第25話 手がかり

さて、場所を移動してバトルフィールドの休憩室。やはり、その場の人達は驚いている。ルイスは、暢気に笑って座る。グレンも、隣に座る。


そうだ、アベル君に聞いてみるのも面白いですね。


「アベル君、この国で難しいクエストを知らないですか?クエストの種類は、関係なしで大丈夫です。何となくの、ただの興味本意で聞いてます。」


「えっと、チェインクエストなら【クラフト爺さんの頼み】でギルドの依頼では【古い遺跡の探索】。そして、隠しクエスト【カートス門の罠】が難しいらしくクリア者も居ないようですよ。」


ルイスは、驚いてから嬉しそうに笑う。そして、トレードのボタンを押してお金をアベルに渡す。


「え、お金なんて貰えませんよ!?」


「このゲームでは、情報はただでは無いんです。それに、僕にとっては有難い情報ですからね。ですから、貰えるお金は貰っておいた方がいいですよ。」


ルイスは、暢気に笑う。グレンも、笑顔でアベルを見て頷く。


「アベル君、メインジョブは何ですか?」


「魔術師です。でも、その………」


ルイスは、無言でメンバーの一覧を開くとアベルのステータスを確認する。そして、驚いてから呟く。


「これはまた………、地雷ですね?」


すると、落ち込むアベル。ルイスは、深呼吸する。稀少な、無属性魔法が属性でサブが錬金術師。うーん、これではまともな戦いは不可能では?


「仕方ない、巻き込んじゃいますか。」


「でも、大丈夫なのか?」


グレンは、心配そうにルイスを見る。ルイスは、暢気に笑ってサムズアップする。グレンも、思わず笑う。そして、落ち着いた堂々とした雰囲気になる。


「まぁ、クエストのレベル次第ですが。」


「なら、トキヤさん達に連絡してくる。」


グレンは、そう言うと休憩室を出て行ってしまう。ルイスは、アベルを見てから満面の笑顔で言う。


「予定変更です。アベル君、君はスリルのある戦闘は好きですか?それとも、嫌いですか?」


「えっと、嫌いじゃないです。」


すると、ルイスはニヤニヤしてから言う。


「じゃあ、僕達とクエストに行きましょう。」


「なっ!?む、無理ですよぉー!」


周りも、何を言っているんだと困惑している。


「大丈夫ですよ。ついでに、レベルも上げちゃいましょう。僕も、本気で参加しますし。なにより、僕達だけでクエストをする訳では無いので。」


ルイスは、お茶のセットを出している。勿論、お茶菓子も出して準備している。周りは、興味深くルイス達を見ている。アベルは、キョトンとしている。


「そんな、皆さんに迷惑をかけちゃいます!」


アベルは、我に帰り慌てたように言う。ルイスは、思わず笑ってから暢気な口調で言う。


「アベル君、参加したくないですか?」


「それは……、興味は有ります。だって、タッグバトルコロシアムで2位だった方の戦闘を間近で見れるんですから。でも、僕は……僕は……」


ルイスは、ノホホーンとした雰囲気で言う。


「大丈夫ですよ。草炎の火花のように、君を一人で戦わせるなんてしませんから。このクエストは、本来なら君には早すぎます。でも、レベル差が開いていてクエストをクリアすると、君にも嬉しい事が起こるんです。君には、少しでも早く強くなって欲しい。本当は、してはいけない事ですがね♪」


