第5話キャラクエスト

さて、ログイン!そして、真っ直ぐお店に向かう。


あらら、凄いお客様の数だね。僕は、列を無視して足早に裏口から店に入る。鍵は、持ってるしね。


2匹は、戸惑う仕草をした。僕は、可愛いと思いながら2匹を抱え、階段を登り2階へ避難させる。そして、3階へ上がりお店の制服 (βプレイヤーフレンド力作)を着て2匹の様子を見て1階に向かう。


すると、ランコルさんと目が合う。キリアさんも、遅れて気づき嬉しそうに笑っている。お客様は、驚いているけど無視をして階段の真下の部屋に入り地下へ行く。もう、商品が少ないから。


このお店は、3階建て地下2階まである。


3階は、従業員スペース。2階は、まだ開いていないけど喫茶店にしようと思っている。1階は、ポーションなどのアイテムショップ。地下1階は、商品置き場。地下2階は、山への転移陣が置かれている。


「キリアさん、商品の追加を陳列してください。」


「わかりました、マスター。」


すると、ランコルさんが考える仕草で言う。


「マスターは、敬語を無くすべきだと………」


「うっ……。いつか、言われると思ってました。」


思わず、落ち込んだ雰囲気で呟く。すると、ランコルさんは優しく笑顔で暢気に話をする。


「別に、今すぐとは言いません。ですが、貴方は私達よりも偉い。へりくだる言い方は、お店の面子にも関わります。ですから、頑張ってくださいね。」


「………うん、わかった。」


僕は、商品の補充が終わったのを見てから言う。


「じゃあ、後はお願いしま……お願いね。」


「「行ってらっしゃい、マスター。」」


2階に戻れば、2匹は『お外に行くの?』とばかりに見上げてきたので頷く。すると、嬉しそうに立ち上がる。分かりやすく、とても可愛い。勿論、SSはバッチリ撮りました。もう、永久保存ですね。


さて、今日は素材集めついでの経験積み。


2匹は、どんなスキルを持っているんだろう?ちなみに、魔物を従える職業は自分でステ振りができる。僕は違うので、2匹のステ振りは自動振り分けになる。勿論、その個体に合うステ振りなのでステータス画面に2匹のステータスは見えない。


そして、スキル選択は2匹が自分で選ぶ。


ちなみに、最初に生まれた時はこんな感じだった。



名前:リル 


種族:ムーンウルフ


レベル:Lv5


HP:30 MP:70


スキル:噛みつき・引っ掻き・水魔術・土魔術・威圧


装備:なし




名前:ソル


種族:サンウルフ


レベル:Lv5


HP:70 MP:30


スキル:噛みつき・引っ掻き・火魔術・風魔術・威圧


装備:なし


うん、さすが精霊獣………。スキルが、多いよね。そして、レベルアップした2匹がこちらになる。



名前:リル 


種族:ムーンウルフ


レベル:Lv30


HP:180 MP:420


スキル:噛みつき・引っ掻き・水魔術・土魔術・威圧・生育・異空間収納・採取・水泳・魅了・鑑定


装備:幸運の角笛 (レアドロップ)




名前:ソル


種族:サンウルフ


レベル:Lv30


HP:420 MP:180


スキル:噛みつき・引っ掻き・火魔術・風魔術・威圧・付与・異空間収納・採掘・水泳・魅了・鑑定


装備:幸運の角笛 (レアドロップ)



ふむ、見事に僕の為に取ったようなスキルばかり。


それにしても、あの川遊びはとても楽しかったのかな?2匹とも、水泳を取るくらいだし。また、遊びに連れて行こう。まだ、幼いし遊びたいよね?


