ゴールディーンズ

第12話 ゴールディーンズへ

 俺たち一行は王様と対談した後、宿屋(一人一部屋)に泊まり朝を迎えた。


 俺は重い体を起こし目を覚ます。


 今日は東の国ゴールディーンズへ王様の弟を救いに向かう日だ。


 救う日とは言ったものの、実際救うのには二日はかかるだろう。



「おはよーリョウくん!」


 部屋を出るとイースが部屋の前に立っていた。


「おはようイース」


 イースは一度笑顔で頷き宿屋の出口へ向かった。



「あらあら、二人とも仲良しみたいね」

「えっ? 嘘っ!? って一緒に宿屋から出てきただけじゃん!」

「冗談で言ったのに満更でもなかったみたいね、でもこれ以上リョウくんと仲良くするなら背中に気をつけなさい」

「こわいよ!」


 黒髪とクリーム色の髪なので、まるで白対黒だ。

 闘技場でもこんな感じで戦ってる光景見たような……


「とりあえずヴァニラさんが用意してくれた馬車に向かいましょ」

「そうだな」


 俺たちは太陽が登り始めている方向へと向かった。

 この世界でも太陽は東から登るらしい。




 俺たちはヴァニラ王国の東の入口から外に出て、ヴァニラさんの用意してくれた馬車に乗り込む。


「あ、おじさん!」


 俺は思わず大声を出してしまった。

 そう、馬車の運転手はここ、ヴァニラ王国まで馬車で送ってくれた人と同一人物だったのだ。


「あー……実は王様御用達の馬車の御者だったんだ、隠してたつもりはなかったんだけどな」

「いえ、ちょっと驚いただけです」


 俺は馬車に座ったまま頭を下げる。


「驚くようなことか? 多分よくある事だぞ」


 そう言うとおじさんはカウボーイの如く馬を走らせ始める。


「俺の名前はリョウです、年齢は15、出身地は……始まりの町……かな」

「そうかいそうかい、多分君の出身地というその町に名前は無いな、名前がある街はこの世界で精々10個程度しかないからな」

「そうなんですか……」

「俺も自己紹介しようか、俺の名前はウッド、見ての通り馬車の御者をやっている、年齢は39、出身地は──」


 ウッドさんは出身地を言いかけたが、その口を閉じた。


 名前が無い町出身なのだろうか。

 それとも……


「リョウくん! 次の街では私の出番だね!」

「そうだな、頑張れよ」

「うん!」


 イースは俺に向かってニコッと笑った後、馬車の中から外の景色を眺めていた。


 シロハはと言うと、俺がイースの横顔を眺めているのを眺めていた。



「リョウくん起きて!」


 仮眠を取っていたのだが、何者かに肩を揺らされて起こされた。


「あれ……ヤバいよね……」


 イースは馬車の進行方向を指さし、何かを見たように手で口を覆うように驚いていた。


 シロハも起きていたのだが冷静だった。


 俺も進行を方向を見ようと馬車の前へと移動する。


 そこには高層ビル、いや超高層ビルが何百も立ち並んだ街が広がっていた。

 もう街ではなく、都市レベルだ。


「ヤバいな……」


 平均的に全部建物が高く、日本で表すなら東京が一番近いだろう。

 しかし、東京が一番近いと言ったが東京の建物の高さの10倍程はあるだろう。

 一番高いもので雲に届きそうなビルもあった。

 建物が高いからか、そこはすごく暗いくなっていた。

 そして、入口の門には『ようこそゴールディーンズへ』と神々しく光っていた。




「ありがとうございました」

「おう、がんばってこいよ」

「はい!」


 俺はウッドと軽く言葉を交わし、お辞儀をしてゴールディーンズの入口へと向かった。

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