第24話 協力依頼
さて、現在の最前戦は隣国である獣王国イルマ。僕達は、イルマの隠しフィールドの1つ〔隠れ草原コルパ〕を探しています。ちなみに、まだ発見されておらず自力で探す所からスタートですね。
レンジは、暢気な口調でルイスを見て言う。
「うーん、どうする?」
「そうですね………。取り敢えず、何処かのお店でお茶をしながらいろいろ話しましょうか。」
街を歩きながら、周りを見渡して笑うルイス。ソルとリルは、幼獣化してルイスの足下を歩いている。
ちなみに、幼獣化すると大きな荷物は小さなリュックになる。二匹は、背中にお揃いのリュックを背負いる。そして、街にも使い魔やパートナーの魔物等がいる為にファンタジーな風景である。
すると、トキヤが頷いてから提案する。
「なら、まっちゃんが俺に教えてくれたカフェに行こう。確か、近くにあったはずだから。」
「そうですね。そろそろ、満腹度が不安ですし行きましょうか。ちょっと、楽しみですね。」
と言うのも、ルイスは自作の料理しか食べた事がない。なので、笑顔でトキヤの提案にのる。
「まぁ、期待はしない方が良いと思う。」
グレンは、苦笑して言えばトキヤとレンジは頷く。ルイスは、気づいていない。自分の料理が、どれ程までに美味しく効果が良いのか………。
知らぬのは、本人だけだと3人は言えない。
「ん?」
ルイスは、キョトンとして首を傾げる。
「あ、ここだ。」
「おお……、おしゃれなお店ですね。」
さて、お店に入ると凄く注目されます。
「い、いらっしゃいませ……?」
うーん、迷惑だったでしょうか?
「すみません、なるべく早く出ていきますから。」
「あ、いえいえ!ゆっくりしていってください。」
さて、椅子に座ってから暢気に言う。
「会話指定を、パーティーにしますね。」
「おう、そうした方が良いな。」
会話設定で、一部の人にしか声が聞こえない設定に出来るんですよ。取り敢えず、指定をパーティーにして互いに確認します。よし、大丈夫ですね。
「それで、どうやって探すんだ?」
「こういうのは、基本はチェーンクエストとかギルドの依頼の延長とかで行けたりするんですよね。それか、隠しクエストとかその手の事ですね。」
ルイスは、暢気に笑いながら言う。
「取り敢えず、俺とレンジは討伐依頼を受ける。」
トキヤは、考えるように呟く。
「僕は、協力者を探しますね。ついでに、情報集めも出来たらやってみます。グレン、手伝ってくださいね。僕だけでは、判断が出来ないですし。」
「了解だ。」
「よろしく♪」
ルイスの言葉に、グレンは頷いてレンジは笑う。
さて、注文したケーキが来ました。わーい、美味しそうです。リアルだと、すぐにお腹一杯になるので嬉しいです。ゲーム世界では、リアルの空腹感を忘れないように満腹に感じないようになっています。
お店を出て、トキヤさん達と別れます。さて、まずは協力者を探さなければ。マッキーさんが、ホームをこっちに移したらしいので、挨拶ついでにお願いしてみましょう。確か、ホームはこっちでした。
「ルイス、何処に向かっているんだ?」
「マッキーさんの、新しいホームです。」
すると、グレンは理解したように頷く。さて、到着しました。と言うわけで、お邪魔しまーす。
「ん?何だ、てめぇ……ここが誰のホームか……」
言葉を、続けようとして仲間に殴られる少年。
「る、ルイスさん!こいつは、気にしないでくださいね!新人なんで!それより、珍しいですね。貴方が、ホームを離れるだなんて。リーダーは、もう少ししたら帰って来ますので少々お待ちください。」
「あー、突然に訪問してすみません。そうですか、なら待たせて貰っても?それと、これは新しいホームを買ったと聞いたのでお祝いにどうぞ。」
そう言って、ケーキを青年に渡す。
「わざわざ、ありがとうございます!わーい、ルイスさんのケーキだぁ~♪とても、嬉しいです。」
青年………カイネさんは、嬉しそうな雰囲気で言う。ルイスは、それを見て思わず優しい微笑みを浮かべる。少しだけ、喜んで貰えて嬉しかったのだ。
「おわっ!?ルイス?えっと、何で此処に?」
「新しいホームを、買ったと自慢していたので遊びに来ました。それと、協力依頼ですかね。」
すると、マッキーはニヤッと思わず笑ってしまう。
「ふーん、お前が重たい腰を上げて動く案件か。」
「僕のクランは、メンバー不足ですからね。まさか、キリアさん達は連れて行けないですし。」
ルイスは、困ったように笑う。
「そこまでして、欲しい素材なのか?」
そう言いつつ、ルイスを見て冗談を言うのをやめた。ルイスが、本題を避けた発言をしたからだ。勿論、嘘はついてないので親しい仲じゃないと気づかない。どうやら、大きな案件らしいと予想して。
マッキーは、ため息をついてから周りを見る。ここには、多くのメンバーがまだ残っている。
「はい、僕のクランを守るために必要な素材を集めています。そして、マッキーさんにも損はありません。なので、場所を移して話をしませんか?」
僕のクラン……か?なら、NPCがらみだな。でも、俺達にも損はないって言ってた。俺達のクランには、NPCなんて居ない。さて、何を考えてる?
