第11話『ユエと温泉に入ろう!』

 とりあえず混浴を作る。


 これが今日決めたことだ。

 改善点も分かって大収穫だ。





「ユーリさん、お疲れさまです。お茶持ってきました」


「サンキュー」


「どういたしまして」





「ユエが淹れてくれるお茶って、なんとなくうまい気がするんだよな。なんかコツとかあるのか? 茶葉は俺が普段使っているのと同じなのにな」


「特別なことはしていませんよ。ひと手間加えているだけです」



「へー。教えてもらっても構わないか?」


「はい。お茶のポットに厚めの布をかぶせて少しだけ時間をかけて蒸らすんです。あとはお茶が熱くなりすぎないようにお茶の温度を調整するくらい、ですかね」


「おう……。思ったより手間がかかっているんだな。俺には無理そうだな。美味いお茶飲ませてくれてありがとうな」




「そう言っていただけると、ボクも嬉しいです。お茶は趣味の一つなので」


「へー。なかなかいい趣味持ってるじゃん」


「……そうですかね?」




「あぁ、俺はなかなか粋な趣味だと思うぞ」


「あの、ありがとうございます。ユーリさんに喜んでもらえて嬉しいです!」




 微笑んだ顔とかマジ美少女だな。

 メイド服とか似合いそうだ。




「他にはどんな趣味があるんだ?」


「裁縫と、料理ですかね。あとお菓子作りなんかも」


(ユエ、女子力たけぇな!)




「男の趣味じゃないですよね。やっぱり。ボクっ、変、……ですかね?」


「気にしなくていいんじゃないか? 趣味なんて人それぞれだ」



「でも男が女っぽい趣味を持つってちょっと変じゃあいですか?」


「そうでもないぞ? スイーツとか好きだし。植物育てるの好きだし」




 植物育てたとか言っても観葉植物くらいだけどな。

 ほとんど世話いらないもんな。

 出張で10日家空けた時もまったく枯れなかった。




 恐るべき生命力だ。枯れさせるほうが難しい気がする。

 ちなみに育てていたのは、ガジュマルだ。




 スイーツは普通に好きだ。

 インスタ映えパンケーキ屋に並んだこともある。

 さすがにホイップクリームで胃もたれしたがな。 

 王都でもケーキとかよく食べてるな。




「ユーリさんに相談して良かったです。なんか気持ちが軽くなりました!」


「そうか。そりゃよかった!」


「せっかくです、ボクらも湯につかりにいきましょう。今日は、ユーリさんに励ましてもらいましたので、お礼に背中を流しますよ」



 

 ……なんとだろうか。

 プレッシャーのようなものを感じる気がするのだが?

 ただ、美少女(?)が微笑んでいるだけなのに。




「いやもう少し待とう。そろっとあいつら出てくるんじゃないか?」


「それなら、ぱぱっとはいっちゃいましょうよ! 善は急げです!」


(おっ……なんかグイグイくるな)




「ユーリさん裸をみられるのが苦手でしたか? 無理を言ってすみません」


「いや、別に苦手ではない……というか、まったく気にしないが」




「そうですか。それならよかったです。いきましょうっ!」


「なんというかだな、今日は一人で湯につかりたい気分なんだよな」




「大丈夫です。照れなくっても大丈夫ですから」


「いや、俺は別に照れてねーよ?」




 つーか腕引っ張って無理やり連れて行こうとするな!

 華奢きゃしゃな体のワリに意外に力強いな。




「大丈夫です。怖いのは最初だけです、……すぐに気持ちよくなりますよ」


「いや、気持ちよくなるって、なに?」




 それと、しれっと俺の服を脱がそうとするな!

 華奢きゃしゃな腕なのにやたらパワーがある。

 どういう腕の構造してるんだ?!




「痛いのは最初だけです」


(痛いってなに? 温泉に痛い要素ねーだろ!)




「大丈夫です。すべて、ボクにまかせてください。ボクは、プロフェッショナルですから! ユーリさんも安心してください」


(おいっ! ルナ。泳いでないではやく上がってこーい!)




《・・・健闘を祈ります。マスター。グッド・ラック》




 おまえのマスターの危機だ、助けろよ。

 グッド・ラックとか、おまえ絶対親指立ててるだろ!?





 結局、根負けして連れて行かれる俺であった。

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