。流石に、俺も身内の可愛い姿を他に売るほど落ちてない。」
ルイスの言葉に、ドヤ顔で言うマッキー。
「なるほど…。僕も、見てませんね。」
「まあ、だろうな。目に映る前に、連行したし。」
トキヤは、素晴らしい笑顔で言う。マッキーも、Vサインして笑う。ルイスは、複雑そうな微妙な顔。
いったい、僕の知らない所で何をしているんですかね?まあ、トキヤさんの事です。害悪プレイヤー、それを通報したり止めたりしてるんでしょうけど。
「まあ、お前の想像通りだとだけ言っておく。」
「まだ、お前は学生だしな。トラブルは、大人の俺達に任せろ。あの、運営の問題発言の件もな。」
錬金王が、最弱と言われてから、ほとんど工房に引き籠ってるのですが。クエストやレイドも、同盟だけでやっているので守られています。受験もあるので、ログインも落ちているタイミングなのは、ある意味皮肉にも都合が良かったです。
あの子は、今回のイベントやってるのでしょうか?
無邪気な、初心者の見習い錬金術師アレン君。まだまだ、未熟ですが見守るのは楽しいものです。いけません、現実逃避したくなりました。
「ルイス、疲れてるなら寝ても良いぞ?」
グレンが、隣に座る。
「今日は、ログインが遅かったですね?」
暢気に、笑いながら紅茶を飲む。
「皆んな、お前の事を心配してて引き止められた。明らかに、前に比べてお前のモチベーション落ちてるしな。そんな中、今回のイベントだしさ。」
「まあ、これさえ終われば夏までは暇です。」
ルイスは、自分に言い聞かせるように言う。
「……だと、いいけどな。」
グレンは、ルイスを心配する様に呟いた。
事前に、運営に報告してたので、サーバーは落ちないそうです。さあ、外人さん達がログインして来ました。僕は、神楽台にずっと居るので、軍師はトキヤさんとマッキーさんにお任せです。
ちなみに、七王全員参加しています。
「これは…」
総勢760万人、勝率80%に上昇。
日本サーバーの、メンバーも通訳やら必死にしてくれています。あちらは、任せても大丈夫でしょう。
ルイスは、指輪を首から外し神楽衣装に装備変更。そして、ハッとすると一点に視線を固定する。勿論だが、ルイスをずっと見ていた人達も見る。
精霊喰らいが、現れた。
深呼吸して、ルイスは神王神楽の準備。神信仰が、多いからだ。すると、全員が武器を構えて霊宝を守る人・神楽台を守る人・前線で戦う人に別れる。
ルイスは、神託の御旗を取り出し、構えれば外人だけでなく全員が驚く。暗殺王の羅華が、神楽台に来て端っこに座る。拳王マリーヌ♡も、座って待機している。特に、ルイスと仲の良い2人でもある。
「やっぱり、お前が聖王か。まんまだな。」
「その衣装も、可愛いくていいわぁ〜ん♡」
ルイスは、困った表情で笑う。
「最近、表舞台に出てないから心配したぜ。」
羅華は、心配した様にルイスを見ている。
「本当よぉ!運営にも、私たち抗議したのよぉ?」
「ありがとうございます。取り敢えず、落ち着くまではもう一つの姿で伸び伸びします。」
ルイスは、旗を握り神楽を舞う。
「そうかよ。まあ、無理すんなよ。」
「何かあれば、連絡してちょーだい♡」
そんな声に、耳を傾けながら。霊宝を守り切った、しかし精霊喰らいは止まる事は無い。
「くそっ!ルイス!」
『やめて!もう、やめてよ!お母さん!』
シラユリは、ルイスを庇う様に目の前に現れる。
「駄目、シラユリ!」
ルイスは、悲鳴をあげる様に言う。シラユリは、泣きながら笑い振り向く。そして、恐怖を堪えてルイスに何かを伝えようと口を開く。しかし、その言葉は精霊喰らいに食べられてしまい掻き消された。
「う、嘘…。」
ルイスは、涙を思わず流してしまう。次の瞬間、味方の攻撃により精霊喰らいは倒される。
しかし、それだけでは終わらなかった。
それは、シラユリの姿をした何か。黒い喪服を、身に纏い狂った笑みを浮かべている。
クロユリの花言葉は、死と復讐。
瘴気を纏い、草花を枯らす第二の精霊喰らい。
けど、確かにルイスは聞こえた気がした。
『お願い、僕を…助けて!殺して!』
シラユリの花言葉は、純潔、無邪気、清浄、純血、高貴、甘美、自尊心、誇り、偉大、栄華。
ルイスは、目を閉じて覚悟を決める。
「ごめんなさい、君には生きてて欲しかった。」
第二の精霊喰らいは、動かない。プレイヤー達に、攻撃されているのにHPが削れないからだ。ルイスは、御旗を直すと短刀を抜く。そして、その短刀をシラユリに…突き刺した。HPが、一瞬で消えた。
クリアの文字が浮かぶが、誰も喜べない。
クリア報酬
シラユリの心
神秘の種×3
霊宝の破片×2
楽園の土
夜神の祝福帯×3
星夜の魔法石×2
原初の祈り
経験値5000
85000G
これは、もしかしてシラユリの復活素材では?原初の祈りには、汚染されて死んだ精霊の蘇生法が書かれている。ルイスは、無言でそれを見ている。素材が足りないのだ。ルイスは、唇を噛む。そして、パタンと本を閉じると装備変更。いつもの、ルイスの姿になる。そして、顔を上げれば心配そうな人々。
「ルイス、その…シラユリの件。すまん…。」
グレンが、泣きそうな表情で言う。
「安心してください。えっと、大丈夫です。今回の報酬が、シラユリの蘇生素材だったから。でも、素材が足りないのです。だから、探さなければ。」
すると、全員が驚く。これだけ、大勢のプレイヤーが集まっているのだ。きっと、素材を譲って貰えれば行ける!っと皆んなが直ぐに動き出したのだ。
しかし、2つ素材が足りずその日は断念した。
ルイスは、葛葉の姿で森に来ていた。
「葛葉、少しだけ元気ない?」
アレン君は、良く人の表情を見ている子ですね。うーん、思ったよりショックだったみたいです。
「ちょっと、クエストに失敗しまして。」
「珍しいね。」
キョトンと、アレン君は僕を見てます。
「猿も木から落ちるって、いいますよね?僕だって、失敗はするものですよ?まったく…。」
ルイスは、苦笑してから採取をアレンとするのだった。そして、アレンは仲間と去って行った。
ルイスは、薬草をしまうと一人で歩き出す。
「この姿の時、皆んな近付かない様にしているから寂しいですね。でも、本当の姿では無理ですし。」
ルイスは、悩ましげに呟くのだった。
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