第4話出会い
さて、レベル上げと言うわけで……。初心者が、チラホラ居るナルコ草原へ。さて、2匹は走り回り手当たり次第にホーンラビットとレッドボアを討伐。
これは、余裕そうだね。なら、森に移動するかな。
「あの!その、どうやってこの2匹をテイムしましたか?その、教えてください!」
えっと、初心者さんかな?
このゲームでは、有力情報は金である。なので、情報を知らない人から聞くときには、ほとんどお金が必要になる。勿論、親切心で教えたりする人も居るけれど。余り、そんな人は少ないと思う。
「ごめんなさい、秘密です。知りたければ、掲示板を見るか情報屋さんに聞いてみると良いですよ。」
さすがに、秘密だけどアドバイスをしておく。
「何でですか!別に、教えたって良いじゃないですか!それとも、情報の独占ですか!」
すると、周りの数人が呆れた表情をしている。そもそも、掲示板に書かれてる時点で独占じゃない。それに、チュートリアルでも教えてくれる内容。
うーん、やっぱり面倒だね。
「仕方ない、ソル・リル!場所を移動するよ。」
「待ってください!逃げるんですか!」
僕は、深いため息を吐き出して少年に言う。
「君は、初心者だよね。なら、ギルドに行って聞いてごらん。同業者に、情報を聞いても何で答えないのか。まぁ、チュートリアルで説明されているはずなんだけど。もしかして、とばしたのかな?」
そこで、周りは僕が初心者でない事に気づく。そして、少年は顔を真っ赤にしてその場を去った。
僕は、2匹の倒した魔物のドロップを回収する。けれど、どこか数が少ない……。ここには、ルートモンスターは居ないからプレイヤーが盗んだのかも。まったく、ルートが初心者のフィールドに居るってかなり辛いと思うんだけど………。これは、通報案件。
※ルートモンスター……落ちているアイテムを拾う敵
※ルート……アイテムを拾って歩き盗む行為。
このゲームでは、ルートは迷惑行為とされ禁止されている。こうなったら、ルート防止に2匹にはアイテムボックスを買うか異空間収納を取得させよう。
さて、森に移動して………
すると、メールが来た。相手は、ギルドから……。仕方ないので、メールを読むと急いでギルドに来るように書いてあった。うーん、少年の件かな?
今日は、中断してギルドに行く事にした。
さて、やって来ました。ギルドには、ベテランも大勢いて賑わっている。しかし、僕が入って来れば2匹に視線が集まる。うん、知ってた………。
「それで、メールが来たのですが?」
「はい、実はこの少年が貴方の討伐ドロップをルートしていまして。その、初心者にしてはあり得ないのでログを確認致しました。そしたら、情報を教えない貴方に激怒して盗んでやったと…………。」
すると、ベテラン達からブリザードの雰囲気が。βプレイヤーからは、凄まじい殺気の雰囲気が。
あっ、そうだね………。僕の正体、知ってる人は知ってるもんね。あはは……、少年は苦労するかもね。でも、これも1つの経験……頑張ってね。
「そうですか。それで、少年の処罰は?」
「サバン川で、ヘドロ掃除をさせます。」
あそこって、巨大ゴ○ブリが出る場所だよね?
