第80話 馬鹿騒ぎ学園B組年末イベント 2

さて、集まった訳ですが。視線がぁ〜。やっぱり、誰か分からないですよね?性格、全く違いますし。


「ルイス、ちなみにいつもの口調で話せる?」


「……嫌です。」


ルイスは、視線を逸らしてムスッと言う。


「ルイスさん、ちょっとだけ!」


「まあ、少しだけなら。あのさ、イベントするのは良いけど。具体的に、何をするのトモ君。」


ルイスは、素っ気ない口調で言う。無口クールっぽい、その雰囲気に周りは驚きの声をあげる。そしてから、グレンを見てから再びルイスを見る。


「えっと、七賢者の属性試練だ。」


七賢者の属性試練は、15階層までのダンジョン。


1階は、腕試し。2階は、赤ダンジョン。3階は、青ダンジョン。4階は、茶色ダンジョン。5階は、黄色ダンジョン。6階は、紫ダンジョン。7階は、緑ダンジョン。8階は、黄緑ダンジョン。9階赤青ダンジョン。10階茶色黄緑ダンジョン。11階黄色紫ダンジョン。12階全色ダンジョン。13階パワーダンジョン。14階、スピードダンジョン。15階、特殊ダンジョン。隠し部屋から、ダンジョンボスに行けますけどね。そんな、感じのダンジョンです。


「あ…、あれやるの?えっと、このメンバーで?」


「ん?内容は、属性ダンジョンだろ?」


いやー、僕達も苦戦したダンジョンなのですが。取り敢えず、グレンに視線を送ると苦笑するグレン。


「うーん、厳しいと思うぞ。俺達、名も無き同盟も苦戦?うん、面倒だったし。まあ、俺も詳細は覚えてないけどさ。ルイスは、どう思うんだ?」


「さすがに、厳しいかと…。」


ルイスは、口調を戻して表情を曇らせる。すると、怒った表情をする一部のメンバー。


「俺達、ルイスさん程じゃないけど強いぞ!」


「知ってます、それが実は大きな問題なのですよ。先ずは、僕の話を聞いてください。」


すると、続きを促すトモ。


「あの試練、参加メンバーのレベルに応じて強くなります。詳しく、言うのなら。強い人と弱い人、その中間のレベルが敵のレベルになります。僕ら、高ランクは獲物。中ランクは、戦いがいのある敵。そして、その他は脅威でしかありません。」


さて、皆さんの平均は?と言う話です。見た感じ、装備からして平均は70〜75って所ですかね。


なら、初心者から30レベルは即死しますね。


「トモ!何で、ちゃんと、調べて無いんだよ!」


「……すまん。」


すると、ユウユウが思いついたのかルイスに聞く。


「なあ、師弟の腕輪は?」


「ダメです。自分達は、弱くなりますが敵はそのままで出て来ますから。一瞬で、地獄絵図ですよ。」


ユウユウの言葉に、ルイスは苦々しく言う。グレンも、思い出したのかサッと青ざめる。クラスメイトは、それを見て思わず動揺し固まってしまう。


「なるほど、思ったよりヤバいんだな。」


「ちなみに、俺らの平均は?皆んな、掲示板にレベルを書いてくれ。他に、居る情報は?」


ユウユウは、ルイスを見る。


「属性を、書けば編成しやすいかもです。それと、掲示板では無くトモ君のチャットに書き込むべきだと思います。レベルや、属性はプレイヤーの個人情報なので、様々な人が見る掲示板は危険ですよ。」


すると、ユウユウは慌てて訂正する。皆んなは、頷いている。ルイスは、平均を素早く計算して言う。


「ふむふむ、75の敵が来ますね。」


「さて、どうしようか?」


全員が、悩むような雰囲気になる。ルイスは、同盟メンバーに情報公開して良いか聞く。勿論、OKが出る。無言で、ウィンドを閉じる。ルイスは、この情報を全て彼らに教えるつもりは無い。何故なら、全てを知るのはとっても勿体ないから。


冒険をするなら、黙るべきだと判断したのだ。


「で、どうするんですか?」


ん?何故、こっちを見るんですかトモ君?


「ルイス、参謀とか出来る?」


「駄目ですよ。僕が、したら面白くないでしょ?」


ルイスは、笑うと黙って見守る。すると、ソルト(加江田君)が激怒したようにルイスに怒鳴る。


「クラスの行事なのに、参加しないのかよ!自分達は、クリアしたから関係無いってか?ジミー!」


「君は、この試練の醍醐味を壊す気かな?」


ルイスは、受け流すような雰囲気で言う。


「は?醍醐味って、何だよ!」


ルイスは、ジミーと呼ばれたので瑠衣として言う。


「この試練、色んな仕掛けやギミックがある訳だけどさ。全て、分かってたら面白くないじゃない。それとも、アイテムさえ手に入れたら良い訳?プレイヤーとして、冒険のワクワクやドキドキは必要ないと?罠に掛かるのも、失敗するのも全て含めて冒険の醍醐味だと思うよ。勿論、一緒に戦い喜びを分かち合うのもね。ねぇ、その選択は後悔しない?」


