第3話精霊獣

さて、ついにサービス開始10分前!


インターネットの掲示板では、かなりのプレイヤー達が期待しながら待っている。僕も、そんな掲示板を見ながら情報を集めているしだいです。


じつは、この掲示板………。さらっと、運営の人が混ざって居たりするんです。なので、たまにポロッとネタバレや有力情報を溢しているんですよ。まぁ、後で怒られているんだろうけど。なので、βプレイヤーは勿論だけど、ユニオンの公式サイトをちゃんと見ている人はこの掲示板に集まる訳です。


「ん?『始まりの街に、隠しクエストが2つ?1つは、生産系のクエストらしいと。』ふーん、興味は有りますけど………。まぁ、やりたい人がやるよね。」


パソコンの時計を確認し、カウントダウン2分前だと気づいて慌ててパソコンをシャットダウン。


さて、レインとカウントダウンしよう♪




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




さて、カウントダウン!レインも、肩の上で大人しく待っている。さて、10秒前!


10・9・8・7・6・5・4・3・2・1・0!


視界が真っ白になり、目を開けば始まりの街であるバルドバムの、大きな噴水広場に居るのだった。


ルイスは、深呼吸をすると伸びをして歩き出す。


行くのは、冒険者ギルド………ではなく、貸し出し生産場。何故なら、すぐに行っても人が多すぎるからである。基本、人付き合いは苦手だしここは回避!


さて、作れる薬などの確認を作りながらする。


ちなみに、これがとても大事な作業なんだよね。いざ、薬を作るとき作れませんは許されないし。


暫く、生産場から出られないなぁ。だって、バリエーションが多すぎて今日だけじゃ無理だもん………。


うっ……、確認だけで1ヶ月と2日もかかるなんて。


ピコン♪ 称号【ニート】を獲得しました。


うん、何やら変な称号を獲得したもよう。えーと、詳細はどんなものだろう?


【ニート】

サービス開始して、1ヶ月外に出なかった者が手にする称号。効果は、建物内限定で状態異常回復。そして、HPの回復の加速と生産能力上昇。


名前のわりに、かなり凄い称号なんですが?


おぉっ、これがユニーク称号なんだね。また、他人に言えない事が増えてしまった。さて、行くまでだいぶ遅れたけど………冒険者登録はしないとね。


うーん、何か出遅れた気分だけどまぁ良いかな。


という事で、現在ギルドにてトラブル発生。まぁ、予想はしていたけど凄い食いつきよう。


「お前、ルイスさんの名前を使うなんて失礼だぞ!あの人は、生産職最強で初心者とは違うんだ!」


昔の僕は、何か尊敬されるような事をしたっけ?


「別に、ネームは自由じゃないですか。」


「あのな、このゲームは同じ名前は使えない!だから、もし本物のルイスさんが来ても分からなくなるだろ!それに、お前だって狙われるんだぞ!」


うーん、悪意があるねこの人達……。


そうだ、バトルフィールド行こう。きっと、釣れるはず。


「お前達、それ以上は止めておけ!さっさと、フィールドに行こうぜ!偽物なんて、ほっといてさ。」


いや、本人だから。まぁ、それは言わないけど。


それに、仮に狙われても龍人の種族スキルでどうにか出来るはず。まだ1ヶ月とはいえ、殆どがイベントに気を取られてスキルをあげていないのだから。


取り敢えず、冒険者登録は完了しました。


さてさて、バトルフィールドに行こうかな♪


すると、先ほど人達8人が待っていた。なんか、簡単に釣れたなぁ……経験値。襲ってくるなら、倒しちゃっても良いよね♪さて、どこまで出来るかな?