「なぁ、薬屋さん。お店は、いつ開店だ?」
薬屋さんは、βプレイヤーが良く僕を呼ぶときに言う愛称。なので、僕は笑顔で青年に言う。
「まだ、開店は難しいですね。何か、欲しいポーションでも有りましたか?」
「おう、次の町へ行くためのボスが毒を使うから、できるだけ多くの解毒薬が欲しいんだよ。だから、ギルドで依頼してたんだ。本当に、困ったよ…。」
ふむ、依頼って形なら受けても良いかな。
「どの、依頼用紙ですか。」
「え、良いのか?」
青年は、紙をボードから外して僕に渡す。解毒薬、200本なら手持ちで何とかなるね。
「では、この依頼を受けます。」
僕は、箱に入った解毒薬を青年に渡しお金をギルドから貰った。さて、帰ろうと思ったけど………。
「「「「「「「薬屋さん!」」」」」」」
「ポーションの依頼は、これしか有りませんでしたし駄目ですよ?さて、これで失礼しますね。」
そして、裏道に入ると男が倒れている。ルイスは、ステータスを確認して、男が暗殺者だと知り驚く。傷を治そうと、ポーションを出すが青年のそばに空の瓶が。匂いからして、かなり良いポーションを使ったのだろう。しかし、傷は塞がっておらず血が流れている。おそらく、味方が青年にかけていったのだろう。そして、効果が無いため泣く泣く置いて帰ったと思われる。これは、厄介ですね。
僕は、思わず呻きながら言う。
「この人、薬無効体質なのっ!?」
もしそうなら、この人の命は持って数時間になる。確か、普通に止血をすれば良いはず。後は、教会に運んで癒しの魔法をかけて貰えば、傷を残さず綺麗に治して貰えるはず…………。
ピコン
【応急措置】【医療】を、獲得しました。
僕は、急いで【応急措置】をして小道や隠れ道を使いお店へ運んだ。そして、お店で治した。
「おっ、俺は………」
「あっ、起きました?」
猫の獣人は、驚いてこちらを見ている。黒い髪に、紫の瞳の冷たい雰囲気の青年だ。
「治療しましたが、暫くは安静にしてください。」
ポーションをかけても、青年の傷は治らなかったらしい。止血したら、【応急措置】と【医療】のスキルを運良く貰えた。何とか、そのおかげで治療できたのだけど。
「俺は、ポーションが効かない体質だが………。」
「みたいですね。最初は、驚きました。ですが、スキルでなら治せるようなので治しました。」
僕は、2匹と遊びながら笑う。
「俺は、キリアだ。暗殺者だったが、仲間に裏切られてしまった。もう、帰る場所もない。だから、あのまま死んでいた方が楽になれたのに………」
「ふむ、それはちょうど良いですね。キリアさん、僕のお店で働きませんか。つまり、ここを帰る場所にしませんか?実は、店を開くにも人手不足で。」
すると、目を丸くするキリア。そして、どこか悩むような悲しげな表情をする。
「え、それは……」
「別に、無理にとは言いませんよ。」
僕は、優しく笑ってお店を出た。向かうのは、教会の処刑所。そこには、痩せこけた老人が居た。
クエスト:元教皇の悲しみ………
「おじいさん、大丈夫ですか?」
「いいえ、目が見えなくて困っています。」
これは、盲目の呪いだね。祈祷師なら、解呪も出来るだろうし。ちなみに、ポーション禁止クエスト。
「数多の神々に、祈祷師ルイスが乞い願う………。不浄な力を、取り除き清めたまえ……。ディスペル!」
「おぉっ、ありがとう。だが、もう………」
ルイスは、元教皇を見てから優しく言う。
「良ければ、僕のお店で働きませんか?」
「何と、この老いぼれに仕事をくださるとは……」
よし、決定。これで、もし僕が居なくてもキリアさんの傷は治して貰える。さて、いったんは帰ろう。
さて、元教皇ランコルさんは体を清め制服を着る。何か、レトロな喫茶店のマスターみたい。
キリアさんは、何を意味しての勧誘か理解したのだろう。静かに、涙を流している。
「キリアさん、貴方が危惧している事は理解しています。ですが、簡単に殺られるほど柔じゃないですよ。それは、僕に失礼な思考です。」
「……よろしく、お願いしますマスター。」
キリアさんは、真剣な表情でルイスを見た。それを見て、ランコルさんは優しく笑っている。僕も、嬉しそうに笑って頷いた。
「よろしく、お願いしますね。」
こうして、2匹のレベルアップと人材確保が終わった。でも、まだ人材不足なんだよね。それなら、プレイヤーを雇えばと思うでしょ?そしたら、帳簿を改竄されてポーションを奪われた記憶が………。
なので、基本はNPCしか雇わない予定。
明日には、ポーション販売くらいは出来るかな。取り敢えず、帳簿をランコルさんに預けておく。
さて、人材確保と薬草採取しなきゃね。
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