第62話 航海5日目海賊戦襲来!

さて、出航から5日目。ルイスは、暢気に海を眺めていた。すると、グレンが首を傾げて指を指す。


「あの船、海賊船じゃないか?」


ルイスは、驚いてから船を観察する。そして、頷いてから信号銃を撃つ。周りも、気付いていると思うが念の為に。すると、マッキーが走って来る。そして、深いため息を吐き出すと呻く。


「幽霊船の次は、海賊船かよ!戦闘準備だ!」


ルイスは、周りを見渡してから言う。


「あれは、囮みたいです。本命は、包囲するように迫ってくる、漁船と見せかけた小船。ざっと、30はありますかね?さてさて、どうします?」


「他に、情報は?」


マッキーが、真剣に言う。ルイスは、考えてから。海域地図を指差し、魔石を敵駒がわりに置いて状況を見せる。そして、ドレイクを見ながら言う。


「小船に、追いつかれたら終わりです。速度をあげて、海の流れを利用しましょう。小船では、パワーが足りずに流される流域があります。無理すれば、命に関わるので、きっとあのでかい海賊船で来るはずです。ですが、やはり出遅れますよね?なので、そのうちに流れに乗って距離を離せればと。」


すると、話を聞いていたドレイクはニヤッと笑う。マッキーも、真剣に海域地図を見て頷く。ドレイクは、自信満々に部下にテキパキと指示を出す


「任せな、この海は私の庭だよ?あんな、見ない海賊船なんて振り切ってやるさ。あんた達、準備しなぁ!今から、逆流突破するよ!位置につきな!」


『おう!』


それを見て、笑うプレイヤー達。


ルイスは、真剣な表情で地図を広げる。そして、考える仕草をすると、海域地図と包囲磁石を横目で見る。そして、敵船の位置を望遠鏡で確認する。


「うーん、どうしましょうかね。」


ルイスは、小さく呟く。此方の進路を、妨害するような動きに、ため息を吐き出しながら。


「どうやら、行かせたくないみたいだな。」


「……そうですね。」


海賊船は、大砲を用意している。ルイスは、驚く。確かに、大砲を撃ってくるとは思ったが、それは逆流突破の時だと予想していたから。


「まさか、味方を巻き添えに!?」


ルイスは、小船を見ると慌てふためき驚く海賊達。やはり、予定には無かったようだ。


「取り敢えず、結界系スキルで防いでください。」


流れ弾で、小船が数を減らす中ドレイクの船は、逆流地点へ近づいて行く。そして、逆流突破!


「何か、執着を感じますね。」


いまだに、諦めを感じず向かって来る海賊船。


「あー、ちょっと良いかい?多分アレ、私が振った男からの嫌がらせかもしれない。」


まあ、姉御肌で出るところは出て、引っ込む所は引っ込んでるボンキュッボンなドレイク。しかも、美しい容姿も相まって求愛する男も多そうだ。


ルイスは、苦笑してから小さく。


「ドレイクさん、綺麗ですし大変ですね。」


「そっ……そうかい?」


少しだけ、驚いてドレイクの声が裏返る。


「うん、さらっと殺し文句を……天然?天然か?」


「まっちゃん、それよりもだ。どうする?」


トキヤは、冷静にルイスとマッキーを見る。マッキーは、考える仕草をしてマップを見る。そして、真剣に悩む仕草をする。小船も、突破して来た。


すると、ルイスが小さく笑う。


そして、敵の海賊船を見る。そして、手すりへ向かい身を乗り出して船下を見る。そして、暫し考える様に周りを観察。小船が、先頭になり三隻向かって来る。ルイスは、マップを開いて地形把握を発動させる。海を見渡し、頷くと考えをまとめる。


「ルイス?」


落ちない様に、素早く首根っこを引っ張り、キョトンと聞くグレン。ルイスは、ドレイクに質問する。


「ドレイクさん、近くに浅瀬はありますか?」


「あるけど、危険だよ?」


マップを、指差して教えるドレイク。


「あの船、武装艦を改造した海賊船です。つまり、重い訳ですよ。しかし、此方は商船です。しかも、帰り道だから重荷はありませんしね。」


「いや、危険だ!」


マッキーは、真剣に言う。


「マッキーさん、勘違いしてません?浅瀬に、用はありませんよ。僕が、行きたいのはここから173キロ地点にある岩礁地帯ですからね。」


「座礁を狙うのか?でも、危険だろ?」


トキヤは、悩む様な雰囲気だ。


「えーと、此処から92キロ地点にある岩礁は、この船では危険らしいので迂回します。勿論、相手にも気付かれるので相手も迂回するでしょう。173キロ地点から、岩礁が少しだけ低くなっているそうなので、そのまま流れに乗って進みます。小船が、通過を出来るので、海賊船もついて来るはず。そして、乗り物って急には止まれないですし……ね?」


すると、沈黙する船上。ルイスは、意見を待つ。


「小船は、どうする?」


「水面射撃で、威嚇。まだ、来る様であればマストを狙い撃ちして警告。更に、来るならば船の柱に攻撃。それでも、やめないな仕方ないですが全力攻撃で、船の横腹に風穴を開けて戦滅しましょう。」


全員が、頷いて素早く動き出す。やはり、岩礁で座礁して止まる海賊船。小船も、全力攻撃で全滅。


ルイスは、ため息を吐き出しペタンと座る。


「何か、疲れました。目が回りそうです……」


「ルイス、お疲れ。」


こうして、全員が持ち場に戻るのであった。


ちなみに、船上には小さなナイフ(※おもちゃ)を咥えて、走り回る2匹に癒されたとか何とか。


なお、彼らのナイフはルイスが回収しました。


「さてさて、航海路の軌道修正と最短距離での目的地到着を考えなければ。ドレイクさん、話し合いに付き合ってくれませんか?大事なので。」


ドレイクは、頷くと移動するのだった。

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