第87話 ウェルカムイベント:桜咲く季節

さて、イベントが始まりました。


まずは、最先端の国リュバーンに向かいます。そして、デイリーレイドにチャレンジですね。初日は

全員でやると決めていたので。イベントデイリーレイド、八百万の神・花見盃で暴れます。


しかしながら、問題が発生しました。何と、初心者が紛れ込んでいたのです。勝利条件は、全員生存なので失敗?と思ったのですが。どうやら、花びらをあげて復活しますか?と表示されました。初心者さんは、自分の花びらを使おうとしません。使うか、撤退するかしなければレイドが出来ません。


「おい!誰だよ、初心者を連れて来た奴!責任を取って、復活させろよな!ここは、初心者には絶対に無理だって分かってただろ!早く、してくれ!」


確かに、そもそも初心者がこの街に居るのは、多少おかしな話です。誰か、連れて来たのでしょうね。


困りました、花びらは貴重品ですしね。


すると、トキヤさんが面倒そうに呟く。


「言葉は、悪いがキャリーだろうな。」


※キャリー

強い人に、引っ張って貰ってランクを上げる事。また、その場所に連れて行って貰う事。ゲームでは、禁止では有りませんが、良い風には見られません。何故なら、ランクは上がってもPSは育たないから。


※PS…プレイヤースキル


ふむ、名乗り出ませんね。仕方ない、花びらは、デイリーで集められるので使っちゃいますか。


ルイスは、使うを押すとひらひら花びらが初心者の頭に乗り、蘇生エフェクトが発動する。すると、驚く周囲のプレイヤー。勿論、彼は他人だと言いましたよ。時間が無駄なので、運営に通報したとも。すると、数人のプレイヤーがフィールドから消えましたね。ただ、初心者は残ってしまいました。


「とても、本当にキャリーは嫌なのですが。仕方ないです、助けたのは僕なので今回だけキャリーします。ただし、終わり次第に始まりの街に帰ってください。君では、通常の敵で瞬殺されます。」


すると、初心者君は必死に頷いている。


ピポーン!

称号【慈悲なる先駆者】


桜の花びら2枚が、称号報酬で貰えました。さて、やりますかね。ルイスは、初心者に聖結界をかけて隣で皆んなに回復とバフをかけている。初心者は、座り込み棒立ち状態。ルイスは、ため息をつく。


そして、何とか勝利しました。


花びら一枚、ですが桜コインはいっぱいです!やはり、おいしいイベントですね。花びら、3枚になりました。でも、取っておきますか。


後で、交換所にも行ってみましょうかね。ちなみにですが、初心者君は報酬無しだったようです。


レイドを、その後やり続け15回まで出来ました。さて、その後はフィールド外でお花見です。初心者は、強制的に移動させられました。やれやれ…。


「よっ、ルイス!キャリー、お疲れ様。」


「ええ、少しだけ疲れました。マッキーさんも、お疲れ様です。あ、そう言えば称号確認してませんでした。えっと、ふむふむ……。」


慈悲なる先駆者

FLLの冒険、最前線を駆ける者が最初に、初心者に与えた慈悲の心を称える称号。


MP・HP継続回復

経験値2倍

ゴールド3倍


継続回復は、嬉しいですね。さて、今回のために花見団子や緑茶など、和風菓子と飲み物を用意しました。シートを広げて、花見をしましょう!皆んなで協力して、花見するべく座布団や小さな机を出します。のんびり、ゴロゴロしたりする僕達。


「ルイス、俺達も混ざって良いかな?」


マッキーさんが、シートを持ちながら聞く。周りを見れば、breezeメンバー全員が頷く。


「どうぞ、隣にシートを。何か、ぽかぽかして眠くなってきました。うーん、良い天気ですね。」


小さく欠伸をして、伸びをするルイス。久々ののんびりタイムです、存分にリルとソルをモフモフ。


「ルイス様、みたらし団子を作ってみたのですが。是非、食べてみてくれませんか?」


キリアは、少しだけ恥ずかしそうに言う。


「大丈夫だ、俺も食ったけど美味かったぞ。」


バロンは、笑いながら頷く。ルイスは、リルを膝から退かしみたらし団子を受け取る。


わーい、みたらし団子ですか。


おや、団子の焦げ目は少なめで団子は柔らかめ。みたらしは、しつこ過ぎずあっさり目でとても食べやすいですね。ちなみに、僕が作ると少し焦げ目があり噛みごたえがありるようです。ちなみに、みたらしは程よい甘さでしつこさもないと聞きます。