「大丈夫、失敗しても俺達がカバーするさ。」


グレンは、椅子に座りながら笑う。暫く、お茶をしているとトキヤとレンジが入って来て座る。


「あ、お疲れ様です。」


「おう、話はグレンから聞いているぜ。よろしく。それで、ルイス………本当に、連れて行くのか?」


「レンジ、ルイスにも考えが有るんだろ。」


ルイスは、調べた情報を思い返しながら言う。


「彼のレベルは、現在10レベルです。もし、30レベルに出来れば即戦力になります。魔術師としては、問題がありますが錬金術師としてなら………」


「お前、弟子を取るのか?」


ルイスは、首を横に振り暢気に言う。


「僕は、弟子は取りません。ですが、右も左も分からない彼を放置する事は出来ません。なので、僕が教えるのは初歩から基本までの内容です。」


周りも、驚きながら聞き耳を立てている。


「いや、それだけでも充分ヤバいから。」


トキヤは、思わず突っ込む。


「そうですか?別に、ポーションの作り方を教える訳ではありませんし。基本ですから、傷薬とかの効果の低い初歩の物しか教えないですよ?」


「………あのな、錬金術の技術は不明点が多い。ルイス、錬金術師として名高いお前が初歩から基本を教える。それは、他の錬金術師にとって羨ましい事だぞ。何せ、初歩や基本を知らずにポーションを作る奴も居るくらいだからな。」


トキヤは、少しだけ呆れた雰囲気で暢気に言う。ルイスは、紅茶を飲んでからニコニコとして言う。


「不明点が多いのは、何も錬金術師だけじゃないですよ?でも、そうですね……もし、教えてみて僕のお眼鏡に適う人物なら、弟子も考えときますか。」


すると、その場の全員が驚いてルイスを見ている。ルイスは、楽しそうに紅茶を飲んでいる。


「あー、アベル。これは、大きなチャンスだ。数少ない、錬金術のトップの弟子になれるな。だから、ルイスのお眼鏡に適うように頑張れ。」


レンジは、はっちゃけた雰囲気でサムズアップ。


「お前なぁ………、本当に爆弾発言はやめろ!」


トキヤは、ルイスに怒鳴るがどこ吹く風のルイス。グレンは、いつもの雰囲気だなぁーと笑う。


「とっきー、こいつに何を言っても無駄だぞ。」


マッキーは、後ろで疲れたように言う。


「まっちゃん、諦めるなよ!」


「それより、本題に戻った方が良いだろ。」


トキヤの言葉に、苦笑してから座るマッキー。


「それで、ルイス……聞かせてくれ。」


「まず、クリアされてない難しいクエスト3つをクリアします。おそらく、それらのクエストは何か別の何かを含んでいる気がします。直感ですが。」


すると、トキヤは座りながら言う。


「どういう事だ?」


「うーん、違和感があるんです。チェーンクエスト、その内容が戦闘系と採取系そして生産系………。到底一人では、絶対にクリア出来ない仕組みになっている事です。古い遺跡の探索も、範囲が広くて一人では不可能。そして、カートス門の罠は時間制限のある大人数でクリアする前提の殲滅戦。小さなクランでは、潰される理不尽な感じがです。」


すると、トキヤとマッキーは真剣な表情になる。


「まぁ、例え別の案件を当てても無駄にはならないしな。確かに、言われれば違和感しかない。この手のクエストは、大抵が一人でも出来る設定になっているはずだしな。了解だ、頑張ろうか。」


「ふーん、良いんじゃねーの?」


マッキーも、楽しそうに笑って暢気に言う。


「では、決まりですね。」


「そうだ、お願いがあるんだけど………。」


マッキーは、言い辛い雰囲気でルイス達を見る。ルイスは、考えに入り込んでいたが首を傾げる。


「ん?」


「終わったら、ハロウィンイベントを手伝ってくれないか?ルイスは、料理スキル持ちだし。」


すると、トキヤとレンジはキョトンとする。


「俺は、別に構わないけど。」


「俺も~♪」


そこで、グレン含む3人はルイスを見る。マッキーも、必死な雰囲気でルイスを見ている。


ルイスは、イベント嫌いで有名だからだ。


実際は、興味がないだけで嫌いでは無いんですけどね。


ルイスは、暢気にそう思いながら軽く頷いて紅茶を飲む。4人は、嬉しそうにハイタッチする。


「あの。」


「勿論、アベルも頑張ろうな。」


マッキーは、暢気に笑いながら言う。アベルは、ルイス達の雰囲気が何となく好きになっていた。だから、そう言われれば思わず笑って頷いていた。


「じゃあ、クラフトお爺さんの頼みからですね。」


6人は、片付けて外に向かうのだった。




お爺さんは、椅子に座っている。


「何か、お困りですか?」


「それが、魔物に荷物を奪われてのぉ……。」


チェインクエスト、戦闘系……奪われた荷物を奪い返そう。ここの周辺、畑の中や空き地の魔物を倒して荷物を集めクラフトお爺さん渡そう。


「では、行ってらっしゃい。」


ルイスは、そう言うとお爺さんの隣に立つ。アベルも、座るように言って。レンジは、文句を言う。しかし、マッキーとトキヤに連れて行かれた。グレンは、ルイスを少しだけ見て気づく。


