第81話 馬鹿騒ぎ学園B組年末イベント 3

グレンが、悲鳴をあげて地面を転がる。ルイスも、悲鳴は出さないが呻めきフラフラと床に座る。慌てて、コマチが駆け寄り歌で回復する。


「2人とも、大丈夫か!?」


「あー、ヤバいくらい熱い!てか、痛いや!」


グレンは、火属耐性ポーションを飲む。


「「え?」」


トモと、同時に声に出た。


「あはは…、耐性試練を僕達はしてたので。」


ルイスは、苦笑してからコマチにお礼を言い立ち上がる。そして、鞄をからポーション瓶を出す。


耐性試練?それで、何で痛覚機能を使うんだ?


「実は、耐性試練は痛覚をONにしてると、レベルアップしやすいんですよ。しかも、痛覚機能をONにすると通常は得られない、物理耐性や怯み耐性そして痛覚耐性をゲット出来るので。」


なるほど、覚えておこう。よし、蘇生が終わるな。ルイスも、火属耐性ポーションを飲んでいる。というか、俺達火耐性ポーションしか持ってない。うーん、ポーションの違いが分からない。


「えっと、いま大丈夫か?ルイス先生、質問!火耐性ポーションと火属耐性ポーションの違いって?俺達にも、簡単に分かるように説明よろしく。」


挙手して、俺が聞くとキョトンとするルイス。


「火耐性ポーションは、文字通り火だけの耐性を高めるものです。しかし、火属耐性ポーションは、火属性に関する全て。例えば、環境的や生態的な火の問題に関する耐性も、全て上げてくれるんです。」


つまり、この熱い環境で活動しやすくなると?俺達のは、火のダメージを少なくするだけか!そりゃ、不味い…。あー、皆んな困った様子だ。


「ルイス、火属耐性ポーション売ってくれ!」


「俺も!俺も!」


まあ、売るのであれば大丈夫ですかね。ルイスは、鞄から火属耐性ポーションを取り出す。


「くっ!金欠だぜ!」


「俺もー!てか、他の属耐性ポーションどうしよ。お金がないし、これは不味いんじゃね?」


別に、あげても良いのですが。これは、Live配信されてます。変な勘違いを、起こされても困りますから。なので、お金を貰っています。


「皆さん、採取スキルはお持ちですか?」


ルイスは、考えてから暢気に言う。


「レベル差は、あるけど全員が持ってる。」


「では、10レベル以下の人は?」


どうやら、居ないようですね。


「実は僕、此処にソロで良く来るのです。」


「え?」


まあ、面倒事は避けたいです。しかし、彼らの懐事情も考慮して動かなければ。よし、言いますか。


「この試練場、環境や生態も外の世界と同じ。つまりは、その環境に特化した素材も豊富なのです。」


ルイスは、笑顔で説明する。すると、何が言いたいのか分かったトモはルイスを見る。


ルイスは、素早くそこで取れる素材と採取レベル。そして、素材採取プレイヤーを嵌める罠位置。更には、素材の適正価格の表を送信する。勿論、高い物を取る為に無茶すればこれらの情報は消す予定だ。しっかり、注意も言えば皆んなが頷く。


「採取が、可能になるのはボスを倒してから。先ずは、持ってない人にもポーションを貸します。返せない分は、素材を採取して返してください。」


「ルイス君、質問です。あの、余分に採取した素材は買い取ってくれるんでしょうか?」


コマチは、おどおどしながらも言う。


「はい、勿論ですよ。しかし、採取ルールは守ってくださいね。間違うと、全員を巻き込むので。」


ルイスは、暢気な雰囲気で笑顔を向ける。赤面し、あわあわと俯くコマチ。男子から、舌打ち女子からは黄色い声がする。ルイスは、その反応に戸惑う。


「えっ、何ですか?え?ええ?」


「なあ、ルイス。コマチさん、どう思う。」


グレンは、深いため息を吐き出して言う。


「ん、清楚で可愛らしいですね。グレン、前にも言いましたよね?僕には、高嶺の花だと。」


すると、グレンはうんうんと頷き男子を見る。


「えっと、頑張れコマチ!」


なっちー(夏樹)が、苦笑してコマチに言う。


「これは、重症だな。コマチ、最大の敵はライバルではなく本人(ルイス)かもな。うん、頑張れ。」


トモは、真顔でコマチを見る。男子達も、苦笑している。女子達は、無言で何やら会話している。


「自覚が、無いようだしな…。」


グレンが、呟けば納得の声がする。仕方ないので、ルイスは強引に話を進める事にする。


「ちなみに、ボスは火妖精サラマンダーです。」


「無理矢理、話を逸らしたな。」


追撃され、あわあわと慌てふためくルイス。瑠衣であれば、有り得ない反応である。それを見ながら、本当の性格はこっちなんだと笑うクラスメイト。


「取り敢えず、ボスは1匹なんだな。なら、HP管理を怠らずフルボッコすれば良いな。ルイス、回復職の指示とHP管理よろしく!さーて、暴れるぞ!」


「まったく、仕方ありませんね。了解です!」


ルイスは、素早くウィンドを操作して全員のステータスを表示。ざっと、ステータスを流し読みで確認すると表示を弱い順にする。司令塔を、2人選び臨機応変に動く体制をざっくり作る。そして、詠唱指示を出す。初心者から、レベル30は常時回復を継続させ中級プレイヤーには回復とバフをかける。それ以外は、HPが3分の1になるまで回復禁止して、思いっきりバフをかける。特に、攻撃バフを。


3班に、別れてるので動き出す。ただし、ルイスは自分の班を見ながら、他の班の動きもこまめに確認する。そして、回復が追いつかない場合には、自分の班に指示をだして回復サポートをさせる。


今回は、パワープレイで叩き潰すのでこうなる。


ちなみに、攻撃職はガンガン行こうぜ!スタイル。ひたすらに、防御なしで全力攻撃して行く。


「ひゃほーい!」


「どっせい!」


戦闘終了し、ルイスは疲れたように息を吐きだす。すると、全員が勝利の喜びにはしゃぐ。


「そう言えば、トモ君。君、なっちーさんの事が好きでしたよね?でっ、告白とかしたんですか?」


「ふぁっ!?ちょ、ルイス!待て待て、少しだけ話そうか。と言うか、何で知ってんの!?」


すると、男子が舌打ちして女子はニヤニヤする。


「存分に、もみくちゃにされれば良いのです。」


ルイスは、お返しとばかりに笑って言う。後ろで、トモの悲鳴が聞こえたがルイスは採取に向かう。


「くそ、敵に回す相手を間違えたぜ……。」


「うん、そうだな。」


ユウユウは、笑いながら採取する。そして、素早く走り出すのだった。ルイスも、後に続いて走った。

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