「おい、ルイスさんの名前を使うなって言ったよなぁ?ふざけてんのか、おい!」


「別に?それより、邪魔なので退いてください。」


すると、8人がいっきに襲いかかってくる。


「【身かわし】」


ふむ、レベル3の身かわしでこれだから経験値は乏しいだろうね。やーめた、帰りましょう。


「おい、てめぇ……装備に傷がついたじゃねぇか!」


「そもそも、僕は攻撃を回避しただけですが?」


僕が、傷をつけたならともかく………馬鹿ですね。


「おい、弁償しやがれ!」


すると、男の声が横から入ってくる。


「いやいや、その人は悪くないだろう。それに、引いた方が良いぞ。その人、スキルレベル3くらい育ててる。つまり、初心者のふりをしたベテラン。」


「おや、正解です。正解した、貴方にはこれをあげましょう。ちょっと、重いですが大丈夫ですね。」


じつは、劣化版ポーションがストレージを圧迫してまして。この人なら、あげても良いと思ったので箱3つ分を渡しました。でも、まだまだストレージがぁ………。そのうち、ホームを買って保管庫にいれたいな。まぁ、もう暫くはこのままで……。


いいや、やっぱり後で売らないと。お金が、必要だしね。


「おっ、お前………」


あー、この人……βプレイヤーだ。


しかも、攻撃職最強と言われてる。もともと、兄さんが攻撃職最強だったけど居ないからね。


さて、どうしたものだろう?


困った末、静かにとジェスチャーして笑いかける。


「ありがとう、大切に使うよ。後、情報は流しても良いかな。絶対に、問題視されちゃうし。」


「はい、構いませんよ。でも、今は鴨にされたくないので2日くらい後にしてください。」


「わかった。ほら、お前達もさっさと帰れ。じゃないと、今度は俺が相手になってしまうぞ?」


8人は、慌てて逃げていった。


「さすが、攻撃職最強のグレンさんですね。」


僕は、頷いて装備をβプレイヤー装備にする。そして、素早く隠蔽のローブで本当の服装を見えないようにした。すると、グレンさんはため息をついた。


「俺は、グレンで良い。初めまして、生産職最強の本物・・・・のルイスさん。あー、ビビった。」


「それは、すみません。僕も、驚かせるつもりは無かったんですよ。それに、鴨られるのが嫌で初心者のふりをしただけですので悪意も無いです。」


すると、グレンは疲れたように呟く。


「うん、だから尚更に質が悪い。」


「ん?」


ルイスは、キョトンとして首を傾げる。


「そうだ、僕の事もルイスと呼んでください。」


「じゃあ、お構い無くそう呼ぶぜルイス。」


こうして、グレンとフレンド登録をしてフィールドで別れた。




ポーション、結構な良い値段で売れて大満足!


さて、ホームを買いに行きましょう!出来れば、生産専用のホームとお店は別で買いたいですね。


という訳で、生産専用のホームを山ごと買っちゃいました。誰にも、入れないように術もかけてあるらしい。高かったけど、何とかストレージ問題が解決しました。ふぅー……、これで買い物が出来る。


そして、お店は街の中間地点……3階建てのお店。


もう、ホームメイクをしたので大丈夫!まぁ、まだ開かないんだけどね。さて、後は人材だね。


取り敢えず、山のホームに戻り椅子に座ってストレージから卵を出してみる。凄い、カラフルだね。


赤・青・黄色・緑・紫・虹・黄金・銀・白・黒


ここは、シンプルに白と黒かな。虹と黄金、それと銀は問題外です。絶対に、ヤバイのがでます。


と言う訳で、白と黒の卵に触れてみます。


白卵………ムーンウルフ


黒卵………サンウルフ


おー、可愛い。どっちも、幼体で可愛い……。


ムーンウルフは、白い毛に明るい青い瞳。デコに、青い月がある。良くみれば、月の場所は青い毛みたいだ。名前は、リルで良いかな。


サンウルフは、黒い毛に明るい赤色の瞳。デコに、赤い太陽がある。同じように、太陽が赤い毛みたいだ。名前は、ソルにしよう。


ソルは、部屋を走り回る。リルは、僕の足下で遊んでとばかりに見上げてくる。どっちも、可愛い。


何か、まともで良かった………。でも、気になって調べてみる………。そして、分かってしまった。


うわぁ……、精霊獣じゃん…………。


神獣の劣化版が、聖獣だとするなら聖獣の劣化版は精霊獣になってしまう。つまり、かなり珍しい。


でも、この子達は僕の身内………。とにかく、頑張ってこの子を悪質プレイヤーから守らなきゃ。


そう思い、森でレベル上げする事にした。

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