第9.5話 ヴァニラ闘技場 ~恋女編~
私の名前はイース、今かなりやばい状況。
ポケットに入れてあったはずのメダルがなくなってるの!
「メダルがなくなっちゃったんですけど……」
「申し訳ございませんが、メダルがないとここから出ることは出来ないです……」
「賞金のゴールドはいらないから!」
「やっぱりメダルがなければここから出ることは出来ないです……」
「なんでよ! 私のこと覚えてるよね?! じゃあどうしたらいいの?! ここに死ぬまでいればいいって言うわけ?!」
私は余裕がなくなってしまい、つい怒鳴ってしまった。
「イース、どうしたんだ?」
肩をつんつんと叩かれたので、後ろに振り返る。
そこにはリョウくんがいた。
私はリョウくんにメダルが無くなったことを話した。
「そうなのか……良ければ俺も探すの手伝うぞ?」
「リョウくんが行くなら私も……と言いたいところなのだけど、私には用があるから先に出させてもらうわ」
「分かった。見つかったら戻ってくるから闘技場の入口らへんで待っててくれ」
「わかったわ」
シロハさんは出口を出て行き、私とリョウくんは先程来た通路を戻る。
「なんか……悪いね」
「気にするな」
リョウくんはそのまま話を続ける。
「それで、心当たりとかあるか?」
「う〜ん、心当たりはないかな」
心当たりは全くない……。
「でも装備のポケットに入れてたんじゃなくて私服のポケットに入れてたから、
「そうか。じゃあ、お前が昨日行った場所を教えてくれないか?」
「う〜ん……まず、リョウくんとレストランに行って、その後リョウくんとカジノに行って、そのまま部屋に戻ったよ」
「じゃあ、まずレストランに行ってみようか」
私とリョウくんはレストランへ向かう。
レストランの床には、メダルは落ちてなかった。
「見た感じ、落ちてないな」
「うん……」
「じゃあ次はカジノに向かおうか」
「うん……」
私とリョウくんはカジノへと歩いていった。
歩くスピードを落ち込んでる私と合わせてくれている。
カジノに着き、メダルを探し始める。
スロット台の下や、テーブルの下、ブラックジャックをやったテーブルなど、色々な場所を探したが、メダルは落ちてなかった。
「もういいよ……ありがとう」
「おいおい、諦めるのはまだ早いぞ。まだお前の部屋が残ってるだろ」
リョウくんは私の手を引いて、私の部屋へと向かう。
手を引いてくれたのはちょっとうれしいかも……。
私とリョウくんは部屋を探し始める。
「洗濯機で洗濯した時に一緒に洗濯したんじゃないのか?」
「洗濯機で洗濯した時はポケットから出しておいたよ。その後しっかりまたポケットにしまったし」
洗濯機にはなかったし……。
「ほんとにごめんね……こんなのに付き合わせちゃって……あとは一人で探すから大丈夫」
「いや、俺も探すよ。とりあえずお前が通ってきたルートは全部探したから他の場所も探してくる」
「わかった……ありがとう、いつかこの恩は返すね」
「じゃあ見つかったらまたこの部屋に来る」
「わかった」
私はリョウくんが出ていってから、探す気力が無くなり、不安で泣いてしまった。
3分くらいが経ち、ドアが開いたので、涙を拭きドアの方を見る。
「おーいイースあったぞ!」
「え?! ほんとに?! どこに?!」
私は嬉しすぎて、泣きそうになった。
「通路に落ちてたんだ」
「そうなの?! ありがとう!」
私はリョウくんの元へ走り出す。
「……もう……もう……見つからなかったらどうしようかと思ったよ……」
私はほっとして泣いてしまった。
「どうお礼したらいいかな……?」
「礼なら大丈夫だ」
「でもそれじゃあたしの気が──」
「俺が大丈夫って言ってるんだ、それに今抱きつかれてるのが正直ご褒美だ」
「え……? ……あ! ごめんね、いきなり抱き
ついちゃって……」
恥ずかしい……死んでしまいたい……。
正直死にたくはないけどね。
「大丈夫だ、それよりここから出ようか」
「う、うん」
私は落ち着くために大きくは深呼吸をした。
そして、私とリョウくんは部屋を出て、出口へ向かった。
「メダルは見つかったんですね!」
「はい!」
「では通ってどうぞ、あと、これが今のステータスです。
イースさん
Lv.56
物攻 ?
物防 ?
魔防 ?
魔防 ?
職業 ギャンブラー
魔法 未習得
スキル 幸運児 運任せ
幸運児って言うのは、運がとても良くなるスキルだ。
運任せって言うのは、私以外の誰も習得できないスキルで、このスキルは──
──私の総合ステータス(物攻、物防、魔攻、魔防のステータスの和)が、ランダムで物攻、物防、魔攻、魔防に割り振られるスキルだ。
私は、幸運児を持ってるため、ほぼ確実と言っていいほど。その時に合ったステータスが割り振られるということだ。
そして、私の幸運児のスキルは今回も活躍した。
リョウくんに会えたことが幸運だ。
──そして、私、イースはリョウくんに恋をした。
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