第8話ヴァニラ闘技大会 〜試合編〜

「はぁ〜」

 俺はカジノでイースと戦ったあと、部屋に戻った。



 もう一度シャワーを浴びて、もう一度ベッドにダイブする。

 今度こそ寝よう。

 おやすみなさい。



 おはようございます。

 まだ外の暗い早朝に目が覚める。

 昨日早く寝すぎたか。


 今日が試合だ。

 俺は寝巻きを脱ぎ、服を着て、装備を付ける。

「よし」

 気合いを入れ部屋のドアを開ける。


 ドアの前にはシロハが居た。

「昨日は随分と楽しそうだったじゃない」

「見てたのか」

「ええ、ずっとね」

 ずっとは怖いな。

「ずっとは冗談よ。リョウくんが部屋に戻るまで何をしてたかは知らないけれど、部屋に戻ってきてからはずっと壁に耳を当ててたわ。シャワーの音だけでご飯3杯は行けたけど、肝心のご飯がなかったわ」

「おいおい……」

 少し引いてしまった。

「とりあえずいきましょ」

「そうだな」

 俺とシロハは、闘技場ステージへと向かう。



 入口から闘技場ステージに入ると、今回は観客席の少し上の方に大男は立っていた。

「レディース! アーンド! ジェットルメーン!」

 昨日の3倍ほどの歓声が湧き上がる。

 観客も昨日の2、3倍はいるだろう。


「今から簡単にルールを説明しよう! ルールは簡単! 最後の一人になるまで戦い合うのだ!」

 歓声が湧き上がる。

 というか、この大男が言えばどんな言葉でも、歓声が湧き上がりそうだ。

「お! ちょうど参加者が揃ったようだ! それではステージ上の好きな場所に散れ! あと10秒でスタートするぞ!」

 また歓声が湧き上がる。

 俺はステージの端に移動する。

 ステージから場外に出るとは、ここの水に落ちるということだろう。

 水の中にはサメなどは居ないようだ。

 すると、通ってきた道が縮んでいく。

「みんなでカウントー! 10!」

 観客も一緒にカウントしている。


「9!」


 イースもステージの端の方に移動していた。


「8!」


 シロハはステージのど真ん中で堂々と杖を構えている。

 魔法は補助魔法しか使えないのに。


「7!」


 シロハは補助魔法しか使えない事を思い出したのか、杖をしまった。


「6!」


 俺は考える。

 俺はここにステータスをあげるために来たのだ、できるだけ多くの人と方がステータスが上がるのは当たり前だ。


「5!」


 とりあえず、こっち側にいる人から全員と戦っていくのが理想だ。


「4!」


 問題はシロハがどのくらい強いのかだ。


「3!」


 シロハは比較対象がないためどのくらい強いかは分からないが、ステータスはここにいる者達と余り変わらないだろう。


「2!」


 もしもの時は助けに行けばいいか。


「1!」


 俺は剣を構える。

「レッツファイト!」

 観客から今までとは比べ物にならないほどの歓声が聞こえてくる。



 俺は始まると直ぐに、目の前の細身の男性戦う。

 細身の男性の武器はナイフだ。

 動きがすばしっこい。

 だが、俺は相手の強さが分かったため、剣をしまい素手で戦うことに。


 俺は細身の男性の手を伸ばし、それを避けられバランスを崩したところで足をかけ転ばせる。


 転んだところに、拳を顔面に1発入れ気絶させる──



 ──今の戦いで分かったのだが、俺のスキルは戦った、では無く、戦ったに発動するんだろう。


 細身の男性と戦った時は、した時にはもう、俺の腕は尋常じゃない速さになっていた。


 そして、細身の男性のスキルか何かで、すばやさが同等かそれ以上になったため、足をかけ転ばせることが出来た。



 イースの時もそれなら辻褄が合うんじゃないか?


 1回めの勝負、イースは9を引き、5、6、9、で20になった。

 俺は1、11、2、そして7を引に、合計21だ。

 俺の予想なのだが、多分ブラックジャックが始った瞬間に俺のステータスにイースのステータスが足されたのだろう。

 足されたのは、おそらく幸運値とかそこら辺だろう。

 そして、二回目のブラックジャックで俺が負けたのは、相手の幸運値が成長したからだろう。

 ちなみに二回目のブラックジャックの結果は、俺が20、イースが21だ。


 ここから考えられることは、俺は一度戦ったらステータスの更新は出来ない、ということだろう──



 次に俺は魔法使いを、魔法を避け殴り倒し、格闘家とは1対1で、拳と拳で戦い、倒した。

「ただいま10名が戦闘不能!残り15名!」

 減るのが早すぎる。

 俺が戦闘不能にさせたのは3人だ。

「注目はシロハ選手!ただいま撃破数6!」

 心配する必要はなかったようだ。


 さすがにこの観衆のなかで、チーミングする選手は居ないようだな。

 俺その後、4人倒して、合計7。

 シロハは11人倒したらしい。

「残り4人!」

 歓声が上がる。


 残っているのは、俺、シロハ、イース、そして剣を持った大男だ。


 俺はイースとシロハのステータスは足したため、大男の元へ向かう。


「よぉ、お前がリョウか」

「ああ、そうだがどうした?」

「いや、どうもしないが」


 大男はそう言うと、俺の体の2倍ほどの剣を振り斬撃が飛んでくる。

 俺は飛んでくる斬撃を飛び避け、大男の元へ走り出し飛びかかる。



 すると、先程まで右下にあった大男の大剣が、俺の腰まで来ていた。

 俺はとっさに剣を腰から取り出し右から来る大剣を弾く。

「噂通りみたいだな」

「なんの事だ?」

 俺は噂されているらしい。

「お前随分強いらしいな」

「自分でもびっくりだ」

 次は、大男が飛びかかってくる。


 俺は剣をしまい、地面を蹴り、大男の腹目掛けて跳び、拳をぶち込む。


「ぐっ?!」


 大男は気を失ったようだ。


 俺は大男が戦闘不能になったのを確認すると、シロハとイースの方を見る。

 シロハとイースは意外と白熱の戦いをしていた。

 イースは最初から誰とも戦わず、体力を残していたらしい。

 一方シロハは、最初から飛ばしすぎ少々疲れているようだ。


 黒い髪とクリーム色の髪がなびいている。

 まるで黒対白だ。

 イースはシロハの攻撃を全て避けている。


 そして、シロハが疲れバランスを崩した所へ、イースが腹にメリケンサックを付けた拳で殴りを入れる。


 そして、


 イースとシロハは倒れた。


「勝者、リョウ選手!」

 歓声が上がる。



 その後、俺は表彰され、10億ゴールドを貰った。

 ちなみに、シロハとイースはほぼ同時に倒れたが、地面に着いたのがシロハの方が早かったため、イースが二位、シロハが三位、という結果になった。



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