第88話『第三階層:体罰』
臆病で残忍なシンは二度と姿を現さないだろう。
勝手に一人でステルススローライフとやらを始めだす。
快楽のためだけに見知らぬ多くの者たちが犠牲になる。
「ンなこたァ、俺が許さねェッ!!」
「僕ぁ慎ましやかに田舎で暮らす。キミたちと関係ない、王都から遠く離れた田舎の村なら、キミに迷惑かかる訳でもないじゃん? これって、Win-Winじゃんね?」
「――テメェ、ナァンもわかってネェなァッ! テメェのゴミのような、クソツマンネぇゴミを俺に聴かせてその罪、万死に値するぜッ! 言葉で分からねぇならテメェの脳ミソをグチャグチャに破壊して……ちったぁ、マシな頭にしてやるさッ」
「はぁ。これ以上の僕の私生活への
――シンを絶対に帰してはならない。
もうどこにも逃さない。
「俺がよぉ……なぁんで漆黒はじめたか、知ってッか?」
「王都とか、家族とか、友人とか、そういう自分の大切なモノを守りたいーとか、まぁ、そんなかんじっしょ? 知らんけど」
世界一薄っぺらい言葉だった。シンは言った。
『ナニするかよりダレがするかが重要』
だから、シンが語る言葉は何の重みも無い。
これは、声じゃなくて、ただの音。
「大外れだ、クソボケ野郎ッ!! テメェみてぇな薄汚ぇゴミ野郎をこの俺の両の手でひとりひとり、片っ端からブッ潰すためにキマってんだろをがよぉッ! それになぁ……テメェあh子供に手ェ出すって言いやがったなァ! ぜってぇ許さねェッ! 詫びても許すかクソ野郎ッ!!」
「キミは、僕の慎ましやかなスローライフ生活すらも奪うのかァッ!!」
「あぁ……それとな、一応言っとくわ。俺はなぁ、体育の担任だったんだけどよぉ? 気が変わったわ。俺は、体罰の教師になるからよぉ。テメェも覚悟しとけ。キレ味の良い剣じゃ駄目だナァ。俺が……振るうのは、木刀だ。最終的には脳ミソグチャグチャに破壊するからッ。まぁ、それまでちょい遊ばせてもらうぜッ」
「いひっ。木刀。ショボッ! 僕のはね。ジャーンッ!」
聖剣エクスカリバー。魔剣デュランダル。
自慢気に構えている。
「スゲーだろッ!! 木刀で僕のこの超強い剣に勝てるわけねーだろボケッ!」
「アン? 試してみ見ろヤッ」
奇しくも互いに双剣。
手品のようにシャドウの手元に現れた木刀。
その色は漆黒。
「天誅ッ! 滅殺ッ! セイクリッド・ミラクル・ソード!」
「
技と技。双剣と双剣のブツカリあい
――砕かれた、聖剣も、魔剣も。
漆黒の木刀に。
「……はぁ?」
「悲しい話だなァッ。テメェの剣はスゲェ剣だったな。まぁ、持つべき者が持ってれば、スゲェ強い剣だったんだろうよ。だけどなぁ……テメェが持ってる限りは木刀にも劣る、ただのガラクタだッ! アァンッ!?」
「……不良品だッ!! クソが!! ゴミを掴まされた。許さないッ!! 偽物の不良品を掴まされたせいで、僕が……僕のプライドはズタボロだッ!!」
「――聖剣、魔剣、……逸話のある伝承の剣。テメェはなんか思い違いしてるみてぇだから一つ教えてやる。強いのは剣じゃねぇ。その剣の持ち主がスゲェヤバいくらい強かったからその持ち主が扱っていた剣が伝説に残った。それだけだ。テメェはゴミ以下の最低最悪の、クソ野郎だ。テメェが使えばどんな名剣もガラクタだッ」
「ウソを……つくナァッッッ!!!! キミのチート武器さえあれば、僕が強いにキマっているだろッ! その剣は僕のモンだッッッ!
エッジの左右に構える黒い木剣を再現。
…………シンの手が黒い木に侵食される。
「あぁッ……これ……僕の手、……指が……木に、はぁ……? どうなってんだよ。僕ぁピノキオじゃネェッ!……ザケンなッ! テメェの黒いキタねぇ木刀……呪われた武器じゃねぇかッ! 汚れた武器を僕に持たせやがったなッ! 許さねぇッ!」
「ハァ……人の武器を勝手にパクって文句付けたぁッ? テメェゴミクレーマーか?……姑息なパクリ野郎がッ」
「僕にそんな呪われて汚れた不良品を掴ませた罪。万死に値するッ!」
「ぬすっとモーモーしぃ奴だナァッ……草でも食ってろよ、牛野郎」
シャドウの黒い木剣。
ソレを手のひらから出すこと出来る。
異常に硬く、更に自動的に修復する。
刀身を剃刀のような刃にする事もできる。
漆黒の魔双剣士と呼ばれてている理由。
実際は……魔双剣ではない。
魔法とは関係ない、力だ。
「いひっ! おまえの技、僕もう覚えちゃった!」
覚えた訳ではない。単なるスキルの力だ。
『
更にスキル特性により
「喰らえッ! 僕の秘奥義――
剣技も勝手に盗み、自分の技のように語るこそ泥野郎、シン。
ただ、その威力は――絶大。
『
『
『
「
シャドウは
シャドウの
――否!
「
「テメェにゃぁ、俺の技は扱えねェよ。俺の技は、あえて完成させてねぇ。壱之型で殺しきれなけりゃ、弐之型にシームレスに移行させる。完成させたら、連携技にならねぇだろ? だから、あえて未完成にしてんだよッ。相手が死ぬまで、絶対に終わらない、剣技。それが
シンは鼻から上が無くなっている。
シャドウは約束を守る男。
宣言通り脳ミソグチャグチャで殺した。
「カカッ! まぁ、聞こえねぇかァ? 頭の半分がブッ飛んいじまったからしゃァねぇかッ? 少しはテメェの汚ぇ顔面をマトモなツラに整形してやったゼッ!!!」
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