第75話 イブ前夜

さて、もうすぐクリスマスが来ます。売り上げランキングは、勿論ですがクリスマスイベントが来るのですよ。うーん、今回はどのくらい蘇生薬を売りましょう。なるべく、多く作れたら良いですけど。


前回は、先客20名限定で売り出したはず。


今回は、女装は勘弁して貰うとして……。お店の内装を、前回とは変えてみました。家具は勿論、フローリングや壁紙も全て変えて食器もクリスマス系に変更。前回は、落ち着きのあるゆったりした雰囲気の店内。今回は、鮮やかで華やかな雰囲気の店内。


「ルイス、今回は先客何名予定なんだ?」


マッキーは、紅茶を飲みつつ言う。


「一応、50本は出来てます。」


「素材、大丈夫か?何なら、狩に行くけど。」


狩に行くなら、頼みましょう。そろそろ、素材も少なくなってましたし。そうだ、こうしましょう。


「トキヤさん、アイテム説明欄を編集して、素材提供者のクラン名または名前を書き込むのはどうでしょうか。それなら、参加する人も増えるのでは?勿論、素材はクリスマス価格で買取しますし。」


「お、それいいな。でも、書きたくない人は書かない選択もあるって、しっかり説明しないとな。」


トキヤは、クッキーを食べつつ言う。


「マッキーさん、素材は欲しいのでお願いします。ちなみに、クラン名は書き込みますか?」


「そうだな、お願いしようかな。あ、ルイス相談なんだけど。クラン名の、書き込まれた蘇生薬を売って欲しいなぁ。記念に、飾ろうと思ってさ。」


「構いませんよ。では、そう言う事で。」


ルイスは、上機嫌で言えばトキヤは笑う。


「まって、その話だけど僕にも一枚噛ませて。名前つき、限定の蘇生薬!瓶も、デザイン変えたね。なんて言うか、華やかクリスマスなデザインだし。」


「構いませんが、その分のお金は引いて買い取り料金を渡しますよ?それで、2人とも大丈夫です?」


セロンとマッキーは、頷いて薔薇園から出て行く。


さてさて、色々とまとまってきましたね。そうだ、売り方もセットと単品の2パターンにしましょう。


「うーん、今回は少しだけ売り方を変えますか。」


「ん?どう言う事?」


2パターンの、話を説明するとOKが来る。


「そうだ、第二陣がギルドで聞いてたぞ。ウチの、スカウトは無いのかとか。クランに、入りたいがどうしたら入れるのかとか。そこは、お前がリーダーだし任せるけど。ギルドも、パンクしてたぞ。」


トキヤは、ギルドから貰った書類をドンと渡す。ルイスは、嫌そうな表情をしてピラリと一枚めくる。


「ウチのクランは、メンバーのスカウト制です。ですが、スカウトの予定はありません。いつもの、メンバーで今年も年末を締め括りますよ。」


ルイスは、苦笑すると素早く書類を閉じて、そのままゴミ箱に投げ入れる。トキヤは、思わず笑う。


「了解だ。」


そして、ルイスを見てニヤニヤして暢気に言う。


「ルイス、今年は女装しないの?」


「しませんよ!」


ルイスは、赤面して即答する。そんなやり取りを、キリアとバロンは微笑ましげに見ている。


「で、話は戻るがセット内容は?」


「HP・MPポーション一本ずつ。蘇生薬、一つの三本セットにする予定ですよ。良いですよね?」


グレンは、話が終わるタイミングでルイスに言う。


「今回のイベント、タイムアタックらしい。ポイント数で、ランキングに応じて報酬が変わるみたいだな。あと、クリスマス装備で弱体化するっぽい!」


「えっと、やらなきゃ駄目です?」


ルイスは、面倒そうに言えばグレンは言う。


「ベスト5は、☆10素材がランダムで出るチケットが貰える。勿論、蘇生薬に使われる女神の涙とかもな。敵の希少ドロップで、新素材も落ちるし。」


うん、運営さんはっちゃけましたね。うーん、素材はでも気になりますね。仕方ない、行きますか。


「では、張り切ってイベントしますかね。」


それを聞いて、トキヤとグレンは笑うのだった。

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