これは、面白いですね。作る人で、味が変わるなんて。すると、リルとソルがジッと団子を見てます。


えっと、食べたいんですね。少々、待ってくださいな。串から、外してお皿に乗せてあげれば、目を輝かせて食べ始めます。ちょっ!顎がみたらしだらけですよ!あーあ、これは大事件ですね。


ルイスは、苦笑してみたらしを拭いてあげる。そして、またみたらし団子を食べて笑顔で言う。


「とても、美味しいですね。」


すると、ホッとした表情のキリアさん。


「何も考えず、花を眺めてのんびり過ごすのも良いものですね。とても、癒されます。」


ルイスは、思わず呟く。


「ルイス様、警戒は私達がします。なので、気を抜いてゆっくりしててください。」


キリアは、優しく微笑む。バロンも、頷く。


「それでは、お言葉に甘えますね。」


「ルイス様、ここ最近敬語に戻ってませんか?」


すると、ルイスはギクッと固まる。


「え、えっと…こっちが、本口調なので仕方がないのですよ!それに、気を抜いて良いんですよね?」


ルイスは、あたふたしてから、少しだけ窺うように聞けば撃沈する2人。それくらい、無防備なルイスは少し天然で可愛かった。無言で、頷く2人。


「ルイス、俺達も食料を持ってきたんだけど。と言っても、俺のはおすすめ店のプレイヤーハンドものだけど。よかったら、食べないか?」


マッキーが、桜餅の入れ物を持ちながら来る。


「勿論、食べます。おや、桜餅ですね。あんこは、こし餡ですか。ふむ、これは美味しいですね。あんこに、弱めの塩味がしますし食べやすいです。」


ルイスは、暢気に桜餅を受け取り言う。


「ルイスは、粒あん派か?」


「どちらかと言うと、粒あん派ですね。」


すると、トキヤが3色団子を持ってくる。


「NPC作だけど、美味しかったから買ってきたんだけど、ルイスは食べられるか?」


「良いんですか?美味しそうですね。わーい、いただきます。もちもちしてて、味も美味しいです。」


ルイスは、緑茶を飲みながらホッと息を吐く。すると、ホトトギスが鳴きルイスの肩に着地する。すると、嫉妬して可愛いく吠えて追い払う2匹。


「む?2匹とも、どうしました?」


すると、2匹はコテンと首を傾げる。


「ルイス、俺も大福餅を買って来た!」


グレンが、大福の箱を机に置く。


「えっ、えーと…ですね。その…、間を空けて食べますね。満腹感は、無いとはいえ餡子や餅系はたくさん食べれませんし。きついものが……。」


ルイスは、無理と言い。ゆっくり、机から視線を逸らす。しかし、皆んなが机に和菓子や和風洋菓子などを、次々に開くのを見て覚悟を決めるのだった。


「これ、食べきれますかね?一応、お残し厳禁なのですよ。うぅー、多い過ぎますぅー!」


ルイスは、思わず寝転びウダウダ言う。


「ルイスを、太らそうの会!集結!ちなみに、他同盟メンバーからの差し入れ置いておくな。」


マッキーは、満面の笑みで更に置く。


「いやいや、ゲーム世界では太らないので、是非とも自重してください!?このままだと、食べ過ぎで動けなくなっちゃいますよ!うぅ〜、減らない。」


ルイスは、どうコレを消費するか必死に考える。結局は、食べ過ぎで過食の異常をくらい、動けなくなるのだが。それは、もう少し後の話である。


次からは、一人で行動ですね。楽しみです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る