「うーん、副リーダーと参謀を同行させても良いかな?俺だけで、判断するのは難しいし。」
「構いません。」
ルイスは、即答してから静かな雰囲気で笑う。
マッキーは、ルイスが即答した事で警戒をやめた。ルイスが、即答をするって事は急ぎ案件で、尚且つ運命を左右する重大な話だと予想したからだ。
そして、場所を移して会議室。ルイスは、お茶を飲んでから真剣な雰囲気で話を切り出す。
「少し前に、蘇生薬のレシピが解放されたのはご存知ですか?と言っても、150レベル以下の錬金術師または錬金スキル持ちは読めない設定になっていますが。取り敢えず、解放された件です。」
「勿論、知ってるぜ。俺達も、蘇生薬は喉から手が出るほど欲しい消費アイテムだからな。」
マッキーは、驚いてからキョトンとする。そして、暫くして察したようにニヤニヤしてしまう。
「ちなみに、解放者は僕です。」
「お前、本当に最高だな。数あるクランで、俺達に声を掛けるだなんて。凄く、嬉しいぜ。」
ルイスは、ニコッと笑ってから言う。
「僕達は、クランは違えど仲間です。そして、同盟の相手としての信頼と実力も有ります。ならば、頼らない手は無いとは思いませんか?それに、協力すれば蘇生薬が完成した時に、優先して売ると約束もします。そして、今回の素材は武器の素材としても有能です。勿論、強化・補助素材にも使えます。」
どうでしょう?と、ルイスはマッキー達を見てから首を傾げる。マッキーは、満面の笑顔である。副リーダーのアオイもワクワクしている様子。参謀も、真剣に考えてるが嬉しそうなのは隠せていない。
「それだと、私達が得をし過ぎになります。」
「なら、情報集めを手伝ってください。」
すると、参謀のタナはキョトンとしている。
「どうやら、その素材は未発見土地に有るようなのです。と言う事は、大きなボス戦が待ち受けているはず。ちなみに、素材はユニコーンの角です。」
すると、ガッツポーズをするマッキー。
「それ、英雄級武器(エピックウエポン)の素材だ!」
なるほど、さすが蘇生薬の素材ですね。
ルイスは、少しだけ考えてから暢気に言う。
「ドロップは、個人で持ち帰って良いです。ただ、協力してくれれば良いのですが。どうです?」
3人は、頷いて手を伸ばすそして握手をした。
「これは、予想以上に美味しい案件だった♪」
マッキーは、嬉しそうな表情で笑う。
「是非、これからもよろしくお願いいたします。」
「先ずは、情報を集める必要がありますね。」
アオイとタナは、笑顔でワクワクしたように言う。さて、どうにかなりましたね。良かったです。
「それと、まだ私達が得になりすぎるのですが。」
「あ、言い忘れてましたね。実は、蘇生薬の素材は全部で5個です。つまり、分かりますよね。」
すると、3人は納得してから笑う。
「また、声を掛けてくれるんだな?」
「勿論です。この案件は、同盟メンバーで動きたいですから。あ、それとですが。メンバーには、武器の素材集めを理由にしてください。僕がナイフを使うのは、彼らも知ってますし納得するはずです。」
すると、キョトンとするマッキー。
「まぁ、良いけど何で?」
「暫くは、独占したいので。これは、発見者の特権ですよ。勿論、ルール違反でも無いですし。勿論、2週間くらいで情報は公開しますけどね。」
すると、マッキーは了解と言って頷いた。
「他の同盟メンバーにも、話をしてくれませんか?僕は、このまま街を歩きながら情報を集めます。」
「了解。そうだ、ルイスはどれくらい此処に居る予定なんだ?お店は、お手伝いNPCがしてるだろ?」
ルイスは、軽い雰囲気で笑い言う。
「僕が、納得の出来る結果を得られるまで。」
マッキーは、驚いてから優しく笑って言う。
「なるほど、なんともお前らしい返答だな。」
「と、言いますと?」
ルイス、どう言う事だと首を傾げる。
「流石、鬼才の名匠だと思っただけ。」
ルイスは、キョトンとして困った表情をする。
「はい?えっと、意味が分かりませんよ。」
マッキーは、笑って気にするなと言う。ルイスは、何とか頷いて外に向かって歩き出した。
さて、何処から歩きましょう?