ルイスが、ふわりと笑えば全員が黙り込む。


「別に、負けたって良いよ。最初から、勝てるって確定している勝負なんて無いんだし。窮鼠猫を噛むって、言葉があるようにベテランでも雑魚に殺される事はあるんだから。もっとさ、冒険しようよ!」


ルイスは、ワクワクしたように楽しそうに笑う。グレンも、思わず笑ってから頷く。全員が、驚いてからそれぞれ考えるような表情をする。


「……これが、数ある同盟でトップを誇る名も無き同盟の盟主。やっぱり、ルイスって凄いなぁー。」


トモは、自分の考えが甘かったと痛感する。


「ごめん、言い過ぎたルイスさん。」


ソルトは、目を逸らして申し訳ない表情で言う。


「まあ、楽したい気持ちも分かりますし、全く気にして無いですよ。それより、役割どうします?」


トモは、考える様に呟く。


「うーん…。リーダーは、俺かな。指揮は、えーとだなユウユウとガバーで良いかな?他は…」


皆んなで、話し合いつつ役割を決めて行く。ルイスは、無言でそれを聞きながらメモしていく。


「あれ、俺の役割なんだったけ?」


「トモ君、グループ掲示板を立ててみました。編成メンバーだけ、閲覧出来る板ですね。そこから、忘れた場合は役割とか確認してくださいね。このスレは、僕が随時更新します。なので、情報が流される恐れがあるので、遡って読み返してください。」


全員が、頷いたりして掲示板を開いたりする。


「ルイス、助かる!通常掲示板には、書けない内容も有るからな。そして、グループ掲示板とかあったんだ……知らなかった。俺も、まだまだ甘いな。」


「そんな事、無いと思いますよ。リーダーだからって、全部が全部を背負う必要は無いんです。ここには、これから一緒に冒険する仲間が27人も居るんですから。一人一人が、やれる事をやればリーダーの負担も減ります。もう、数名は動いてますし。」


掲示板を、読みあさり情報を探す人。消耗品を、持ってない人に渡す人。武器の修理を、開始する人。皆んなが、それぞれ動き話し合いをしていた。


良いですね、この張り詰めた空気とワクワク感。


まあ、1階は腕試しです。なので、敵数も少なく弱目。しかし、これが罠だったりするんですよね。


安心した所に、2階で強い敵と戦い3階に向かう途中に罠。とても、太刀が悪いし心が荒れます。4階に行くまでに、罠があり挫けそうになります。5階に行く途中、心が折れて敗走し罠で全滅とか普通に有ります。魔の4階と、だから呼ばれるんですよ。


取り敢えず、腕試しに行く事に……。うん、あっさり勝てて気が抜けてますね。まあ、行きますか。


「ぎゃっ!」


「うわっ!」


「ぐふっ!」


上から、岩が落ちて来て数名がリタイア。素早く、蘇生されている。これ、実は落ちてくる速さとか間隔が実は違うんですよね。ルイスは、岩の真横スレスレをヒラリと回避して行く。時折り、行くふりをして岩を落とさせたり。グレンも、後に続けばすれば皆んなが真似して来る。しかし、数人はリタイアしてしまう。悩む、トモとユウユウ。


「ここ、蘇生が出来ないぞ。」


「では、バグ技を使いますか。たぶん、修正されるでしょうが。フィールドの角に、背中を着けて蘇生を発動。すると、出来ちゃうんですよね。洞窟は、歪な形をしているので無効フィールドをぴっちり作れないんですよね。細かくフィールドを、貼り付ける必要があるので時間とコストがかかりますし。」


すると、グレンまで驚く。まあ、僕はソロ攻略に行きましたからね。ソロなら、自分と同じレベルか少しだけ下かですし。集団より、楽なんですよ。ただし、リルとソルは蘇生が必要なので探しました。試練が、終わるまで離れ離れは嫌でしたし。


この、嫌がらせじみた試練に癒しが無いのは、とっても辛いですからね。モフモフは、至高です。


「なるほど、良い事を聞いた。取り敢えず、次の試練は確か赤の試練だったか?火属性で、合ってる?赤だし、属性は火しか出ないよな?よな?」


残念、火、炎の2パターンが出て来ます。それと、脅威は敵だけじゃありません。環境や、生息する生き物にも注意しないといけないんですよね。


運営さん、僕達を殺しに来てますよね?


この試練は、難易度7の超難関ダンジョンだったりします。初心者が、本来なら入れないランクなのですが。何故か、入れる設定になってますし。


はぁ…、火属耐性ポーションは必須です。


持ってる人、何人くらいでしょうか。取り敢えず、進むみたいなのでのんびり歩き始める。


ふぇーい、熱い!ね、熱風がぁ!熱っ!痛覚、切るの忘れてましたよ!OFF!OFF!OFF!ふう…、結構な人数が溶けてしまいましたね。


ここで、足止めでしょうか?

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