第24話『アルテと一緒に楽しい残業!』

 俺は仕事終わりに帳簿とにらめっこしていた。


 俺の隣に、アルテが座っている。

 事務処理能力が高いアルテが来てマジで助かってる。

 アルテのおかげで睡眠時間が増えた。



「はー。金勘定は苦手だーっ。めんどくせー」


「ふふっ、ですね」



「事務処理能力高いアルテが来てくれたのはマジで助かってる」


「私はユーリさんの事務処理能力の高さに驚きました」



「あんがとよ。でもやっぱ本職には叶わねぇぜ、さすがだな」


「いえいえ! お役に立てて私も嬉しいです」



「今週はトントンかぁー。もっと稼ぐ方法をそろっと考えないとなぁー」


「短期間でこれだけの黒字を出しているのは凄いことですよ」



「そんなものかねー。それと、今週の給料な。残業代も上乗せしといたぜ」


「報酬の件、ですが、……こんなにもらっても良いのでしょうか?」


「まっ、金は多くもらっても困らねーだろーからな」



人が残せる物は3つだそうだ。

ホネ、想いで、そして、カネ。


ホネはともかくとして。

カネくらいは残したいもんだ。



「へき地手当だ、不便な所で働いてもらっているからな」


「新人にこれほど報酬出すところを、私は知りません」



「まぁ、大丈夫。赤字にゃしねーさ。ちゃんと計算してるぜ」


「失礼しました! ありがたく、いただきますっ!」



「あいよっ」


「ところで、ユーリさんどこで算術を習得されたんですか?」




 ここは一つ、前世の知識と経験が役立った!

 ……そう言いたいところだが、実はそうでもない。


 まっ、そりゃそうだ。収益計算は計算ソフト。

 プライベートでも計算はスマホの電卓。

 自分の頭で計算する機会はほぼなかった。


 まぁ、バイトの金銭チェックは役立ってるかもな。

 ……ありゃ、地味に嫌いな仕事だったけどさ。


 金銭管理や計算は漆黒の片翼在籍時に実務で身につけた。

 習うより慣れろっつーやつだな。

 勉強するよりも圧倒的に身につくというもんだ。




「漆黒で金庫番任されてたから、そこで覚えた」


「ユーリさん、よほど信頼されていたんですね」


「そういうものか?」


「えぇ、金銭管理は、団長が行うのが普通です」




 横領や持ち逃げされる可能性もあるということか。

 まぁ、持ち逃げすればバングルが爆発するのだが。

 片腕を犠牲にしてでも、金が欲しい奴もいるのかもな。




「まぁ、俺が計算がある程度できるからってだけだろ」


「それだけじゃないと思いますが」



「……ユーリさん、そう言えばあの子は?」


「すまん、アルテには紹介できていなかったな」



 銀色の髪の少女が、自室から出てきていた。

 少女は俺の服の袖を掴みじっとアルテの瞳を見つめる。


 そういや、アルテに正式に紹介するのはまだだったな。

 自室にこもりがちで、なかなか紹介する機会がなかったのだ。




「紹介しよう。うちの期待の新人ニューホープだ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る