近くに、戦闘フィールドが有るので行きますか。
「おい、そんなものかよ!」
「だっ………から………、無理で……ぐあっ!」
ルイスは、初心者らしいプレイヤーを、ボコボコにしているプレイヤーを不愉快そうに見る。
「そろそろ、やめてくれませんか?」
すると、全員が驚いてルイスを見ている。
「何だ、俺とやろうってか?」
「いいえ、ただ初心者を虐めるのは許せません。」
すると、男はキョトンとして勢いよく少年を見る。
「お前さん、初心者だったのかよ!?」
「あー、そういう事ですか。シークレット種族に会えて、気持ちが高ぶり相手を良くも見ずにボコボコしたと?その、種族の特徴も知らずに一方的に。」
ルイスの冷たい声に、男はビクッとして震える。
「あのですね、リンクは最強種族と言われてますが最初は最弱種族なのですよ。リンクは、経験値を人の5倍以上も必要とするので成長も遅いんです。」
「ごめん、知らなかったんだ!」
男は、少年に必死に謝っている。
「だいたい、動きを見れば初心者だって分かるはずですが?スキルを使う度に、動きを止めるのはスキル慣れしてない初心者の特徴ですよ。まったく、少年……大丈夫ですか?【回復ヒール】!」
ルイスは、回復魔法をかけて少年を心配そうに見ている。少年は、ボロボロと泣いていた。
「君は、寄生してこの街に来たんですか?」
「はい。草炎の火花って、クランのバビさんにレベル上げを手伝って貰っていたのですが……。その、仲間の皆さんが怒ってバビさんもこの国に行くことになったんです。それで、放って置けないからって寄生して来ました。でも、敵が強すぎて……。死に戻りしたら、この男の人に絡まれてしまって。」
ルイスは、深いため息を吐き出して言う。
「随分、草炎の火花は無責任なんですね。初心者を、激戦フィールドに連れて行くなんて。まるで、嫌がらせをしているみたいで気にくわないです。」
「………僕が、弱いから。」
すると、ルイスは深いため息を吐き出す。
「君、所属と名前は?」
「所属は、無所属でアベルと言います。」
ルイスは、ウィンドウを操作して勧誘を送る。
「え?その……、良いんですか?」
「今の君は、危なっかしいと言うより危ないです。だから、君に変わる切っ掛けを与えます。勿論、断っても構いません。ですが、危険な状態で困っているならば、僕は見捨てず手を差しのべますよ。」
ルイスは、優しく笑うとグレンを見る。
「うちは、戦闘クランじゃない。だが、弱い訳でもないからな。まぁ、俺は良いと思うぜ。入れば、メンバーからいろいろと学べるだろうしな。」
「お、お願いいたします。」
クランに、新しいメンバーが追加されました。
ルイスは、ウィンドウを閉じてから言う。
「ようこそ、僕達のクランbreezeへ。初心者である君を、心から歓迎します。頑張って、強くなって馬鹿にした奴らを見返してやりましょう!」
「はい!」
「とはいえ、今の君にはこの街はまだ早いです。なので、始まりの街に行って貰います。お金は、僕が出すので大丈夫ですよ。そして、breezeのお店の仕事でもして待っててください。僕も、用事が終わったら帰るので。それと、良い事を教えてあげますね。リンクですが、同じシークレット種族とパワーレベリングすると通常より早くレベルが上がる裏設定が有ります。これは、運営の公式が発表した事です。なので、慌てず今は耐えてください。」
すると、少年は更にぼろぼろと泣いてしまう。
「あ、ありがどうございまず………」
「さて、話は終わりですね。」
すると、男はルイスを見てから言う。
「待ってくれ。」
「何でしょう?」
ルイスは、暢気に男を見る。
「龍人ルイス、俺と戦え!」
「嫌です。」
すると、襲いかかる男の人。ルイスの後ろには、アベルが居るので回避は出来ない。ルイスは、ため息を吐き出すと3歩前に出て軽く身体を右にずらす。そして、真横に男が来たタイミングに合わせて蹴りを入れる。吹き飛ぶ男と、間近でルイスの戦闘を見れて喜ぶプレイヤー達。ルイスは、暢気に言う。
「貴方は、アベル君を巻き込むつもりですか?少しは、周りを見て行動してください。良いですね?」
「ぐぉ……、すまんアベルだっけ?巻き込んで…」
ルイスは、疲れた表情をしてアベルを見る。
「取り敢えず、場所を移しましょうか。」
アベルは、頷いてルイスの後ろを追いかけた。
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