第69話 過保護な人達

うー、眠いです。ルイスは、机に突っ伏している。すると、グレンは真剣な表情でルイスに言う。


「ルイス、お前さ何をコソコソしてるんだ?」


「うーん、黙秘します。」


すると、トキヤさんが素晴らしい笑顔。


「ログアウト時間、2時半頃みたいだけど。ルイスがさ、その時間帯に居るのは珍しいじゃん?それにだ、キリアさんが熱を出して寝込んでるし。」


「予定より、早い段階で始まってしまいましたからね。時間が、無いんですよ。察してください。」


ルイスが、呻くように言えばトキヤは考える。そして、バロンが居ない事に気付く。そして、ルイスの眠そうな雰囲気。トキヤは、グレンを見る。


グレンは、心配そうにルイスを見ている。


「グレン、席を外してくれないか?」


「ん?でも……」


戸惑う雰囲気で、口ごもりルイスを見る。


「任せろ、大丈夫だから。」


トキヤは、苦笑してルイスを真剣に見る。それを見て、グレンは渋々と部屋から出て行く。


「キャラクエストか?なら、ハロウィンは、キャンセルしないとな。まっちゃんには、俺から言っておくから。ルイス、1人で解決なんてしないよな?」


「そう、思ってましたが無理です。取り敢えず、信頼の出来る人に探りを入れて貰っていますが。クランメンバーだけで、一応はやる予定です。」


ルイスは、顔を上げて真剣な雰囲気で言う。


「ならばよし。でも、まっちゃん達が引き下がるかね?知れば、ハロウィン返上で来ると思うぞ。」


「うー…、ですよね。でも、ハロウィンイベントを楽しみしてる雰囲気ですし。それを、ぶち壊すのは申し訳ないというか…。はぁ、どうしましょう?」


ルイスは、悩ましげに呟く。作戦は、大雑把ではあるが決まっている。しかし、時期が悪過ぎる。


キリアさんは、バロンさんに襲われたショックから寝込んでしまい、現在はランコルさんが看病中。お店は、2階は閉店してポーションとかのみの販売。


「……いっそうの事、皆んなに協力して貰って早く終わらせてさ。そのまま、ハロウィンイベントをすれば良いんじゃ無いか?勿論、場所によるけど加減だけは忘れずにさ。多分、街の中だろ?」


「いいえ、街の外の廃墟です。」


すると、トキヤは驚き考える様に呟く。


「へぇ…、それはそれは。とても、好都合だな。」


「しかも、マップには表記されておらず。何かしらの、結界が張り巡らさらているのは確定です。」


まぁ、隠蔽結界だと思われますが。警戒は、必要でしょうね。にしても、派閥割れって…。


「何か、遠回しに挑まれてる気分だ。」


トキヤは、不愉快そうに眉をひそめる。


「挑むと言うより、喧嘩を売られたというのが当てはまるのでは?まぁ、大切な身内を脅して傷付けた報いは、何が何でも絶対に受けさせますが。僕個人、そういうやり方は気にくわないですしね。」


ルイスは、冷たい雰囲気で笑う。そして、立ち上がり無言でドアを開ける。そして、小さくため息。


「マッキーさん達、こんばんは。」


「うん、話は聞いたぜ。取り敢えず、こんばんは。さて、勿論だけど俺達も参加OKだよな?」


マッキーは、代表して真剣に言う。


「ハロウィンイベントは?」


「うん?勿論、用事が終わったらやるぞ。」


どうやら、拒否権とか無かったようです。


「では、作戦会議を始めましょうか。」


ルイスは、困ったように笑うと微笑む保護者組。グレンも、部屋に入り状況説明をして話し合う。


「ルイス、何で彼岸花をバロンに?」


「っ!?え、あの……特に、意味は無いです。」


思わず、紅茶を吹き出しそうになり、どうにか堪える。そして、どう答えるか迷い口ごもり……。恥ずかしさから、咄嗟に嘘をつく。まぁ、バレバレなのだがその反応が可愛いくて何も言えない周囲。


「花言葉や、生態とか見ても分からんよな。」


グレンは、図鑑を開きながら呟く。


「あはは……。」


ルイスは、笑って誤魔化し逃げる様に地図に視線を向ける。すると、キリアが上がってくる。


「ルイス様、教えてください。」


「バロンさん……、バロンは、もともと副マスの部下でキリアさんを殺す様に命じられていた。けれどね、バロンにとってキリアさんは大切な存在だったから。だから、殺せなかった。けれど、副マスはバロンの可愛がる子供を人質にした。バロンは、仕方なく君を襲うしか無くなったんだ。」


ルイスは、真剣な表情で悲しそうに言う。


「なるほど、バロンは優しいから……」


「…そうだね。まあ、実際には人質は2日後には殺されていて、もう誰も生きては居ないんだけど。」


すると、その場の雰囲気が凍てつき殺伐となる。


「なるほど、珍しくやる気だと思ったら。」


ストーリーだとしても、やっぱり不愉快でしかないですね。さて、全力で頑張りますか。


「だから、バロンを助けて副マスをボコる。それが今回の、僕達の目的です。邪魔するなら、最悪はNPCでも討伐します。手加減は、勿論ですが要りません。と言うか、する必要がありません。」


『おう!』


では、準備も整いそうですしやりますか。

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