第99話『最終階層:消滅』
「……あぁあ……僕の……体が……崩れる……死ぬ……イヤだ。……おい。ガキ。…………ナニボサッとしてんだ。 転移だよッ! 無理でもなんでも、とっとと気合で転移しろよッ!」
《――イヤッ! もうマキナ、アンタの言うことなんて聞かないッ!》
「……えっ? 冗談はやめてよ……マキナちゃんと僕は唯一の親友でしょ。ね? そんな薄情な事を言うの? マキナちゃん、キミは僕の自慢の最強のスキル。ね? 僕ぁね、マキナちゃんを尊敬し、愛している。だからさ……僕とマキナちゃんは、ズッ友。ね? マキナちゃん。ね? ね? ね?……体も内蔵もメチャクチャで……痛いんだよ……助けろよッガキッッッ!!……うそうそ。マキナちゃん。お願い。ね?」
《――――マキナは良いよ。でもね……ママに酷いことしたアンタは大ッ嫌いッッッ!! 許さない!!!!!」
マキナは泣き叫びながら拒絶の声を吐き出す。
「泣きてぇのは僕の方だよガキ。おいッ…………無能ッ! …………とっとと黄道十四宮目を作れッ! 殺すぞ! ガキッ! 天体運行しやがれッ。地球なんて太陽風とかで滅びれば良いんだよ。チャチャッとやれよ。ボケッ!!――殺すぞッ!!」
両腕を失い上半身の多くを失ったシン。
それでも子供を一人殺める程度の力はある。
怪力無双の天空神の力を付与。
更に、神話級の武具。
『貴様如きの汚れた土足で、妾の娘を汚す。身の程を知れ――道化』
シンの蹴りを避ける事は容易だった。
だがそれをあえてしなかった。
――彼女は、神である前に、母なのだ。
後ろにいるマキナを守るために。
マキナの母の腕は既に折れている。
衝撃で内蔵も破裂している。
だが――それでも悲鳴一つあげない。
涼しい顔で何事もなかったかのように振る舞う。
――娘の前で格好悪い姿をみられたくない。
だから意地を見せる。
「黒仔山羊座だッ! 早くしろ……遅いッ!! 急げ! おいッ……ガキッ! 黄道十四宮だよッ! 転移だよ……急げッ……ボケッ! 無能ッ!……黒仔山羊座を作れッ! 世界が滅びようが関係ねぇッ! あと10秒でささっと作れッ……僕が死んじゃうだろッ!!! ……ああああああああ……間に合わないッッッ……死んじゃうッッッ!!!!」
歯を食いしばりシンの目を睨みつける。
さらに繰り出される神速の――足刀。
ソレをユーリが人差し指一つで止める。
「ダセェ野郎だ――子供相手に暴力三昧。だせぇ野郎だなぁ? そうそう。傭兵王と採掘王がせっかく記念に付けてくれた
ユーリはシンの腹部を拳で殴りつけた。
ユーリの拳はは心臓を完全に破壊し巨大な穴を作った。
「貴様の聖痕。――すげぇワイルドだな。世界広しといえどそんな巨大な聖痕を持ってる奴なんて貴様くらいだ。なんつかーか。ドーナッツみたいでマヌケで面白い、おまえにピッタリの聖痕だな? おい、なんか言えよ。感謝の言葉も言えねぇのか。ゴミ」
――心臓を潰され喋れるはずがない。
シンは歯茎を剥き出しのまま鬼の形相でシンを睨みつける。
「俺にゃ、分かってんだよ。……どうせまた復活して『さぷらぁいずっ!』とか言うんだろ。テメェ。……もう一個命を隠し持ってるんだろ? おまえの言葉も行動も何もかも信用してねぇ。おら。もう一度蘇れ。その時は爆発して死んでやるさ」
「――――な……なんで、キミが僕のサプライズをッッ!!! 知っている!!!」
「ムー。転移門を開けるか。その子をこの空間から出そう。……人生は長い。もう、あの子は間違えない。……大丈夫だ。信じよう」
『わかったわ。――
ムーはマキナの背中を押す。
次元の門を通じマキナは外の世界へ。
「じゃぁな」
『元気でね』
――シン、復活。
「先手必勝ッ!――
「残念。俺のスキル。あいにく使用済み。ハズレだ」
「……ああぁ……っ?!」
「ここがおまえの。最後の世界だ」
「すまない。ムー。終わりの時が来た」
『はい、ユーリ。――逝きましょう。ともに』
―――――閃光。轟音。爆震。
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