今度は、海とか連れて行ってみようかな♪


どちらにせよ、まだレベル的に海には行けない。それに、2匹はまだ体も小さいしね。


あっ、異空間収納と鑑定はとてもありがたいです。しかも、それぞれ採取と採掘を取るという優しさ。


本当は、もっと自由に選んで欲しかったな。というのは、言わないでおく。2匹が、せっかく取得してくれたのだし。さて、採取はこれで良いかな。


採取途中、エンカウントしたら戦いドロップを集める。さて、採取は終わったしどうしようかな。




ランコル視点……


私は、いつも大切なものを失ってしまう。妻に始まり、仲間や子供さえも仕事や視力さえも失った。


そんな、失意の中に優しい少年は言った。


「おじいさん、大丈夫ですか?」


もう、誰からも声をかけられる事は無いと思っていた。しかし、そんな土砂降りな心を彼は晴れ渡らせてくれた。まず、私に仕事と仲間をくれた。そして、生き甲斐と役目をくれた。彼はここで働くメンバーは、自分の身内だから何があっても見捨てないと言い放った。その言葉に、本当に救われた。


彼の表情は、とても優しく落ち着いた雰囲気をいつも纏っていた。どこか、近くに居て落ち着くその雰囲気はわずか14歳とは思えなかった。


きっと、苦労して来たのだろう………。今度は、私達が彼を支えるべきではないか。キリア君も、最初は笑顔が少なかったものの………。今では、彼と笑いながら会話するくらい良く笑うようになった。


彼は……マスターは、私達の居場所をくれた。


期待を裏切らず、精一杯に頑張ろうと思った。マスターは、今日も相変わらず優しく笑っている。


私は、この平和な雰囲気がとても大好きだ。


だから、覚悟を決めて立ち向かわなければ………。


クエスト:元教皇の悲しみ2(※開始)


内容:ランコルを狙う、敵を全て討伐せよ!



キリア視点


俺は、スラム街の出身で暗殺者だった。生きるために、多くの命を奪ってきた。しかし、厄介な事に俺は薬無効体質という欠点を持っていた。


奴等には、都合が良かったんだろうが………。


俺は、偽の仕事を与えられ裏切られた。


しかし、偽の仕事だと気付いた同じスラム街出身の友が駆けつけてくれた。だが、傷が深すぎた。俺が虫の息だと気付いた友は、泣きながらポーションの空き瓶を投げ捨てた。そして、悲しそうな苦しそうな表情でその場を去っていく。


ああ……、もう助からないなと意識を手放した。


目を覚ませば、柔らかい枕に新品同様の布団。一瞬だけ、ここは天国か?とか、思ったりしたが人を殺しすぎた俺が天国に行けるはずがないと思い直す。


では、ここは何処なのか………?思わず呟けば、優しく暖かい声が聞こえたので振り向く。


「あっ、起きました?」


その人は、子狼2匹と遊んでいた。黒髪で、優しい目をした少年は落ち着いた雰囲気で笑っている。


少年に、店で働かないかと言われた。


しかし、俺が生きているのがバレたら彼を巻き込んでしまう。でも、不思議と嬉しいと思った。


ここは、居心地がとても良い。でも、この少年は巻き込みたくない。自然に、悲しくなっていた。どうしたら、少年を巻き込まずここに居れるだろうか?っと、馬鹿な事を考えるくらいに………。


彼は、無理強いはしないと言った。


そして、2匹を置いて出掛けてしまう。俺は、今のうちにこの場を去るか悩んでいた。


彼は、暫くして薄汚い老人を連れて帰ってきた。


老人は、綺麗にすると誰か正体が分かった。元教皇様、ランコル・ディール ・サノマンその人だ。


きっと、薬が効かない俺がここで働きやすいようにスカウトしたのだ。嬉しくて、思わず涙が頬をつたう。この人なら、忠誠を誓っても良いと思った。


仕事は、とても面白いし皆が優しい。


とても、充実していた。しかし、そんなある日友が俺に接触してきた。けど、俺は決めていた。


「俺のマスターは、ルイス様だ。もう、暗殺者ギルドには戻らない。もう、信用が出来ないからな。」


「そっか………よし、決めた!マスターさんと、少しだけお話ししてくる。俺のダチを任せるに値するか試させて貰おうかな♪じゃあ、またな!」


「ちょっ!? おい、待て!」


俺は、慌てた。どうする、マスターに迷惑をかけてしまう………。取り敢えず、ランコルさんに相談!


急いで、お店へ向かって走り出した。


クエスト:

その意思は、強く揺るがず真っ直ぐに(※開始)


内容:バロンを、どうにかしよう。選択自由。



何をしようか、悩んでいたけど思い返す。2階の喫茶店を早く開店させたいなと。という訳で、いったんお店に戻って2階の準備しよう!そう思い、2匹を抱えて街の中をゆっくり歩き出した。

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