第16話『ギルドマスターとアルテミス』
【以下の『*』内は補足文章です】
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第16話~第18話までは設定中心の話です。
本筋に絡まない舞台裏も描かれています。
情報量が多いので以下の箇条書きを読めば、
読み飛ばしてもいいかと思います。
この頁で書かれる内容は箇条書きするとこうです。
・ギルドマスターが漆黒のスポンサーであり王都の最大権力
・アルテはユーリに救われたことをギルドマスターから聞いていた
・アルテは執行権限を持つユーリをかげからサポートしていた
・ギルドマスターは漆黒をはじめ、数々の暗部の仕事を抱え持つ
・漆黒の全員はギルドマスターに肉体に処置を施されている
・『自壊式』は命を削る。ユーリの体は限界に来ている
・アルテは、ユーリが好き
・ユーリもアルテを想いつつ、自分の命が長くないことを知っている。
だから、アルテの気持ちにあえて、気づかないふりをしている。
・アルテが――――無職になる。
以上です。
ギルドマスターとアルテの会話を
読みたい方は以下に進んでいただいて構いません。
ですが、情報量が多い話なのでスキップして、
あとで戻ってくるのでも問題ないと思います。
本編始まります↓
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ここは中央ギルド内部の調整室。
俺にとってはよく見知った部屋だ。
意識はある。脳と耳は機能している。
だが、他の部分はまったく動かねぇ。
あれだ。金縛りの時の感覚に近い。
俺は、あの後限界がきたということだな。
野犬とか魔獣に食われなかったのはラッキーだった。
通りすがりの誰かが守ってくれたのだろうか。
理由はともかく、俺は生きているようだ。
近くに男女の話し合ってる声が聞こえる。
この声は、ギルドマスターと……、アルテ。
ギルドマスターが居るのは、分かる。
だがなぜアルテが?
……愛人、とか、じゃぁないよな。
いやまぁ、人の色恋にどうこう言う権利は無いのだが。
「
「失礼を承知で申し上げます。ユーリさんのことを
「特任上席職員アルテミス。キミには、私の身体のことを話していなかったね」
ギルドマスターは、上着を脱ぐ音が聞こえる。
俺はギルドマスターの背に刻まれた数を見たことがある。
つか、……アルテの前で服脱ぐなよ。セクハラだぞ?
危うく、……そういう事かとおもっちまったじゃねぇか。
ギルドマスターが法を犯すことはありえないのだが。
ちょっとイラッと来たのは、事実だ。
「私も、彼らと同じ
「……失礼いたしました」
「気にすることはない、頭をあげ
ギルドマスターの言葉にウソは無い。
漆黒も俺も、自ら実験体になるべく志願した。
みな、リスクを理解している。
「私が冒険者を引退し、ギルドマスターになった理由が
「……
ギルドマスターの冒険者時代の逸話は数しれない。
どれも常人では成し遂げられない偉業ばかりだ。
特に、彼の冒険者時代の晩年の記録は常軌を逸している。
当然、生来の資質と努力に依るところも大きいだろう。
だが、それだけでは説明できない部分もある。
その答えの一つが、
それは、不可逆の損傷と引き換えに力を得る、
「正解だ。最初の実験体であった私の
「…………」
「
俺や、漆黒は人造勇者計画とやらの一部らしい。
人為的に勇者を造り出す計画。
正直、俺はそんな未来のことはどうでも良い。
団長、エッジ、マルマロも同じようだ。
俺たちは、ただ守るための力が欲しかったのだ。
未来の事は、偉い人達が考えれば良い。
俺たち現場の人間は、ただ重罪人を始末する。
絶望という
「失敗作である私の、失敗を踏まえ、出力を制御できるように調整した。継戦能力を持つ実験体。それが、壱番以降の
「ユーリさん、そして漆黒の冒険者たち……」
「実運用型の
「ギルドマスターは、どのような基準で人員を選定したのですか?」
「力によって救われた者。自分より他者を想う者。悪を憎む者。覚悟の決まった者。それが、選定の基準だった。それが、壱番以降の
「私は、背に刻まれた
「私も彼らも、勇者に至るための失敗作。だが、失敗は無駄にはならない。失敗から学び、きっと、いつか誰かが、辿り着く」
照れくさいが嬉しい。これ以上ない光栄なことだ。
女性の前で上半身を晒したのは、まぁ非常識だが。
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