第70話 合流と侵入
さて、ブリーズでは珍しく黒装備のメンバー達。ルイスも、和装や聖人様装備を封印して、牧師服にコートというエクソシストの様な格好である。
全員フードを、深く被り顔を隠す。そして、街の外へ向かうのだった。門を過ぎれば、ガリレフとローアン達が待っている。隠密しながら、廃墟の民家を通り抜けて隠蔽されたエリアに侵入する。
暫く進むと、30人の盗賊が。
ルール、3分以内に全て倒せ。参戦人数、3人。
「マッキーさん、トキヤさん、グレン……」
ルイスは、パッとルールを見てから指名する。すると、無言で飛び出す3人。グレンは、暗殺者で2人は拳闘士である。あっさり、倒したが第二班が。
カウントは、止まらない。
「ちっ!」
マッキーが、小さく呻く。ルイスは、素早く出るとハンドサインで交代する。そして、薬師になるとバフをかけてる。ついでに、爆弾を投げて敵を間引く事も忘れない。3人なら、交代はOKなようだ。しかし、交代した分だけターン数が増える。
ちなみに、装備は職業設定フリーで装備変更なし。
「すまん、ルイス。敵に、呪術師が居るとは。」
「まだ、居そうですね。警戒だけは、しておきましょうか。大丈夫です、此処からは二手に分かれましょう。トキヤさん、そしてマッキーさんとローアンさん固定で、僕とグレンとガリレフさん固定。」
素早く、2つに分かれて左右の道に進む。
「副マスター、そいつが居る部屋で落ち会おう。」
「了解。」
さて、右の道はどうでしょうか?なるべく、音を立てない様に走り抜ける。ルール、2分間の間に出来るだけ敵を倒せ。これは、人数制限は無しですが。多ければ多い程、敵の人数が増えそうですね。
「ここは、僕が行くよ。ルイス君、一緒にどう?」
ガリレフは、軽い雰囲気で言う。ルイスは、少しだけ呆れた雰囲気だがせっかくなので頷く。
「では、背中を預けますね。」
「任せて☆」
そう言って、ウインクする。うん、イケメンには似合いますね。すると、セロンが小さな声で叫ぶ。
「それ、僕のキャラだから!返してっ!?」
「煩い、リーダー。」
あはは…、大丈夫ですよ。えっと、セロンさんは残念イケメンですが、ガリレフさんは完璧イケメンですから。おっと、戦闘に集中しなければ。
ルイスは、ガリレフと背中合わせになり、バフとデバフを掛けながら聖銀の戦闘ナイフを一閃。ガリレフは、楽しそうに口笛を吹くと、愉快そうに笑う。
「ひゅー、やるね。流石、大同盟の盟主様。」
「本当に、そういう所バロンさんと似てますね。」
ルイスは、少しだけムスッとして言う。そして、呆れた様な疲れた様な視線をガリレフに向ける。
「それは、褒め言葉だよ。」
「何か、苛つくなぁ……」
ルイスが、バロンに言う感覚でボソッと呟けば、驚き思わず嬉しそうに笑うガリレフ。
「いやー、可愛いね。君って、子供っぽい所を見せないじゃない?でもさ、それは信頼されているって感じで良いね。じゃあ、残りを仕留めようっ!」
「む、不覚でした。了解、サポートします!」
残り、8人に加速してナイフを振るうガリレフ。ルイスは、後ろでバフポーションを投げる。
「うん、綺麗にお掃除完了したよ。」
「では、次に行きましょうか。」
全員が、無言で頷くと走り出す。
すると、マップが使える様になる。ルイスは、素早くトキヤ達の位置を確認する。ついでに、走りながらガリレフと自分を回復する。そして、トラップを解除しながらも急ぐ。すると、物音がして止まる。
「誰だ!」
その声は、バロンの声でキリアさんが動揺する。ガリレフは、それを見て出て行こうとする。しかし、ルイスが腕を掴み止める。そして、グレンに視線を向ける。グレンは、頷くと戦闘というより時間稼ぎを始める。ルイスは、進めのハンドサイン。