あー、なるほど。あの、お爺さん………


ルイスは、頷くとグレンも頷いて剣を抜き走り出した。ルイスは、短刀を取り出して構える。


「さて、僕は護衛をしましょうか。」


お爺さんは、驚いてから優しく笑った。


どうやら、正解だったようですね。ここで、お爺さんが傷つけば大きく減点される。おそらく、今までのプレイヤーはお爺さんを守れなかったり、怪我させたのでしょうね。聖結界で、お爺さんとアベルを守り前に出るルイス。そして、笑顔を浮かべる。


「さて、張り切って行きましょう。」


人の姿で、短刀を持ち相手の攻撃は極力回避。そして、離れ過ぎたら元の立ち位置に戻る。


「うむ、ワシを守ってくれてありがとう。実は、ここらにドリームがあるらしい。どうか、それを取ってきてくれないだろうか?本題に、お願いじゃ。」


ルイスは、ナイフを直すと言う。


「分かりました。マッキーさん、お爺さんの護衛をお願いします。トキヤさんとレンジさんは、なるべく周りの魔物の数を減らしてください。マッキーさんが、危うくなったらカバーをよろしくお願いします。おそらく、難易度が上がっているはずです。魔物のレベルが、少しだけ高くなってます。さっきよりも、おそらく襲って来ますよ。僕とグレンは、手分けしてドリームを探しましょう。グレンは、採取を持ってないので見つけたら空に向かって花火を打ち上げてください。では、急いで探しますよ!」


ドリームを探そう    0/1


『おうっ!』


グレンは、暗殺者になって素早く走り出す。ルイスも、薬師になり走り出す。そして、薬学知識のスキルでドリームを検索する。そして、それが別名だと知り、やられたと顔をしかめてしまう。


「ルイス、見つけたぞ!夢茸!」


「グレン、ナイスです!」


ルイスは、魔物を斬り倒して走り出す。


夢茸を探そう    1/1 クリア!


「次です!」


「ルイス、街のトンガさんのお手伝いだ。」


ルイスは、魔物が減ったのを見てから頷く。


「では、トンガさんのお店に急ぎましょう!」


ルイスは、走り出す。2匹も、走り出す。街の中、ルイス達が急いで走っているのを見て誰かが呟く。


きっと、失敗したんだと。


しかし、βプレイヤーとベテランの意見は違う。きっと、成功したのだと。早く終わらせて、次のクエストを少しでも進める為に走っているのだと理解している。何せ、ルイス達は落ち込んでいなかった。


それどころか、レンジやマッキーは笑っていた。グレンも、機嫌が良さそうでトキヤもニヤニヤしている。ルイスは、表情が真剣だがいつもの雰囲気は消えてはいない。アベルも、必死に走っているだけ。


「では、次です!」


こうして、あちらこちらをバタバタ移動していった。そして、計8個のチェインクエストを見事に終わらせられた。ルイスは、疲れてしまう。5人も、ぐったりしている。そして、喜びの声をあげる。


「よっし!」


「やったー♪」


ルイスは、ため息を吐き出して笑った。そして、緋石というアイテムをゲットしました。やはり、何か有るんですね。次は、古い遺跡の探索ですか。


ルイスは、真剣に考える。


「いろいろ、備える必要がありそうですね。」


「ルイス、大丈夫か?」


グレンは、手を差し伸べる。ルイスは、礼を言って立ち上がる。そして、今日はログアウトした。















作者より、読者様へ

昔、書いてた小説なので時期にズレが有ります。まだ、追いついてませんが48話くらいまで書いてたはずです。基本は、追い付くまで連続投稿になります。気まぐれ更新ですが、これからもフリー・ライフ・リベレイションをよろしくお願い致します。

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