「何故!」
「今の、キリアさんでは勝てません。それに、親に討たせるなんてさせません。ガリレフさん、バロンさんを殺すつもりでしょう?駄目ですよ、彼はまだ僕のクランメンバーです。つまり、僕の仲間!」
ルイスは、メンバーリストを見せて言う。ガリレフは、除名していたと思ったのか驚く。勿論、キリアや他のメンバーもだ。それに対して、ルイスは笑顔で応じる。心からの、見捨てない宣言である。
「ふふっ、見透かされてたか。そうだね、君の仲間を討つのは駄目だね。分かった、進むよ。」
ガリレフは、優しく笑うと走るペースを上げる。ルイスも、加速して横に並び走り出す。ルイスは、真剣になり指輪を握る。強いと、確信したからだ。
「そろそろ、敵とエンカウントします。全員、戦闘準備……。敵は、50人です手加減は要りません!」
「その指輪、君のお守りか何か?」
「まぁ、お守りの類なのは否定しません。」
すると、キリアが思わず笑う。そして、メンバーも一緒に笑うのでガリレフはキョトンとして、ルイスを見ながら首を傾げる。ルイスは、思わず苦笑。
イケメン効果で、目の毒なので戦闘に集中してくださいな。女性プレイヤーが、見惚れてますしね。
「じゃあ、指揮官を潰してくるよ。」
「お願いします。」
すると、驚くガリレフ。これで、驚くのは何回目だろうか。ルイスが、あっさり許可を出したからだ。
「てっきり、駄目って言われるかと思ったよ。」
「貴方やその部下は、所属的には僕の仲間では有りません。だから、僕に指揮権は無いんですよ。だから、よっぽどの事がない限りは制限しません。」
ふむ、所属的には……ね?今は、共闘戦線だし気にしなくても良いのに。いや、僕の部下が不満を抱く可能性も考慮した結果なのかな?だとすれば、彼には気を使わせてしまったよね。申し訳ないな。
「そっか、ありがとう。」
「それに、指揮官を暗殺するのは基本でしょ?」
ルイスは、ガリレフの申し訳なさを感じのか、少しだけ明るい雰囲気で笑う。ガリレフは、つられて笑いナイフを構えて言う。部下達も、笑っている。
「じゃあ、良いとこ取りさせて貰うよ。」
「どうぞ、援護は僕達に任せて存分に暴れてください。指揮官を倒したら、真っ直ぐ行って突き当たりを左に行くと広い部屋が有ります。そこで、落ち合いましょう。なるべく、最後の戦いに貴方達は温存させておきたいので。回復等は、忘れずに。」
すると、ガリレフは嬉しそうに笑うと頷く。あくまでも、ルイス君は僕達に機会を与えるつもりだと。まあ、身内から出たサビだし他人に倒されては、僕達の面目が潰れてしまう。ルイス君の事だし、最後は丸投げしてサポートしただけだと言い張りそう。
ふふっ、愉快!とても、愉快だよルイス君!
是非、これからも仲良くして行きたいな。それにはだ、このくだらない裏切り者の断罪を終わらせないとね。うん、楽しみがまた一つ増えたよ。
「ふぅー、お待たせしました。行きましょう。」
あれは、バロンと戦っていた……。
「すまん、バロンが連れ去られた。」
「君達は、休憩は大丈夫なの?」
すると、ルイスはステータスを素早く確認。
「大丈夫です。僕達は、満腹度とHPをさえ有れば動き続けられますから。MPは、移動しながら回復済みですし、いつでもサポートできますよ。」
メンバー達は、それぞれ大丈夫だとアピール。それを見て、ガリレフは頷き部下を見る。部下達は、準備万端だとばかりに見てくる。そして、トキヤ達と合流する。そして、最後の戦いに向かう。
「では、バロン救出作戦……開始!」
まずは、暗殺ギルドのメンバーが突撃。その後に、ルイス達が全力で乗り込むのだった
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